円安再燃するか否か、最初の正念場(週報4月第4週)

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時129.41円まで値を上げ、いよいよ130円台を視界内に捉えた動きとなっている。

円安再燃するか否か、最初の正念場(週報4月第4週)

円安再燃するか否か、最初の正念場

〇先週のドル円、年初来高値129.41示現後、週末に掛け127-128円台レンジ取引に
〇「日米協調介入」警戒でドル高調整も関係筋は報道否定、週内にも円売り安心感再燃か
〇今週は米4月消費者信頼感指数、同1-3月期GDP速報値など発表予定
〇28日には日銀金融政策発表、黒田総裁記者会見実施見込み
〇今週のドル/円予想レンジは127.50-130.00、129.11が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は127.73、そして127.46の攻防に注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時129.41円まで値を上げ、いよいよ130円台を視界内に捉えた動きとなっている。

前週末、ウクライナのマリウポリをめぐる状況が一気に緊迫度を増したと話題に。また北朝鮮が、16日に「新型戦術誘導兵器」を試射したとの情報も一部で取り沙汰され思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は126.40円レベルで寄り付いたのち、週間安値の126.24円を示現。そののちは週の半ばにかけて右肩上がりの展開で、一気に3円以上も上昇。年初来高値を大きく更新する129.41円を示現している。ただ、高値を付けたあとは「日米協調介入」への警戒感などが強まったこともあり、やや値を崩すと、週末にかけてはレンジ取引に。127.50-129.10円といったやや広めの往来相場をたどるなか、週末NYは128円半ばで取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、戦闘に関しプーチン大統領が「マリウポリでの激戦で勝利した」とする宣言を発表するなか、米国など西側からは「フェイクニュース」とする見方が相次いでいた。また、ウクライナのゼレンスキー大統領からは「マリウポリ軍全滅なら停戦交渉は打ち切りも」といったコメントが発せられていたようだ。一方、それとは別に開催されたG20財務相・中銀総裁会議において、参加したロシア代表の発言時に米英加の代表が退席するなど、大荒れの様相だったという。さらにIMFでは、ロシアの反対により「ウクライナ侵攻非難」の共同声明が採択できないといった機能不全が改めて露呈されている。

対して後者は、ドル/円相場が一時130円台乗せを意識したような展開をたどるなか、週間を通して鈴木財務相や岸田首相などから連日のように「円安けん制発言」が伝えられている。そうしたなか、21日には注目の日米財務相会談が開催され、その内容についてTBSテレビが「市場が注目していた協調介入についても議論されていたことがわかった」と報じたうえ、「米側が協調介入を前向きに検討してくれるトーンだった」と指摘し、市場で大いに話題に。しかし、この週末、ロイターは匿名財務省幹部の発言として「TBS報道は事実でない」と完全否定する内容を報じていた。

<< 今週の見通し >>

20日にドル/円は年初来高値129.41円を示現したものの、その後のドルは強保ち合いだ。先週末に掛けては127-128円台を中心とした往来相場をたどっている。リスクは依然としてドル高方向だが、130円突破に向けたドルの上値トライは一旦出直しとなった感を否めない。先週末に掛けてのレンジ取引を今週も踏襲するのか、それともわずか3-4日で早くもドル高・円安傾向が復活するのかの正念場、目の離せない1週間となりそうだ。

先週、パウエルFRB議長が改めて「5月FOMCでは0.5%の利上げも選択肢に入る」と述べるなど、日米金利差拡大観測に変化は見られない。「日本の貿易収支悪化」も加わったドル高・円安基調はいまだ継続中だ。そうしたなか、先週末に掛けドルが伸び悩むと、「時間ベース」のドル高調整をたどった要因のひとつは、先でも取り上げたTBSによる「日米財務相会談で協調介入議論」報道だった。しかし、この話はそののちロイターが完全否定したうえ、日経新聞もIMF高官の話として「為替介入、現時点で必要ない」と伝えている。週内にも再び市場における円売り安心感が再燃し、130円方向に向けた動きが復活する可能性を否定できない。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は130円を視界内に捉えつつも、先週末に掛けては調整局面ともいえる動き。今週も基本的にはドルの強保ち合い、127-128円台を中心とした展開が予想されるものの、高値129.41円を仮に超えればドルは再びドルの高値トライから、130円台へと乗せてくることもありそうだ。
ただしフィボナッチの観点からすると、先週安値127.46円は、先月末安値121.28円を起点とした上昇幅の23.6%押しにほぼ合致するレベルに当たるため、逆に底割れするとさらなる深押しが入る危険性もある。

材料的に見た場合、中長期的には、イエレン米財務長官が「対中関税引き下げ検討も」と発言し思惑を呼ぶ「中国情勢」。週明け25日が軍事パレードそして場合によっては核実験を行う可能性もあるとされる重要Xデーである「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」などに注目。

そうしたなか今週は、4月の消費者信頼感指数や1-3月期のGDP速報値といった重要な米経済指標が発表されるほか、金融機関を中心とした欧米企業決算発表も相次ぐ。そうしたなか、28日には日銀が金融政策の発表を行うほか、黒田総裁の記者会見も実施する見込み。こちらを警戒する向きも少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、127.50-130.00円。ドル高・円安については先週末高値129.11円が最初の抵抗で、抜ければ129.41円を目指す。それも超えれば、いよいよ130円台へ。
対するドル安・円高方向は、同じく先週末安値の127.73円、そして週間安値127.46円の攻防にまずは注目。下回れば126円台突入もありそうだ。

円安再燃するか否か、最初の正念場

ドル円日足


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