トルコリラ円見通し トルコ中銀利下げ通過後は円安主導で戻り高値を切り上げる
〇トルコリラ円、8/22深夜に7.62をつけ8/9の7.60をわずかに超える、8/23午前序盤も7.60近辺で確り
〇8/22夜から8/23未明にかけて対ドルでのでリラ買い戻しが入り、円安とリラ高の両面から買われる
〇対ドル、8/22は18.15から18.04の取引レンジ、リラ買いがやや優勢となるも1ドル18リラ台にとどまる
〇中銀による新たな融資規制発表、債券市場では金融機関による債券買いが集中し利回り低下
〇7.57以上での推移中は上昇余地ありとし、7.62超えからは7.65前後を試すとみる
〇7.54割れからは下落期入りとみて、7.50前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月22日は7.62円から7.54円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.60円で先週末終値の7.57円からは0.03円の円安リラ高となった。
トルコ中銀による8月18日の利下げをサプライズとしてドル/トルコリラが1ドル18リラの壁を突破する急落となったためにトルコリラ円は18日夜に直前の7.52円近辺から7.44円まで急落したが、利下げショックのリラ売り一巡で落ち着くと円安主導で持ち直しに入り19日早朝には利下げからの急落分を解消、その後もドル/トルコリラの動きが落ち着いている中で円安により上昇して先週を終えた。
8月22日夜から23日未明にかけてはドル/トルコリラでリラの買い戻しが入り、ドル円が深夜に137.64円へ一段高したためにトルコリラ円は円安とリラ高の両面から買われて7.62円の高値をつけて8月9日の7.60円をわずかに超えた。8月23日午前序盤も7.60円近辺で確りしている。
【中銀利下げショック落ち着くも1ドル18リラ台での推移続く】
ドル/トルコリラの8月22日は18.15リラから18.04リラの取引レンジ、23日早朝の終値は18.05リラで先週末終値の18.09リラからは0.04リラのドル安リラ高だった。
8月18日夜のトルコ中銀による予想外の利下げをサプライズとして1ドル18リラの壁を超える急落となり利下げ直後に18.14リラの安値をつけて昨年12月12日高値10.06リラ以降の最安値を更新して昨年12月20日の史上最安値18.36リラ以来の安値をつけた。利下げショックによる売り一巡で17.97リラまで戻したところからも再び1ドル18リラ台でジリ安の推移となり、19日は取引時間中の新たな安値更新は回避したものの終値ベースでは史上最安値を更新して先週を終えた。
8月20日にトルコ中銀が銀行の企業融資に際してのトルコ国債保有比率を引き上げる方針を発表したことから8月22日はトルコ国債が買われて利回りが大幅に低下したため、為替市場が全般的なドル高基調で推移する中でドル/トルコリラは夜から23日早朝にかけてドル売りリラ買いがやや優勢となったが1ドル18リラ台にとどまった。
【エルドアン大統領の利下げ政策姿勢は継続】
8月22日にトルコのエルドアン大統領は「トルコ中銀は利上げを実施する必要はなく、投資や雇用、生産、輸出押し上げに向けた取り組みや経常収支の黒字化達成に注力する必要がある」と述べた。大統領は80%近い水準のインフレ率については「非常に高い水準で嘆かわしい」と述べたが、利下げによる企業融資の拡大とリラ安による輸出増により経済成長を維持し、観光収入拡大も併せて経常収支の黒字化を目指してゆく政策姿勢だ。
利下げ幅が1%というのは高金利状態を踏まえれば小幅な利下げであるが、今回の利下げによる影響を見定めながら、さらに1%の利下げを継続する可能性も考えられる。
【トルコ中銀による新たな融資規制の動き】
トルコ中銀は8月18日に政策金利の週間レポレートを14%から13%へ引き下げたが、8月20日には銀行の企業向け融資への新たなルールを発表し、中銀による貸し出し金利基準の16.32%を上回る利率での融資において貸し手の銀行はトルコ国債の保有比率を引き上げなければならないとされた。一部の融資についてはその90%相当のトルコ国債を保有する義務を貸し手に課すとした。
この政策発表を受けて8月22日のトルコ債券市場では金融機関による債券買いが集中したために利回り低下となり、2年債利回りが先週末の17.62%から14.02%へ低下、10年債利回りは同じく16.93%から14.19%へ急低下した。
6月24日にはトルコ財務省が外貨保有1500万リラ以上の企業へ新規融資禁止発表しており、利下げによるリラ売りへの対抗策を様々な手法で画策しているといえる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月18日夜に7.50円を割り込んでからの反騰で8月17日夜高値を上抜いたため、8月19日午前時点では8月18日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたとし、サイクルトップ形成期を8月22日夜から24日夜にかけての間と想定した。
8月22日午前高値から夕刻へ反落したものの切り返して一段高しているためまだ上昇余地ありとするが、22日夕安値17.54円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして23日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、8月19日夜への続伸で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いてからも両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月20日から22日への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落期に入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.54円を下値支持線、7.62円を上値抵抗線とする。
(2)7.57円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、7.62円超えからは7.65円前後を試すとみる。7.65円以上は反落警戒とするが、7.55円以上での推移なら24日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.57円割れからは弱気転換注意とし、7.54円割れからは下落期入りとみて7.50円前後への下落を想定する。7.52円以下は買い戻しも入りやすいとみるが。7.55円以下での推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 68.0)
8月25日
16:00 8月 製造業景況観指数 (7月 103.7)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 78.6%)
20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 グロス (8/12時点 725.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 ネット (8/12時点 156.8億ドル)
8月29日
16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 93.4)
16:00 7月 貿易収支 (6月 -81.7億ドル)
8月31日
16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.2%)
16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.3%)
注:ポイント要約は編集部
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