来週の為替相場見通し:『米CPI鈍化もドル売りは持続せず。来週はドル高再開に要警戒』(8/13朝)

今週は米長期金利の動向を睨みながら、131.50ー135.50をコアレンジに乱高下する不安定な値動きが続きました

来週の為替相場見通し:『米CPI鈍化もドル売りは持続せず。来週はドル高再開に要警戒』(8/13朝)

『米CPI鈍化もドル売りは持続せず。来週はドル高再開に要警戒』

〇ドル円、週明け135.55まで上昇後米CPI、PPIの鈍化に131.76まで急落
〇週末にかけては米長期金利の反転上昇、米当局者のタカ派発言に133.50レベルまで戻す
〇ユーロドル、米物価指標発表後、週間高値1.0369まで上昇、週末は1.0265前後まで反落
〇ドル円米長期金利の動向を睨み、131.50ー135.50をコアレンジに乱高下する不安定な値動き
〇テクニカルには、一目均衡表雲下限131.68や、先週安値130.43を確り死守、下値は堅いか
〇ファンダメンタルズも、米経済を巡るリセッション懸念の後退、株価の堅調等もサポート
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):132.00ー136.00、(EURUSD):1.0000−1.0375

今週のレビュー(8/8−8/12)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初135.01で寄り付いた後、@先週末金曜日に発表された米7月雇用統計が力強い結果を示したことや、A上記@を背景に米FRBによる次回9月FOMCでの大幅利上げ観測が再燃したこと(米長期金利上昇→日米名目金利差拡大→ドル買い・円売り)、B株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、週明け早々に週間高値135.55(7/28以来の高値圏)まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、C本邦「お盆入り」を控えた輸出企業のドル売り・円買いや、D米7月消費者物価指数(結果8.5%、予想8.7%、前回9.1%、※前年同月比)及び、米7月消費者物価コア指数(結果5.9%、予想6.1%、前回5.9%、※前年同月比)の伸び率鈍化、Eサンフランシスコ連銀デイリー総裁による「次回FOMCは50bp利上げがベースライン」とのハト派的な発言、F米7月生産者物価指数(結果9.8%、予想10.4%、前回11.3%、※前年同月比)及び、米7月生産者物価コア指数(結果7.6%、予想7.7%、前回8.4%、※前年同月比)の伸び率鈍化、G上記DEFを背景とした米FRBによる大幅利上げ観測後退(米長期金利低下→米ドル売り)が重石となり、週後半にかけて、週間安値131.76まで急落しました。

もっとも、一目均衡表雲下限(131.68)をバックに続落が阻まれると、H米当局者によるタカ派的な発言(今週発表された米CPIや米PPIの結果だけでインフレピークアウトと判断するのは時期尚早)や、I上記Hを背景とした米長期金利の反転上昇(米10年債利回りは7/22以来となる2.90%へ急上昇)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/13午前4時00分現在)では、133.50前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0179で寄り付いた後、@米金利上昇に伴うドル買い圧力(8/5に発表された米7月雇用統計の力強い結果→米FRBによる大幅利上げ観測浮上→米長期金利上昇→米ドル買い)や、A欧州経済の先行き不透明感、Bイタリアを巡る政局不透明感(イタリアの中道政党「アツィオーネ」が先週合意した中道左派・民主党との選挙協力体制から早くも離脱)が重石となり、週明け早々に、週間安値1.0158まで下落しました。しかし、8/5安値1.0141をバックに下げ渋ると、Cユーロ圏8月投資家信頼感指数(結果▲25.2、予想▲29.0、前回▲26.4)の市場予想を上回る結果や、Dロシア国営ガスプロム社による「ウクライナ経由で欧州へガスを供給し続ける」との楽観的な発表(エネルギー危機を巡る過度な悲観論後退)、E米7月消費者物価指数の伸び率鈍化、F株式市場の堅調推移(米FRBによる大幅利上げ観測後退→リスクオン再開)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.0369(7/5以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで上昇しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、G米当局者による相次ぐタカ派的な発言(シカゴ連銀エバンス総裁や、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁)や、H米長期金利の反転上昇(米10年債利回りが7/22以来の高水準へ急上昇)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/13午前4時00分現在)では、1.0265前後まで反落する動きとなっております。

