米株の動きに注目、さらなるドル安進行も(週報5月第4週)

先週のドル/円相場はドルが続落。一時127.03円と、4月27日以来の安値まで値を崩す局面も観測されていた。

米株の動きに注目、さらなるドル安進行も(週報5月第4週)

米株の動きに注目、さらなるドル安進行も

〇先週のドル円、週間高値129.78示現後、安値127.03まで下落
〇NYダウ8週連続下落、FRB利上げや資源食料高、米ファンダメンタルズ悪化が背景
〇米株下げ止まらない限りドル反転難しい、125円方向に向けたドル安進行注意
〇今週は米1-3月期GDP改定値、日米首脳会談、FOMC議事録要旨公開を予定
〇今週のドル/円予想レンジは126.00-129.30、128.20-30の攻防に注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続落。一時127.03円と、4月27日以来の安値まで値を崩す局面も観測されていた。

前週末、フィンランドやスウェーデンがNATOへの正式加盟の方針を表明したことが話題に。一方、先週初めて国内での新型コロナ感染を表明した北朝鮮でさらに感染が広がり、すべての省や群がロックダウンしたと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は129.25円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。一連の過程のなかで、週間高値の129.78円を示現。しかし、高値を示現後は一転してドル安が進行すると、そのまま週間安値の127.03円まで2.7円ほどとなかなか大きな下落も観測されていた。週末NYにかけて若干持ち直すも、上値は重く127.90円前後で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「米株とファンダメンタルズ」について。
前者は、戦況について五分五分。ウクライナ軍から「ロシア軍がハリコフから撤退を始めた」との発表が聞かれた反面、「ウクライナ製鉄所で新たに約771人が投降」、「ロシア軍がドンバス地域を完全に破壊」といった報道も観測されていた。そうしたなか、新たな火種として思惑を呼んでいたのはフィンランドとスウェーデン、北欧2ヵ国がNATOへの正式加盟を表明したこと。プーチン大統領が「NATO側の軍事施設がスウェーデン国内に置かれた場合は対抗措置を取る」と恫喝を行っているなど、今後の動き如何では戦火の拡大も懸念されていた。

対して後者は、日経新聞が「歴史的な下げ局面」と評するような展開。レベル的には31000ドル割れと、昨年3月初め以来のレベルを示現したほか、NYダウの週足は8週続けての下落をたどっており、こちらが「大恐慌」1932年以来90年ぶりのことになるという。急速な株安が進行している背景は、FRBによる性急な利上げと、ウクライナ侵攻を受けた資源高や食料高。さらに米金利上昇も一因となっての米ファンダメンタルズの悪化懸念を無視できない。とくに後者、米ファンダメンタルズについては最近発表される米経済指標で冴えないものが多く、それも嫌気されていた。いずれにしても、今週さらに下値を試すのか、ナスダックなどほかの株価指数も含め、動静には引き続き要注意だ。

<< 今週の見通し >>

週足のドル/円相場は9週続けての陽線を示現後、2週続けての陰線引け。中長期的ドル高基調は続いているにしろ、短期的にはさらに調整色が濃くなった。それも、かつては時間調整と思しき様相だったが、それが価格調整へと変化した公算が大きく、ドルは下値余地が拡大したようだ。4月27日安値126.95円も近い、先週安値127.03円をしっかり下回ると、さらなるドルの深押しも。125円方向に向けた一段のドル安進行には十分に注意を払いたい。

先週、イエレン米財務長官は「米国の金利が上昇するなかでドルが上昇しているのは理解できる」と発言。消極的ながら実質的にドル高を容認するコメントであり、ドル買いにもお墨付きを得た感があったものの、相場は逆にドル安・円高が進行している。その理由は、前記したように米ファンダメンタルズ悪化などを懸念しての米株安が進行したこと。したがって、逆に言えば米株が本格な下げ止まり、もしくは底打ちしない限りドルもしっかりとした反転をたどるのは難しい。今週は、重要とされる政治的な会合も数多いが、やはりまずは発表される米経済指標と、それも含めた米株の動きを注目しておきたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は直近に131.25円と131.35円でダブルトップを達成したのち下値を試す展開だ。ただ、ドルの下値も4月27日安値の126.95円と、先週安値127.03円でダブルボトムのようにも見える。よって、状況はまだ混とんとしており、油断禁物ながら基本的には「中長期ドル高、短期はドル安」リスクが高いと考える。先週安値をしっかり下回ると、125円方向に向けた一段のドル安進行、場合によってはかなりのドルの深押しをたどることも懸念されているようだ。

材料的に見た場合、中長期的には、バチュレ国連人権高等弁務官による中国新疆ウイグル自治区訪問も注視されている「中国情勢」。いまのところ核実験やICBM発射の情報は聞かれないが、依然として「Xデー」のなかにある「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」などに注目。

そうしたなか今週は、1-3月期GDP改定値などの米経済指標が発表されるほか、25日に予定されている5月FOMCの議事録要旨公開を注視している向きも少なくない。また、政治的なイベントとしては週明け早々の日米首脳会談や、日米豪印「クワッド」会合などが予定されている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、126.00-129.30円。ドル高・円安については時間足など短期ベースでは128.20-30円の攻防に注目で、抜けると129円前後そして移動平均の21日線を目指す。それも超えると、再び130台回復も。

米株の動きに注目、さらなるドル安進行も

ドル円日足

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