金利差着目したドルの底堅い動きは継続
〇先週のドル円、135.58高値に4円超える下げ記録、週末にかけ135円台までほぼ全戻し
〇米FOMC、予想上回る0.75%利上げ発表、一方の日銀、現行金融緩和継続を主張
〇NYダウ一時1000ドル超える下落、S&P500過去最高値から20%超の下げ
〇リスクは依然ドル高方向、今週は140円方向に向けた展開か、ドル高値圏で強保ち合いか
〇今週はシカゴ連銀全米活動指数、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言等予定
〇今週のドル/円予想レンジは132.80-136.80、135.58めぐる攻防に注目
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが続伸。ザラ場ベースで一時135円台を示現するなど、年初来高値を再び更新する局面も観測されたが、これまでと比べるとやや伸び悩んだ感も。
先週末は、アジア安全保障会議を舞台に米中の対立がそこここで観測され話題に。一方、それとは別に韓国からの報道によると、北朝鮮が12日の午前にまたもやミサイルと思しき複数の飛翔体を発射していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は134.35-40円で寄り付いたのち、揉み合いながらもドル底堅い。15日に予定されている週間最大の注目要因米FOMCをにらみつつ、一時週間高値の135.58円を示現している。しかし、米FOMC終了後は「噂で買って事実で売る」という相場格言通りの動きで、一転してドル売り優勢。131円台まで4円を超える下げをたどったが、週末にかけては再びドル高に。Vの字型の回復となり、135.42円とほぼ100%近い戻りを達成し、週末NYは134.90-95円で取引を終え越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「各国金融政策」と「ほかの金融市場の動き」について。
前者は、先週は日米をはじめとする中銀が金融政策の発表を行い、金融市場で話題となっていた。まず先鞭をつけたのは米国。15日のFOMCで、市場予想を上回る0.75%の利上げを発表したうえ、パウエルFRB議長が会見で、7月の次回会合でも0.75%利上げの可能性を否定しなかったことも思惑を呼ぶ。続けて16日には英中銀が0.25%の利上げに踏み切ったが、こちらはほぼ事前予想どおり。しかし、それに先立ちスイス中銀が2007年以来となる想定外の利上げを実施し、為替市場を一時パニックに陥れている。一方、そののち日銀は「政策金利の現状維持」を発表するとともに、黒田日銀総裁は「必要な時点まで現行緩和を継続する」などと主張。従来からまったくブレない姿勢を示していた。
対して後者は、週間を通して為替以外の金融市場も荒れた値動き。週明け早々13日にNYダウがザラ場ベースで一時1000ドルを超える下落を記録。またS&P500も過去最高値から20%超の下げで、ロイターでは「弱気相場入りが確認された」と報じられている。その後も米株は冴えず、たとえばNYダウは2021年以来の3万ドル割れをたどり、週末NYも29800ドル台で引けるなど、記録尽くめの一週間だった。また、それとは別に暗号資産(仮想通貨)ビットコインも週間を通して売りが目に付く。2万ドル割れは免れたものの、それでも一時20100ドルまで下落するなど、およそ1年半ぶりの安値を示現(この週末18日に2万ドル割れを記録)。大手融資サービスのセルシウス・ネットワークが出金や送金などを一時停止したことが嫌気され、大いなる売り圧力にさらされていた。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円を見て、ドルの基調の強い状況はまだまだ続くことが再確認された。15日に記録した135.58円を高値に一時4円を超える下げを記録し、これで短期的には調整局面入りがほぼ確実かと思っていたのだが、舌の根も乾かぬうちに135円台までほぼ全戻しを達成してしまった。呆れるばかりのドル買いの強さと言えよう。今週も基本的なリスクはドル高方向で、仮に調整が入ったとしても底堅く、ドルが大崩れする展開は見込みにくい状況だ。
先週は日米英そしてスイスが政策金利の発表を行ったが、利上げに踏み切らなかったのは日本だけ。あのスイスまでも利上げに踏み切るなか、日銀の対応は改めて異質であると知らしめる結果となった。いずれにしても、日米などの金利差を考えれば引き続きドル高・円安が続くと考えられる。そうしたなか若干気掛かりなのは、NYダウをはじめとする米株の動きと米ファンダメンタルズ。後者については、「FRBの金融引き締めによって米国は景気後退に陥る公算もある」といった見方もあり、発表される米経済指標にもしばらくは要注意。
テクニカルに見た場合、今週のドル/円はドル買いが再燃し「140円方向に向けた展開をたどる」か「ドル高値圏で強保ち合い」の2択ではないか。つまり、どちらにしてもドルは底堅く、先週示現したドル安値131円半ばはなかなか強いサポートとして寄与する可能性がある。
3週間強で9円を超える上昇をたどっていることで、調整にも当然要注意だが、その場合でも底堅く、価格ではなく時間調整となりそうだ。
そうしたなか今週は、5月のシカゴ連銀全米活動指数や6月のミシガン大消費者信頼感指数確報などの米経済指標が発表されるなか、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言が実施される見通しだ。またEU首脳会議や、ウクライナ大統領がオンライン形式で参加するものと予想されている週末のG7州会議など注目材料は目白押しとなっている。
そんな今週のドル/円予想レンジは、132.80-136.80円。ドル高・円安については先週示現した高値135.58円をめぐる攻防にまずは注目。上抜けると、再び軽い青天井をたどる可能性もある。
対してドル安・円高方向は、日銀会合前後に推移していた133円半ばが一応の下値メド。ただ、割り込んでもそれほど大きく下げる展開は予想しにくく、131円半ばはかなり強い下値メドか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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