来週の見通し(8/15−8/19)

<ドル円相場>
ドル円は7/14に記録した約23年10ヵ月ぶり高値139.40(1998年9月以来)をトップに反落に転じると、8/2に、一時130.40(6/6以来の安値圏)まで下げ幅を広げましたが、今週は米長期金利の動向を睨みながら、131.50ー135.50をコアレンジに乱高下する不安定な値動きが続きました(ボラティリティが極めて高く、短期筋にとっては短期間で想像以上の値幅を取れる魅力的な相場→投機筋の参入活発化→更なるボラティリティを生み出す悪循環)。但し、今週は米CPI、米PPIの伸び率鈍化といった強力なドル売り材料が出たにも係わらず、一目均衡表雲下限131.68や、先週安値130.43を確り死守することができているため、テクニカル的に見て、下値は堅いと判断できます(底固めフェーズ突入→来週以降の上昇トレンド再開に期待)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米経済を巡るリセッション懸念の後退(8/5に発表された米7月雇用統計の力強い結果)や、A上記@を背景とした株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、B米長期金利の高止まり(米CPI及び米PPIの鈍化を受けて次回FOMCでの75bp利上げ観測は後退するも、米当局者による相次ぐタカ派発言を材料に米長期金利は反転上昇)、C日銀による金融緩和の長期化方針、D上記BCを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、E米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する構え)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります(インフレピークアウト論が台頭したにも係わらず、米長期金利と米ドルが底堅さを保っているため、ドル円相場の下落リスクは小さいと判断)。

こうした中、来週は日本側では、8/15の本邦4ー6月期 GDP速報値や、8/19の本邦全国CPI、米国側では、8/15の米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数、ウォラーFRB理事講演、8/17の米7月小売売上高、米FOMC議事要旨(7/26ー27開催分)、8/18の米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、カンザスシティ連銀ジョージ総裁講演、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁講演、8/19のリッチモンド連銀バーキン総裁講演などに注目が集まります。米経済指標が良好な結果を示す場合や、米当局者よりタカ派的な発言が出てくる場合(含むFOMC議事要旨)などには、米リセッション懸念後退に伴うリスク選好の円売りと、米FRBによる大幅利上げ観測再燃に伴う米ドル買いの流れが組み合わさるため、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(来週は振れを伴いながらも今週高値135.55に向けて持ち直すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):132.00ー136.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/14に記録した約19年7ヵ月ぶり安値0.9952(2002年12月以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週半ば(8/10)にかけて、一時1.0369(7/5以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しましたが、週末にかけては再び1.02台半ばへと反落する冴えない動きとなりました。上方より一目均衡表の雲が垂れ下がってくることや、日足・週足・月足の全てで強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転+弱気のパーフェクトオーダー+ダウ理論の下落トレンド)が成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、リスクは依然ダウンサイドと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシアによるウクライナ進行から半年が経過するも未だ解決の糸口が見えず)や、A上記@を背景とした欧州圏のエネルギー逼迫懸念(ロシアからの天然ガス供給削減リスク→エネルギー危機発生を通じたユーロ圏のインフレリスク長期化懸念)、B欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによる金融引き締めは欧州経済への強い逆風)、C欧米名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い、Dイタリアを巡る政局不透明感など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/16に発表予定のドイツ8月ZEW景況感指数や、米当局者発言(ウォラーFRB理事、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、FOMC議事要旨など)に注目が集まります。米当局者からは来週も一貫してタカ派的なコメントが出てくる可能性が高く、週を通して、ドル買い圧力が強まるシナリオが想定されます。このため、上記ドイツ経済指標が不冴な結果となる場合には、欧州経済の先行き不透明感に伴うユーロ売りと、米当局者によるタカ派コメントを背景としたドル買い圧力が組み合わさることから、ユーロドルには強い下落圧力が加わる展開が想定されます。欧州経済指標や米長期金利の動向を睨みながらも、来週はユーロドルの下落リスクに特に警戒が必要でしょう(8月中にパリティ割れを試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0000−1.0375

注:ポイント要約は編集部

『米CPI鈍化もドル売りは持続せず。来週はドル高再開に要警戒』

ドル円日足

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