ドル円、約1ヵ月ぶり高値圏へ急伸。ユーロは約19年8ヵ月ぶり安値圏へ急落
〇ドル円、欧州時間朝方136.71まで下落後、米長期金利の反発で一時137.65まで急伸
〇ユーロドル、19年8ヵ月ぶり安値0.9926まで急落、独インフレ悪化懸念、米金利上昇等が背景
〇ドル円、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を上抜け地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズもFRB高官の相次ぐタカ派発言等、ドル高トレンドの継続を連想させる材料揃う
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:136.75ー138.75
海外時間のレビュー
週明け22日(月)のドル円相場は堅調な値動き。@株式市場の冴えない動き(日経平均株価や時間外の米ダウ平均の下落)や、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力、B米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが3.00%から2.94%へ低下)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値136.71まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cジャクソンホールを控えた警戒感(パウエルFRB議長がタカ派色を強めるのではないかとの思惑)や、D米7月シカゴ連銀全米活動指数(結果+0.27、予想は▲0.25、前回▲0.19)の力強い結果、E米長期金利の反転上昇(米10年債利回りは7/21以来となる3.03%へ上昇)、F上記Eを背景としたドル全面高の流れが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、7/22以来、約1ヵ月ぶり高値となる137.65まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/23午前5時40分現在)では、137.50前後で推移しております。
週明け22日(月)のユーロドル相場は大幅下落。日本時間正午にかけて、高値1.0046まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ドイツのインフレ率が今後数ヵ月で10%を超える可能性がある」「景気後退に突入する可能性が高まっている」「ECBは利上げを継続すべき」との発言や、A先週末金曜日に発表されたドイツ7月生産者物価指数の伸び率加速(1949年の統計開始以来最大の伸び率)、Bロシア国営ガスプロム社による「ノルドストリーム1について圧縮機点検を目的に8/31から9/2までガス供給を停止する」との発表(天然ガス先物価格高騰)、C上記@ABを背景とした欧州経済の後退懸念(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは欧州経済に更なる下押し圧力を加える恐れ)、
Dドイツ連銀月報における「ドイツ経済はリセッションの可能性が高まっている」とのネガティブ発言、E7/14に記録した直近安値0.9952を割り込んだことに伴う仕掛け的なユーロ売り、F米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間にかけて、2002年12月以来、約19年8ヵ月ぶり安値となる0.9926まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/23午前5時40分現在)では、0.9944前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は8/11に記録した安値131.73をボトムに反発に転じると、米当局者による相次ぐタカ派発言(次回9月FOMCでの75bp利上げ観測再燃→米長期金利上昇→米ドル買い)や、米経済指標の力強い結果(米リセッション懸念後退→米株の底堅い動き→リスク選好のドル買い・円売り)を材料に、昨日は一時137.65(7/22以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を上抜けした他、7/14高値139.40と8/2安値130.40を起点としたフィボナッチ61.8%戻し(135.96)や同76.4%戻し(137.27)も上方ブレイクするなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(先週はサンフランシスコ連銀デーリー総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁よりタカ派的な発言が相次ぐ結果)や、A日銀による金融緩和の長期化方針(先週はみずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用されたことに海外勢が円売りで過剰反応)、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差(日米名目金利差が再び拡大傾向→ドル買い・円売り)、C米政府・米当局によるドル高容認スタンス(インフレ抑制に繋がり得るドル高を幅広く容認する構え)、D米経済指標の良好な結果(昨日発表された米7月シカゴ連銀全米活動指数も力強い結果)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米8月製造業/非製造業PMI速報値や、米8月リッチモンド連銀製造業指数、米7月新築住宅販売件数、米2年債入札などに注目が集まります。米経済指標が市場予想を上回る結果となれば、米経済を巡る楽観的な見方(米経済の力強さが確認できれば、FRBはインフレ抑制に集中できるようになるため、次回9月FOMCでの大幅利上げ観測が一段と高まる可能性あり)を材料に、ドル円が7/14に記録した約23年10ヵ月ぶり高値139.40に向けて急伸するシナリオも想定されるため、本日海外時間はドル円相場のアップサイドリスクに特に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:136.75ー138.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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