ドル円 再びドル値高リスク、年初来高値更新も(週報6月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが反転高。週末には5月9日以来の高値、一時131円寸前まで値を上げる局面も観測されていた。

ドル円 再びドル値高リスク、年初来高値更新も(週報6月第1週)

ドル円 再びドル値高リスク、年初来高値更新も

〇先週のドル円、安値126.86示現後ドル買い戻し優勢、130.98まで一時上昇
〇米雇用統計予想上回りドル支援要因に、年初来高値131.35視界内に捉える
〇先週は金融引き締め継続警戒で米株下落、上値追い限定的にとどまる可能性も
〇今週は5月消費者物価指数、6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値など予定
〇今週のドル/円予想レンジは128.50-132.50、130.98めぐる攻防にまずは注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが反転高。週末には5月9日以来の高値、一時131円寸前まで値を上げる局面も観測されていた。

前週末、ロシアが「ウクライナ東部の要衝リマンなどを制圧した」ことを明らかにするなか、日米韓外相が「北朝鮮のミサイル発射を非難」する共同声明を発表したことも話題となっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は127.15円で寄り付いたのち、週間安値の126.86円を示現。しかし、下値追いもそこまでで、以降はドルの買い戻しが週間を通して優勢だった。130円を突破したレベルでは一時上げ渋るも、週末に発表された注目の米雇用統計が良好な内容になったことを好感。再びドルが買われると、一時131円寸前まで値を上げている。週末NYも、そのままドルの高値圏130.80円レベルで取引を終え越週するなど、「寄り付き安・大引け高」の様相だった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米欧の金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、今週9日にECB理事会を控えるなか、市場筋のあいだではECBの利上げ期待が高まっている。先週5月31日にもフランス中銀総裁が「漸進的だが断固とした金融政策正常化は必要」と述べ、今月ではなく次回7月の利上げを後押しする発言。また、スロバキア中銀総裁はECBの利上げ幅について、「7月に0.25%、9月に0.50%になる可能性がある」と述べ、ユーロ買いを後押ししていた。対して、米国は発表された5月のISM製造業景況指数や同雇用統計が予想を上回る内容となるなか、米地区連銀総裁からも強気コメントが相次ぎ、週間を通してドルの支援材料に。しかし反面で、日本は引き続き米欧と異なる対応を見せており、実際に2日には安達日銀審議委員が「物価目標実現まで緩和政策を粘り強く続ける」とコメント。金融緩和に向けたスタンスは少しも変化していないことが再認識されている。

対して後者は、戦闘に関しては前述した「ウクライナ東部の要衝リマンなどを制圧」との発表に加え、ゼレンスキー大統領も「ロシア軍がウクライナの国土の約20%を占領している」ことを明かすなど、戦況としてはロシア軍の攻勢が目に付いた。そうしたなか、決定を先送りしていたEMEAクレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)が、4月に期限を迎えたロシア国債の利息分ついて、6月1日ついに「支払い不履行」に相当すると認定。これにより、ロシアは約100年ぶりに対外デフォルトと見なされる可能性が高まったことが金融市場で大いに話題に。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、結果として週間を通してドル独歩高の様相。前述したように「寄り付き安・大引け高」の様相で、その間のドル高進行は4円を超える。ドルの下値トライが失敗に終わっただけでなく、再びリスクがドル高方向へと向かっていることは間違いなさそうで、今週はドル続伸の有無にまずは要注意だ。ポジションは再び偏りつつあるものの、まずは年初来高値131.35円の攻防が注視されており、抜ければまたもや軽い青天井状態からドル大幅続伸もあり得る。
先でも取り上げたように、欧州も金利引き上げへと舵を切った感があり、ますます日本のスタンスの異質さが目立っている。今後さらに拡大することが確実な単純な金利差からすると、円は対ドルだけでなくユーロやポンド、豪ドルなど多くの通貨で売り込まれ、全面安推移をたどっても不思議はない。ただ、問題は米金利正常化の動きを株式市場がどう判断するか。先週末には、金融引き締め継続を警戒してNYダウなど米株式は再び下落しており、そうした動きが今週も続くなら、ドルの上値追いも限定的にとどまる可能性がある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末に130.98円まで一時上昇するなど、年初来高値131.35円を視界内に捉えている。個人的にはドルの上値の重い展開を見込んでおり、131円台は「近くて遠い存在」と考えていたのだが、さすがに軌道修正。週内にも131.35円を超えていく展開を見込まざるを得ない状況だ。なお、一足飛びということではないにせよ、131.35円を超えた場合には2002年高値の135.20円が上値メドとなる。ドルのさらなる続伸にも要注意。

そうしたなか今週は、5月の消費者物価指数や6月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値といった重要な米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債などの入札も実施される見込みだ。またアジア安全保障会議出席をはじめとする国際会議や、ECBによる政策金利の発表なども場合によっては波乱要因に。

そんな今週のドル/円予想レンジは、128.50-132.50円。ドル高・円安については先週高値の130.98円そして年初来高値131.35円をめぐる攻防にまずは注目。上抜けると軽い青天井状態のなか、具体的な上値メドとなると少し遠いが133.80円レベルか。
対してドル安・円高方向は130円、そして129円半ばなどが弱いサポート。それらを割り込めば移動平均の21日線が位置する128.80円前後を目指す展開も。

ドル円 再びドル値高リスク、年初来高値更新も

ドル円日足


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