ドル円 140円の大台を前に調整局面(週報7月第3週)

先週のドル円は、週初からユーロドルがパリティを試す動きが続き対ユーロでのドル買いがドル円も底堅くする流れが見られました。

ドル円 140円の大台を前に調整局面(週報7月第3週)

ドル円 140円の大台を前に調整局面

〇先週のドル円、一時139.39まで上昇、週末にかけ調整の動きで引ける
〇日米財務相会談での為替介入否定、ユーロドルパリティ割れでドル買いの動き目立つ
〇米国CPI予想大幅超えの9.1%、FOMCでの1%利上げ思惑が広がり139円台乗せに
〇今週開催予定の日銀会合、円安に関する黒田総裁発言に注目
〇ECB理事会では0.25%利上げ予想、次回9月会合での方向性探る機会に
〇両会合でサプライズあれば、ドル高に対する調整の動きを期待
〇今週は137.00レベルをサポートに139.00レベルをレジスタンスする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初からユーロドルがパリティを試す動きが続き対ユーロでのドル買いがドル円も底堅くする流れが見られました。13日の米国CPIは予想を大きく上回る年率9.1%と発表され一時的にドル高に動いたもののその後すぐに元の水準へと押したことで、影響は限定的とも見られましたが翌14日には7月FOMCで1%利上げ思惑が広がる中でFRB関係者からも1%利上げの可能性を指摘する発言が出たことで一気に139円台に乗せ欧州市場前場に139.39レベルまで高値を伸ばしました。週末にかけては東京3連休を控えてポジション調整で終わりました。

今週から主要国の金融政策決定会合が開かれますが、主要国では21日に日銀会合とECB理事会があり、日銀会合では足元の企業物価上昇や今後のCPIへの波及、そして急速に進む円安に対して黒田日銀総裁が会見でどのような発言を行うのかが注目されます。またECB理事会では0.25%の利上げが行われ−0.25%となることがコンセンサスですが、次回9月の理事会で0.25%なのか0.5%なのかのヒントを探るという点が注目されるでしょう。どちらの会合も動くとすれば最近のドル高の動きに対する調整の動きが期待されますが、特に何も目新しいことが無ければこれまでのドルが底堅い動きを続けやすいと見られます。

先週も示した通り最近では日米金利差と円相場の相関はほぼゼロかわずかに負の相関となっていて日米金利差は拡大方向ではあるものの、このことがドル買い・円売り材料だとは言えなくなっています。また先週に関して言えば日経平均の上昇によるリスクオンの動きが円売りにつながったと見る向きも多いのですが、こちらも数値で見ると相関係数が0.3から0.5に上がったに過ぎず決して連れ高と言えるほどの動きではありません。

敢えて言うならば週初に年初来高値を更新する動きに重なって火曜には日米財務相会談で改めて為替介入を否定されたこと、そしてユーロドルがパリティを割り込んだ動きに影響を受けてのドル買いが目立ったということに落ち着きそうです。

今週は今週後半から来週FOMCまでの一連の金融政策イベントを前に週前半は調整が入りやすくそこで日銀会合とECB理事会の結果を見てFOMCまでの動きとしてどうするのかを考え直すという動きになると見ています。またテクニカルには節目となる大台140円以外には目立ったレジスタンスやターゲットはありませんが、日柄的には先週14日の139.39レベルが短期的な高値となる可能性があり、個人的には今週は先週高値を超えられないと考えています。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

3月末の押しを起点とした上昇N波動(ピンク)において、ターゲットとなっていた127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションの139.16を達成したこと、また先週青のラインで示した上昇ウェッジの中での動きを継続していることから、今週も押しが先行後に再上昇という動きがテクニカルにはもっともあり得そうなシナリオとなります。

個人的には新高値更新は無いと考えていますので、ウェッジ下側のサポートラインと重なる137.00レベルをサポートに139.00レベルをレジスタンスと、138円をもみあいの中心とする週を見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月18日(月)
**:** 東京市場休場
07:45 NZ4〜6月期CPI
23:00 米国7月NAHB住宅指数

7月19日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
15:00 豪州6月失業率
18:00 ユーロ圏5月建設支出
18:00 ユーロ圏CPI ☆
21:30 米国6月住宅着工・建築許可
26:45 英中銀総裁講演 ☆

7月20日(水)
08:10 豪中銀総裁講演
08:50 本邦6月貿易収支(通関)
**:** 日銀会合(〜21日)
15:00 英国6月CPI ☆
15:00 ドイツ6月PPI
17:00 南ア6月CPI
18:00 ユーロ圏5月建設支出
23:00 米国6月中古住宅販売
23:30 週間原油在庫統計

7月21日(木)
07:45 NZ6月貿易収支
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス7月企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
23:00 米国6月景気先行指数

7月22日(金)
08:01 英国7月消費者信頼感
08:30 本邦6月CPI ☆
15:00 英国6月小売売上高
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国7月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月11日(月)
ドル円はユーロドルの売り(ドル買い)に引っ張られて東京前場からドル高に動きました。黒田日銀総裁が改めて緩和継続に言及したことも材料視されましたが、東京後場は12日の日米財務相会談も気にして一時的に下押しも見られました。海外市場に移ってからは改めてユーロドルに引っ張られNY前場には137.75レベルまで上伸後にやや押して引けました。

7月12日(火)
ドル円は東京市場では日米財務相会談を前にドル高値圏でのもみあいが続いていましたが、声明は出たものの単に為替について話した程度としか取れず、特に目立った反応も無く欧州市場入り。欧州市場前場に下げた動きは先行して下げていた米金利の動きに追随したこと、東京安値を下抜いたことでテクニカルな売りが出たことが要因でした。NY前場には136.47レベルまで下げた後に後半へと買い戻されて引けました。

7月13日(水)
ドル円は底堅いものの米国CPIの発表を控えて137円前後でのもみあいを続けていました。注目の米国CPIは予想を大きく上回る年率9.1%となったことで米金利が急上昇する動きとともにドル円も大幅高。やや押す場面も見られましたがNY昼前には137.87レベルへと年初来高値を更新し、引けにかけては137円前半へと押しました。

7月14日(木)
ドル円はFRB関係者からも7月FOMCで1%利上げの可能性を示唆する発言が出たことをきっかけに早朝から円安が進行、昼前に138円台に乗せてからも円安の動きは止まらず欧州市場序盤には139.39レベルと高値を更新しました。海外市場では139円を挟んで横方向の動きとなっていましたが、別のFRB関係者は0.75%が基本と発言したことで若干上値が重たい地合いで引けました。

7月15日(金)
ドル円は東京が3連休となる週末ということもあり積極的な取引は手控えられていた様子でした。終日ユーロドルが上昇する動きとともにドル売りとなってはいましたが、前日までのドル買いに対するポジション調整程度で終わった印象でした。

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