ドル円 引き続き振れやすく新高値トライか(週報6月第3週)

先週のドル円はFOMCと日銀会合、日米両国の金融政策決定会合がともに注目度の高い一週間となりました。

ドル円 引き続き振れやすく新高値トライか(週報6月第3週)

引き続き振れやすく新高値トライか

〇先週のドル円、米FOMC後134.95まで上昇、一時下げるが135円台に戻し週末クローズ
〇FOMC想定通り0.75%利上げ、パウエル議長7月会合で0.5%利上げ余地も残す発言
〇リスクオフの動きから円買い強まり132円台へ、日銀現状維持方針で134.62まで反発
〇依然としてドル高地合い継続、円安スピード鈍化が今週の流れか
〇今週はパウエル議長議会証言、米国6月製造業・サービス業PMI速報値など予定
〇今週は133.00レベルをサポートに136.40レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円はFOMCと日銀会合、日米両国の金融政策決定会合がともに注目度の高い一週間となりました。FOMCはブラックアウト期間(FRB関係者が発言できない期間)にWSJのフェドウォッチャーが0.75%利上げの観測記事を出したことで6月・7月のFOMCにおいて0.75%利上げの思惑が高まっている中での発表となりました。結果はリーク通りに0.75%の利上げとなり、直後はドル買いとなったもののパウエル議長が7月は0.5か0.75と0.5%利上げの余地を残したことで株高+ドル安となりました。

翌日は先週コラムでも取り上げましたが円債先物の価格が急落(利回りは上昇)したことで、海外勢を中心に金曜の日銀会合で政策の修正が行われる可能性が突然取りざたされることとなり、ドル円は円買いに動きました。債券市場でも現物市場では日銀が指値オペをしている関係で動きは限定的ですが、先物市場には日銀は入らず受け渡し適格銘柄のオペレーションで間接的に金利を抑えることとなるための先物市場における波乱で、ダイナミック・サーキット・ブレーカーが発動するほどの急落を演じました。

しかし金曜の日銀会合では現状維持と先物市場の反乱を抑えにかかり、今回は日銀の勝利に終わったという流れですが、今後もインフレは続くことから、また同じような動きが出てくる可能性も高く、日銀がイールドカーブコントロールの変動幅を0.25%から広げるといった事態も考えておく必要はあるでしょう。少なくとも次回会合までは現在の金融政策が継続されるため、引き続き日米金利差拡大がドル高要因ということになります。

また米金利上昇が今後も確実視され、FOMCのドット・プロット(金利見通し)においても2022年末の中央値が3.375%と3月から大幅に上昇してきましたが、こうした動きが株式市場では当然悪材料となっています。暗号資産市場とともにリスク資産におけるリスクオフの動きは先週のドル円の動きを見ている限り従来型のリスクオフ相場(円高)となる可能性もあり、株式市場の動き次第ではドル円の上値が抑えられる流れです。

全体として考えると依然としてドル高地合いは継続するものの、今までのようなペースではなく円安スピードが鈍化してくるというのが今週の流れであると見ています。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

先週示した長期ターゲット147.67レベルまで目立ったレジスタンスは無いのですが、円安ペースが鈍ってくることを考えると今週はもっと低い水準を考える必要があります。こちらは日足チャートを見るとわかりますが136.42という水準で、3月末の押しを起点に上昇N波動を考えた場合の100%エクスパンションとなります。

また、下値は先週の安値を下回ることは考え難いものの最近のレンジを考えると2円くらいは普通に動きますので133円あたりまでの押しは考えておく必要はありそうです。今週も上下ともに動きが出やすいものの新高値トライの可能性も見て、133.00レベルをサポートに136.40レベルをレジスタンスと先週同様の見方を示しておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

6月20日(月)
**:** 米国市場休場
15:00 ドイツ5月PPI ☆
16:00 エストニア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏4月建設支出
22:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
25:45 セントルイス連銀総裁講演
28:30 レーンECB理事講演 ☆

6月21日(火)
09:00 豪中銀総裁講演 ☆
10:30 豪中銀6月会合議事要旨公表
17:00 フィンランド中銀総裁講演
23:00 米国5月中古住宅販売
25:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
28:30 リッチモンド連銀総裁講演 ☆

6月22日(水)
07:45 NZ5月貿易収支
08:50 日銀4月会合議事要旨公表
15:00 英国5月CPI ☆
22:30 パウエルFRB議長上院議会証言 ☆
23:00 ユーロ圏6月消費者信頼感
25:50 (シカゴ連銀総裁講演)
26:30 (フィラデルフィア連銀総裁講演)

6月23日(木)
15:45 フランス6月企業景況感
16:15 フランス6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 パウエルFRB議長下院議会証言 ☆
24:00 週間原油在庫統計
**:** EUサミット(〜24日)☆

6月24日(金)
**:** NZ市場休場
08:01 英国6月GFK消費者信頼感
08:30 本邦5月CPI ☆
15:00 英国5月小売売上高
17:00 ドイツ6月ifo企業景況感
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感
23:00 米国5月新築住宅販売

6月26日(日)
 **:** G7サミット(〜28日)☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月13日(月)
週明けのドル円は金曜NY市場でのドル高の流れを継続し昼過ぎに一時135.20レベルと1998年以来の円安水準となりました。しかし2002年高値135.16レベルをトライした達成感と10年債利回りが上限の0.25%を超えた動きもあって反落。その後は米金利上昇加速による株安からドル円、ユーロ円で円買いの動きとなりNY前場には133.59レベルの安値をつけました。NY後場にはWSJが0.75%利上げの可能性に言及し改めてドル高に戻り134円台半に戻して引けました。

6月14日(火)
ドル円は上下を挟みながらも円一段安の展開となりました。FOMCで0.75%利上げが想定される中で日銀は国債の買い入れ枠拡大(金額、期限とも)を通告したことで、一段の金利差拡大思惑が円売りにつながり、135.47レベルとドル高値引けとなりました。

6月15日(水)
ドル円は前日NYの引け直後に135.59レベルと高値を更新したものの、米金利が低下に転じたことも重なってFOMCを前に短期筋の利食いが目立つ流れが続きました。その後も上値は重く134.35レベルでFOMC待ち。FOMCでは事前のリーク通りに0.75%の利上げと1994年以来の大幅利上げとなり、直後にはドル買いの動きから134.95レベルまで上昇。しかし、議長会見において0.75%は一般的ではなく次回は0.5か0.75と発言したこともあって、ドル売りの動きから133.50レベルの安値をつけた後で133.80レベルに戻して引けました。

6月16日(木)
ドル円は東京前場こそドル買いが先行し134.68レベルの高値をつけましたが、戻り売りを考える向きも多く欧州市場序盤に日経先物の売りが強まると従来型リスクオフの動きから円買いが強まりました。前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら132円台前半へ。その後NY市場昼前までは132円台後半でのもみあいが続きましたが、日銀会合で何らかの政策修正が入るのではとの思惑から一時131.49レベルまで下げ幅を広げた後132円台に乗せて引けました。

6月17日(金)
日銀会合を前に前日の下げに対する買い戻しが先行、昼前に結果発表があり現状維持が伝わると134.62レベルまで反発しました。その後も底堅い展開が続き黒田総裁会見では急激な円安に対する懸念は示されたものの反応は鈍く、NY昼前には135.42レベルの高値をつけ、やや押しての週末クローズとなりました。

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