円安リスク再燃か、131.25円突破の有無注目(週報5月第2週)

先週のドル/円相場はドルが小高い。週間を通して130円以上で推移する時間が長く、ドルは底堅かったが、前週に記録した年初来高値を更新することは出来なかった。

円安リスク再燃か、131.25円突破の有無注目(週報5月第2週)

円安リスク再燃か、131.25円突破の有無注目

〇先週のドル円、130円挟みのレンジ取引継続、128.62まで一時急落
〇パウエル議長0.75%利上げ否定でドル売りへ傾斜、急落後130円半ばまで持ち直し越週
〇今週131.25再トライの可能性も、ドル底堅くリスク再びドル高方向か
〇今週は米4月消費者物価指発表予定、ASEANサミットやG7外相会議にも注目
〇今週のドル/円予想レンジは129.00-132.00、週末高値130.80が最初の抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小高い。週間を通して130円以上で推移する時間が長く、ドルは底堅かったが、前週に記録した年初来高値を更新することは出来なかった。

前週末は、ロシア財務省が「デフォルト回避」措置とみられる、自国通貨ルーブルで行うとしていたドル建て債の支払いをドルで行ったことが話題に。また、米大統領に近しいホワイトハウス広報部長のコロナ罹患が明らかになったが、バイデン氏は濃厚接触者に該当せず難を逃れたもようだ。
そうした状況下、ドル/円は129.70円レベルで寄り付いたのち、しばらくは130円挟みのレンジ取引。GWで東京休場が続くなか、全体的に売買の手控えムードが強かった。しかし、4日の米FOMCが失望に終わったとの見方が強まると、一時ドル売り・円買い優勢へと傾斜。週間安値の128.62円まで一気に下落している。ただ、そののちドルは少しずつ持ち直すと、結局「行って来い」。130円台を回復し、週末NYもそのまま130円半ばで取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は現地時間の4日、米FOMCの結果として、「FF金利の誘導目標を0.5%引き上げる」と発表された。大方の市場筋の予想通りながら、22年ぶりとなる大幅利上げで直後の反応は好感したドル買い。しかし、その後の会見でパウエルFRB議長が、一部で台頭していた0.75%利上げ観測を事実上否定したことが嫌気されると、ドルは一気に1円以上もの急落をたどっていた。トータルすれば、なかなかのタカ派的な内容だったと思うのだが、市場はさらなるタカ派見通しへと傾斜していた感を否めない。なお、その翌日には5日には英国も0.25%の追随利上げを実施したが、先行きについては「慎重な利上げが求められる」などとし、さらなる大幅利上げを示唆した米国とは一線を画した内容に。

対して後者は、「対独戦勝記念日」にあたる9日を前に、ロシア軍がウクライナの一部地域で攻撃を強化しているとされ、現地情勢は依然として予断を許さない。そうしたなか、ロシアのラブロフ外相が発した「ドイツのヒトラー総統はユダヤ系だった」とのコメントが、別途場外乱闘のように本筋とは関係のないところで新たな火種になったことが話題に。とくにイスラエルとの確執は強く、今後の情勢が懸念されたものの、週末にかけてプーチン大統領が発言を謝罪したことでイスラエル側が取り敢えず矛を収めたようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円で、米FOMC後に128.62円まで下押しが入った際は、もう少し深押しするものと予想していたのだが、思いのほかドルは底堅く、また調整期間も短期に終わった感がある。リスクは再びドル高方向へとバイアスが掛かっており、週内にも131.25円の年初来高値を再びトライする動きがあっても不思議はなさそうだ。ちなみに、131.25円を超えた場合のターゲットは133.84円、そして135.20円などとなる。
先でも指摘したように、先週のFOMCで米国が利上げに踏み切ったことに続き英国も利上げを実施。それに対して、日本は異質な異次元緩和政策を依然採用し、長期金利の上昇を抑えるための指し値オペも継続的に実施している。つまり、ドル/円だけに限らず、金利差ということを考えると円は対ポンドを含めたクロス円でもさらに売り進まれても不思議はない。単なる円安ではなく、円全面安という基調はまだしばらく続く可能性がある。そうしたなか、やや気掛かりなのは本邦要人からの円安けん制の動きと、ここ最近若干不安定な動きをたどることの多いNYダウなど米株の動静だ。いずれも波乱要因として一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週もトータルすれば強含みに推移したものの、前週に記録した年初来高値を更新できないなど、一辺倒のドル高・円安には若干の陰りもうかがえる。早い段階で131.25円を超え、ドル高健在アピールが出来なければ、再び調整色の強い展開をたどることになりかねない。もっとも、たとえ調整継続でもドルが大きく崩れることは予想しにくく、基本的には128-130円台を中心とした強保ち合い。価格ではなく時間調整の様相を呈しそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には、台湾上空の防空識別圏進入が目に見える格好で増えつつある「中国情勢」。週末6日に再びミサイル発射が観測されたほか、月内に核実験準備が完了すると目される「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」などに注目。
そうしたなか今週は、4月の消費者物価指数や5月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値といった重要な米経済指標が発表されるほか、米地区連銀総裁らによる講演など発言機会が連日のように予定されている。また、バイデン米大統領も参加するASEANサミットや、別とG7外相会議など重要な国際会議も実施される見込みだ。政治ファクターにも一応注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、129.00-132.00円。ドル高・円安については週末高値130.80円が最初の抵抗で、上抜けると年初来高値131.25円が再び視界内に。それも超えると133円台を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、130円レベルの攻防にまずは注目。割り込めば129円台をスルーし、128円台に突入する可能性も。

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