ドル円見通し 米国の大幅利上げ継続感でドル全面高、ドル円5連騰で8/2以降の高値更新(22/8/23)

ドル全面高の様相となり、ドル円も押し上げられた。

ドル円見通し 米国の大幅利上げ継続感でドル全面高、ドル円5連騰で8/2以降の高値更新(22/8/23)

米国の大幅利上げ継続感でドル全面高、ドル円5連騰で8/2以降の高値更新

〇ドル円、8/22午前137.43へ高値切り上げ、いったん137円割れとなるも深夜137.64まで一段高
〇中国人民銀行の利下げ決定によりドル高元安が進行、ユーロはパリティ割れとなりドル全面高の様相
〇NYダウとナスダックは大幅下落、大幅利上げ継続感の中で楽観論後退、米長期債利回りは上昇
〇137円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは、138円台を目指す上昇を想定する
〇136.69を割り込む場合はいったん下げに入るとみて、136円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は8月18日夜の米地区連銀総裁達による9月FOMCでの大幅利上げ支持発言が相次いだことをきっかけに8月8日高値135.57円を超えて一段高に入り、先週末の19日深夜には137.23円まで高値進行。週明けの22日も午前に137.43円へ高値を切り上げてからいったん137円割れを見たものの深夜には137.64円まで一段高となった。
8月22日は欧米の主要経済指標発表はなかったものの、日中に中国人民銀行が7か月振りの利下げを決定したことでドル高元安が進行したことをきっかけにドル高感が強まり、ユーロドルが夕刻に1ユーロ1ドルのパリティを割り込んでから23日未明に0.9924ドルまで大幅続落するなどドル全面高の様相となり、ドル円も押し上げられた。

【中国人民銀行が利下げで元安進行】

8月22日に中国人民銀行(中銀)は事実上の政策金利である最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.05%引き下げて3.65%とした。利下げは今年1月以来7か月ぶり。
中国はゼロコロナ政策の徹底により経済活動の停滞も顕著であり、8月15日に発表された7月の小売売上高や鉱工業生産及び1-7月の都市部固定資産投資が予想を下回って前月から鈍化したため、この時点で中国人民銀行は1年物中期貸出制度(MLF)と7日物リバースレポレートを予想外に引き下げているが、今回はそれに加えて政策金利の引き下げにも踏み切った。

1年物LPRは優良企業向け貸出金利の指標であり利下げにより企業融資を増やして景気を刺激することが目的とされる。また人民銀行は住宅ローン金利の基準である5年物LPRも3か月振りに0.15%引き下げて4.30%とした。
ドル/人民元は今年2月末の1ドル6.3025元を起点にドル高元安へ転じて4月後半から5月に急落、その後を持ち合いで推移していたが8月15日から再び急落となり8月19日、22日と年初来安値を更新している。元安がドル高感を助長しており、ドルストレート全般のドル高感を強めるきっかけとなった印象もある。

【ユーロはパリティ割れ、米長期債利回り上昇、NYダウ大幅下落】

ドル全面高が進行する中でユーロドルは8月22日に0.9924ドルを付けて1ユーロ1ドルのパリティを割り込んだが、7月14日に0.9950ドルを付けていったん戻りが8月10日の1.0368ドル、そこから下割れに至った。既に2017年1月底1.0341ドルを割り込んで2008年7月天井1.6035ドル以降の最安値を更新しているが、2002年11月以来の安値水準となっている。またポンドドルも8月22日に1.1739ドルを付けて7月14日安値を割り込み2021年6月1日天井1.4248ドル以降の最安値を更新した。
欧州もインフレ対策でECB及び英中銀が利上げしており、22日は独長期債利回り等も上昇しているが、エネルギー不足による冬場への景気後退懸念が重くリスク回避的なドルの買い戻しによりユーロの下げ足が早まってきている。

8月22日のNYダウは前週末比643.13ドル安、ナスダック総合指数も同323.65ポイント安と下落した。リセッション入りしても不況の深刻化には至らないとして楽観的な上昇を継続してきたが、米国の大幅利上げはさらに続くとの見方が強まる中で楽観論が後退しており、8月16日で戻りが一巡して下落再開に入っている印象だ。
8月22日の米10年債利回りは前週末比0.04%上昇の3.02%となった。6月14日の3.50%をピークに8月2日の2.52%まで大幅低下したところから切り返しに入っており22日はこの間の高値を更新して3%台を回復した。30年債利回りは前週末比0.01%上昇の3.23%で高止まり。2年債利回りは0.07%上昇の3.31%となったが、2年債と10年債及び30年債との逆イールドは続いている。
8月26日にジャクソンホール会合でのパウエル米FRB議長講演があり、年末から来年にかけての利上げペースが最近の地区連銀総裁達によるタカ派志向を示すのかどうか注目されるが、それまではドル高基調で推移しやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月17日夜高値から18日夜安値へと持ち合い型でやや安値を切り下げていたところから一段高したために8月19日午前時点では8月15日夜安値から3日目となる18日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクルに入ったとし、高値形成期を22日夜から24日夜にかけての間と想定した。
8月22日深夜へ高値を切り上げてからも137円台中盤を維持しているので138円台への一段高余地ありとみる。ただし8月17日夜高値から3日を経過しているので反落注意期とし、8月22日夜安値(136.69円)割れからは弱気サイクル入りとして23日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月16日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いてきたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、8月22日夜安値割れを伴う遅行スパンの悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先へ切り替え、先行スパン下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は8月17日夜高値以降の高値更新では指数のピークが繰り返し切り下がっているが、弱気逆行を消化して高値更新を続けている。22日夜も50ポイントを一時的に割り込んでも切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、現状から45ポイントを割り込む場合や70ポイント台到達後に50ポイントを割り込む場合は下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月22日夜安値136.69円を下値支持線、138.00円を上値抵抗線とする。
(2)137円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは138円台を目指す上昇を想定する。138円到達では売りも出やすいとみるが、勢い付く場合は138.50円前後へ向かう可能性もあるとみる。また137円以上での推移なら24日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)8月22日夜安値を割り込む場合及び138円到達後に137円を割り込む場合はいったん下げに入るとみて136円台序盤への下落を想定する。

【当面の主な予定】

8/23(火)
16:30 (独) 8月 製造業PMI速報値 (7月 49.3、予想 48.0)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 49.7、予想 49.0)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI速報値 (7月 49.8、予想 49.0)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 51.2、予想 50.5)
17:30 (英) 8月 製造業PMI速報値 (7月 52.1、予想 51.0)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 52.6、予想 51.9)
20:00 (欧) パネッタECB理事、講演

22:45 (米) 8月 製造業PMI速報値 (7月 52.2、予想 51.9)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 47.3、予想 50.0)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感速報値 (7月 -27.0、予想 -28.0)
23:00 (米) 8月 リッチモンド連銀製造業指数 (7月 0、予想 -5)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (6月 59.0万件、予想 57.5万件)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 -8.1%、予想 -2.5%)
27:00 (米) 財務省2年債入札

8/24(水)
08:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、Q&A参加
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 1.9%、予想 0.8%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 -8.6%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 -19.8%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省5年債、2年物変動利付債入札



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