ドル高基調継続、いよいよ140円台乗せも(週報7月第3週)

先週のドル/円相場はドルが一段高。週のザラ場ベースでは一時139.39円まで上昇し、名実とも「140円台」が視界内に捉えられてきた。

ドル高基調継続、いよいよ140円台乗せも(週報7月第3週)

ドル高基調継続、いよいよ140円台乗せも

〇先週のドル円、136円を週間安値に139.39まで上昇、今週も140円を再トライか
〇米6月CPI前年比プラス9.1%、「7月FOMCで1.0%利上げ」見通しが台頭
〇米大幅利上げ期待は引き続き根強い、ドル高・円安基調は継続と想定
〇今週はフィラデルフィア連銀景況指数、同製造業PMI速報値、米企業決算発表を予定
〇日銀とECBによる政策金利発表、欧州ノルドストリーム・パイプライン検査終了にも注意
〇今週のドル/円予想レンジは137.00-141.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが一段高。週のザラ場ベースでは一時139.39円まで上昇し、名実とも「140円台」が視界内に捉えられてきた。

前週末は、ウクライナ侵攻以来初めてとなる、中国の王国務委員兼外相とブリンケン米国務長官の会談が実施され話題に。また、10日投開票された日本の参院選は、自民党が改選議席の過半数となる63議席を単独で獲得し大勝している。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた136円レベルを週間安値に右肩上がり。週明けから年初来高値を更新し137.75円を示現するも、一旦は上げ渋り。136円半ばへの調整的下押しを経たのち、週末にかけてドルは再上昇へと転じている。上方向のストップロスを次々巻き込むと14日には139.39円の高値を示現。週末NYは、やや小緩んだ138円半ばで大引けている。
なお、それとは別にユーロ/ドルが下げ止まらず、13日には約20年ぶりとなる「パリティ(1ユーロ=1ドル)」割れも観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日米為替スタンス」について。
前者は、13日に発表された6月の米CPIが、前年比でなんとプラス9.1%に。予想を大きく上回る内容で、それを受け次回7月のFOMCでは0.50%や0.75%ではなく、1.00%の利上げを実施するとの見方が市場で急台頭すると、ドル高の支援要因に。また実際に、アトランタ連銀総裁が「1.00%の利上げを検討する可能性がある」との見方を示したほか、アディエモ米財務次官からも「物価押し下げにあらゆる措置を講じる」とした発言が聞かれていたようだ。そののち、ウォラーFRB理事が「7月FOMCで1.0%の利上げ実施はやや先走っている可能性がある」と火消しに動くも、「0.75%の利上げが自身の基本シナリオ」と述べるなど、大幅利上げそのものは否定しなかった。

対して後者は、12日の東京で注目の日米財務相会談が実施され、「為替相場の変動に適切に対応する」とした共同声明が発表されている。しかし、これは飽くまでも総論での合意。各論は逆に日米の認識の違いが明らかとなった。そもそも、日本の財務省幹部も認めているように「会談で為替介入に関する議論はなかった」うえ、日本政府が最近の円安を憂慮していると説明したのに対し、米国サイドからは特段のコメントやアクションはなかったという。さらにロイターによると、イエレン米財務長官は会談後、記者団に対し「為替介入はまれで例外的な状況でしか正当化されない」と改めて慎重な見解を示したという。やはりファンダメンタルズに沿った円安を消極的ながら容認していると考えて間違いなさそうだ。

<< 今週の見通し >>

年明け以降のドル/円相場は、明確な調整と思しき動きもないまま右肩上がり。先週ついに140円へあと一歩まで接近してきた。流れや勢いからすると、今週中にも140円を再トライそして抜けていく局面があっても不思議はない。なお、1ドル=140円という水準はあくまで心理的なメドで、チャート的には特別大きな意味はない。そうした意味での上値メドは1998年高値の147.64円となる。時間を掛けつつだが、さらなるドル高進行も想定し得る。

前述したように、ウォラーFRB理事が火消しに動くも、先週発表された6月の米CPIがかなり強い数字だったこともあり、「7月FOMCでの1.0%利上げ」見通しが依然として取り沙汰されるなど、米の大幅利上げ期待は引き続き根強い状況だ。日程的には、いわゆる「ブラックアウト期間」へと入り、米当局者からの発言が期待できないなか、米経済指標や企業決算、株価などの動きをにらみつつ、ドルの底堅い値動きは続く可能性が高い。なお、それ以外の要因でいえば、先週ユーロ/ドルが約20年ぶりに「パリティ」を割り込んだこともあり、欧州情勢にも要注意。とくに、21日とされる天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」の検査終了を警戒している向きが多い。

テクニカルに見た場合、ドル/円週足は7週連続の陽線引け。今年3月から5月にかけて9週連続陽線引けとなったが、それに続くものとなる。それだけが理由ではないが、ドル高・円安基調は続いていると考えざるを得ず、さらなる上値トライもあり得るか。いよいよ140円台へと乗せてくる展開も。ただ、その場合には、政府・財務省が単独になるが「実弾介入」に打って出る可能性もゼロではないだろう。

そうしたなか今週は、7月のフィラデルフィア連銀景況指数や同製造業PMI速報値などの米経済指標が発表されるほか、ゴールドマンサックスを中心とした米企業決算の発表などが予定されている。また日銀そしてECBによる政策金利の発表、さらには前段で取り上げた天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」の検査終了なども要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、137.00-141.00円。ドル高・円安については、まず先週高値の139.39円、抜ければ心理抵抗の140円を目指す展開に。
対してドル安・円高方向は、137円後半に弱いサポートが位置しており、それを下回ると137円割れも。ただ、いずれにしても底堅いか。

ドル高基調継続、いよいよ140円台乗せも

ドル円日足

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