次の円安トライ前の踊り場
〇先週のドル円、水曜に2002年以来高値129.39到達、1日で2円以上の円安進行
〇週後半はG20控えたポジション調整、日米財務相会談への警戒感で週後半128円台での揉み合いに
〇日米財相し協議実施するも、現行水準での介入なく、今後の円安進行目安135円台前半か
〇今週は米1〜3月期GDP速報値、3月個人所得消費支出、黒田日銀総裁会見など予定
〇今週は127.50レベルをサポートに129.20レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週もドル円は週初から円安が進行し、水曜東京前場には129.39レベルと2002年以来の高値をつけました。しかし、21日(日本時間22日早朝)に日米財務相会談が開かれることもあって、円安阻止につながるような協議にはならないという見方が中心ではあったものの、警戒感もあって週後半は128円台半ばを中心としたもみあいとなりました。
日米財務相会談では為替も含めて金融市場全般の協議を行ったという話は出ましたが、予想通り具体的な円安阻止という話は出てきませんでした。その後一部TV局による協調介入の協議があり、米国側も肯定的といった話も出ましたが市場参加者の反応は鈍く、さらに財務省幹部が事実では無いと否定のコメントを出しました。
このあたりの背景は過去の介入と日米間の協議から考えるとおおよそ以下のような流れであったと想像できます。まず財務省は日米とも通貨当局であり為替市場の話をすることは当然の話です。しかも日本側は円安スピードが速いという懸念を再三示してきた後ですから、テーマにならないわけがありません。しかし、テーマになることと具体的に協議することとは全く意味合いが異なります。
以前の円高局面の介入協議でもあったことですが、日本側は早い段階から介入の協議を行いたい反面、米国側は為替レートは市場にまかせるというスタンスでした。その際もテーマには出ても具体的な介入の同意が得られないにも拘らず、協議したと盛って報道されたものです。要は自分たちに都合がいいように嘘ではない範囲で盛るというのが日本の財務相とマスコミがやってきたことです。
今回の協調介入に積極的という報道は勇み足で盛る範囲を超え、おそらくは米国財務省から日本の財務相にクレームが入り、財務省幹部という匿名でグローバルな通信社であるロイターを通して否定発言を行わざるを得なかったということだと思います。日本のTV局とは取材も無かったという財務省の説明ですが、煙が無いところに火は立たずで、おそらくは財務省内の誰かが、事実と異なった話をしていたということでしょう。財務省としてはTV局に借りを作ったこととなり、今後何かの時に最初にリークするという話で決着したのではないかと見られます。
マスコミの報道の裏などはだいたいこんなところですが、現行水準での介入は無いということが分かったため、今後どこまで円安が進行する可能性があるのかという点に議論は変わってきます。テクニカルには以前から見てきた超長期チャートにおける2002年高値の135円台前半が大きな目安となり、仮に同水準をも超えてくる場合にはそこで介入の可能性を改めて考えることとなるでしょう。
ドル円の年間レンジは最近では動かないと8〜10円程度、動く時には20〜25円程度と2パターンに分けられ後者の動く場合の平均レンジは年間22円程度です。ここで2022年の年初来安値を振り返ると1月の113.47レベル、そこに22円を加えると135円台半ばとちょうど2002年高値に一致します。そうしたことから今年2022年高値のひとつの候補として135円は悪くない水準となっています。
短期的にはいつもの日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
現在は赤の水平線(2015年高値125.67レベル)と大台130円との間で踊り場を形成中となっていますが、下値の目途としてかなり離れている印象です。先週の動きを見ても日米財務相会談前の安値圏が127円台半ばだったことを考えると、127円台半ばがサポートとなりやすい水準です。また上側もいったん先週高値でごく目先の高値を見たと考えられ、これらレンジでの間でもみあいを経て次の円安トライを探る展開となりそうです。
今週は127.50レベルをサポートに129.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月25日(月)
**:** 豪州、NZ市場休場
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感
18:00 ユーロ圏2月建設支出
4月26日(火)
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
21:15 フランス中銀総裁講演
21:30 米国3月耐久財受注
22:00 米国2月住宅価格・ケースシラー住宅価格
23:00 米国4月消費者信頼感
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国3月新築住宅販売
4月27日(水)
**:** 南ア市場休場
**:** 日銀会合(〜28日)
10:30 豪州1〜3月期CPI ☆
15:00 ドイツ5月消費者信頼感 ☆
15:45 フランス4月消費者信頼感
21:30 米国3月卸売在庫
23:30 週間原油在庫統計
4月28日(木)
07:45 NZ3月貿易収支
10:00 NZ4月企業信頼感
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感 ☆
18:30 南ア3月PPI
21:00 ドイツ4月CPI速報値 ☆
21:30 米国1〜3月期GDP速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
4月29日(金)
**:** 東京市場休場
10:30 豪州1〜3月期PPI
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値 ☆
15:45 フランス4月CPI速報値、3月PPI
16:00 トルコ3月貿易収支
17:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値 ☆
21:00 南ア3月貿易収支
21:30 米国3月個人所得・消費支出 ☆
22:45 米国4月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月18日(月)
東京前場は黒田日銀総裁の国会委員会発言を前にドル買いが先行しましたが、黒田総裁は「急速な円安はマイナスが大きくなる」とこれまでとは異なる発言をしたことで126.24レベルまで50銭ほど円高に振れたもののすぐに元の水準へと戻しました。イースターマンデーで欧州市場が休場となることからNY市場昼までは鈍い動きとなっていたものの、それまで下げていた米金利が上昇に転じる動きとともにドル買いとなり、日中高値を上抜けると一段高、127.00レベルの高値をつけて高値引けとなりました。
4月19日(火)
止まらない円安の様相を示してきました。火曜も円安スピードが速いという発言が出た程度だったことから市場参加者はそれ以上の動きはできないと完全に当局の足元を見た展開が続きました。ドル円は一日で126円台後半から128円台後半へと2円以上の円安となりました。
4月20日(水)
東京市場前場には一時129.41レベルと20年ぶりの円安水準をさらに更新、130円の大台を視野に入れ始めました。しかし、東京昼前からは急速に水準を下げ、ワシントンで開かれるG20を前にしたポジション調整に加え米金利も低下したことによるドル売りが入り、127円台半ばへと押して引けました。
4月21日(木)
ドル円は前日に高値から大きめの調整が入った後ということもあって、東京市場では買いが先行、後場に押し目が入った時にもすかさずカウンターで買いが入ってくるという流れとなりNY市場昼前には128.71レベルの戻り高値をつけました。しかし、日米財務相会談が控えていることもあって引けにかけては128円台前半へと押しました。
4月22日(金)
東京市場では日米財務相会談で予想通り円安を阻止するような話とはならなかったことから週末を前にしたポジション調整が中心となり、前場は買いが先行したものの前日高値を超えられず、後場は売りが出ても前日安値を下回らずと方向感がはっきりしないまま海外市場入りしました。欧州市場ではユーロドルの下げに引っ張られてドル買い戻しとなり、NY市場では黒田日銀総裁の緩和継続の話が円安容認と誤って伝えられたことで128.71レベルの高値をつけましたが、訂正され緩和のみとなったことで上昇前の水準に押しての週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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