3週連続「荒っぽい変動」、今週も乱高下か
〇先週のドル円、135円前後で寄りつき、当初ドルは強保ち合いで週刊高値135.58を示現
〇8/10米CPIの結果を受けドル急落、131円台後半まで4円近く下落、その後持ち直すも下げ幅回復出来ず
〇ここ3週は週間レンジが約5円、5円強、約4円と大きな変動続く、今週も薄商い=乱高下にも一応注意
〇今週発表される7月小売売上高、7月分FOMC議事録要旨公開など米経済指標の内容注視される
〇今週のドル/円予想レンジは131.50-135.50、先週末高値133.89をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向は、先週安値の131.76が強いサポート
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、再びドル安進行。しかし下値は限られ、前週記録した130.40円をザラ場ベースでも下回ることは出来なかった。
前週末は、中国による「ペロシ氏の訪台」抗議の動きが活発化。連日台湾周辺での軍事行動が観測されたほか、日本に関する要因としては10日も実施されると伝えられた「内閣改造人事」が話題に。ただ副総理や官房長官、外相、財務相などは留任の見込みとされていた。
そうした状況下、ドル/円は135円前後で寄り付いたのち、当初ドルは強保ち合い。一連の過程のなか、週刊高値の135.58円を示現している。しかし、10日に発表された米消費者物価が失望を誘う内容となったことで、一転ドルが急落。前記高値から131円台後半まで結果的に4円近い下落をたどっていた。その後、週末にかけて持ち直しの動きも見られたが、米消費者物価発表後の下げ幅すべてを回復することは出来ず。週末NYは133円半ばで取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「ペロシ氏の訪台」と「米金融政策と物価情勢」について。
前者は、事前に脅しをかけていたにもかかわらず、ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことで、メンツを潰された中国が怒り心頭だ。7日に台湾攻撃を想定した大規模な軍事演習は一応終了したものの、台湾周辺での軍事行動はその後も連日観測されている。そのなかには、事実上の停戦ラインである中間線を越えた演習も。また、中国が「台湾海峡での活動は常態化させる」などとした姿勢を変えなかったほか、発表した最新白書で台湾に対する「一国二制度」方針の撤回を示唆したことも話題に。緊迫した台湾情勢は、今週以降もまだ当面続きそうだ。
対して後者は、今月5日に発表された7月の米雇用統計が予想以上の好数字に。また、そののちボウマンFRB理事から「物価上昇が鈍るまで大幅利上げの継続を検討すべき」とのコメントが聞かれ、前述したような週明けドル高・円安傾向の一助となっていたようだ。しかし、先週10日発表された7月の米消費者物価がまさかの数字。ドルの強気派にとってはハシゴを外された格好で、指標発表後にドルは対円で3円近い「暴落」をたどるきっかけとなった。とは言え、そののち米サンフランシスコ連銀総裁から「9月の利上げは0.5%が妥当、ただし0.75%の引き上げも排除しない」とした発言が聞かれるなど、まだ米当局者には強気スタンスの向きが多いのだろう。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は7月4-8日週に、週間レンジが2円未満とようやく落ち着きを取り戻してきた感があったものの、その後は再び荒れ模様。とくにここ3週は週間レンジが約5円、同5円強、約4円−−と大きな変動が続いていることがうかがえる。いずれにしても、本邦は週の初めにかけて引き続き盆休みが予定されるなど、市場参加者の少ない状態が続くことから、今週も基本的には落ち着きどころを探る展開が予想され、「薄商い=乱高下」にも一応注意しておきたい。
材料的には、各国金利情勢に対する関心が引き続き高い。米国については、次回9月に開催されるFOMCにおける利上げ幅が「0.75%」ではなく、「0.5%」に縮小するとの観測が広がっているが、「どの程度利上げすべきか見極めるため、今後入手される経済指標を注視する」(リッチモンド連銀総裁)といった見方も少なくないようだ。そうした意味では、発表される米経済指標の内容に今週も注目で、とくに7月の小売売上高そして7月分のFOMCの議事録要旨公開も注視している向きが多く、内容如何では波乱もあるだろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円は移動平均の21日線と90日線に挟まれた動き。ちなみに、うち21日線は週明けには135円前半に位置し、週末にかけて134円台後半へと下降することが予想される反面、90日線は週初の132円前半から同半ばへと少しずつ下値を切り上げる見込みだ。今週も引き続き両者のあいだで一進一退を繰り返すのか、それともザラ場ベースだけでなくNYクローズでもしっかりとブレークしていくのか、その動静をしっかりと見極めたい。
そうしたなか今週は、8月のNY連銀製造業景況指数や7月の小売売上高といった米経済指標の発表が相次ぐうえ、7月分のFOMC議事録要旨公開も注視している向きが多い。なお、米国ではバイデン氏がすでに1週間程度の夏休み入りしているが、当初の予定では岸田首相も「8月中旬に1週間程度とる方向で調整」とされており、今週当たりバカンス入りする可能性もある。
そんな今週のドル/円予想レンジは、131.50-135.50円。ドル高・円安については、先週末高値の133.89円をめぐる攻防にまずは注目。超えれば134円台をスルーして135円前後、あるいは21日線を目指す展開も。
対してドル安・円高方向は、強いサポートが先週安値の131.76円で、その手前には前述した90日線が位置している。サポートとして寄与するのか否かにも注目だ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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