円全面安にやや風向きの変化、上値は重いか(3/25夕)

25日の東京市場はドルが小安い。しかし、1円を超える下落をたどったのち、短時間で7割程度戻すなど、一筋縄ではいかない値動きだった。

円全面安にやや風向きの変化、上値は重いか(3/25夕)

円全面安にやや風向きの変化、上値は重いか

〇本日のドル円、前日記録した年初来高値をわずかながら更新するも、121.20台まで1円を超える下落
〇その後ドル買い・円売りが再び活発に、122円付近まで買い戻される
〇テクニカルには122円台にそれほど強い抵抗はなく、次のターゲットは123.60-80レベル
〇ドル高基調はいまだ変わらないが調整と思しき動きも、若干の風向きの変化うかがえる
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ121.20-122.40、122.40レベルをめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値の121.20台が目先のサポート

<< 東京市場の動き >>

25日の東京市場はドルが小安い。しかし、1円を超える下落をたどったのち、短時間で7割程度戻すなど、一筋縄ではいかない値動きだった。

ドル/円は122.35円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。その過程のなかで、前日記録した年初来高値をわずかながら更新する局面も観測されていた。そうしたなか、「黒田日銀総裁が午前の衆院財金委に出席」と伝えられると、為替市場に関する発言を警戒した円買い戻しが活発に。そのまま121.20円台まで1円を超える下落をたどっている。ただ、ボトム示現後は逆にドル買い・円売りが再び活発に。122円付近まで買い戻され、16時現在では121.80-85円で推移、欧米市場を迎えていた。
なお、当の黒田総裁からは「円安が全体として日本経済にプラスとの構造は変わらない」、「円に対する信頼が崩れたわけではない」といったコメントが発せられている。

一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、開催されたG7首脳会議で「平和と安定の回復への決意で団結」を盛り込んだ声明が発表されたほか、国際機関にロシアとの関係見直しを要請したことが明らかになるなど、世界のロシア包囲網はさらに強まりつつあるようだ。一方、それとは別に前日プーチン大統領が「非友好国」に対し、天然ガスの支払いをルーブル建てで行うよう要求したことについて、EU首脳らがこぞって猛反発。たとえば、スロベニアのヤンシャ首相は「欧州がロシアにルーブルで支払うことはない」と強調している。

対して後者は、昨日観測された飛翔体について、朝鮮中央通信が「金総書記の指揮で新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星17を発射」と報じるなか、国連事務総長や米国のサキ報道官らが北朝鮮を強く非難。また、日米首脳がG7会合の合間に立ち話を行い「北朝鮮の責任追及へ協力していく考えで一致」したうえ、米英仏などは「安保理緊急会合を要請した」と伝えられている。しかし一方、中国外務省は「関係各国が朝鮮半島の平和と安定の大局に着目し、対話と協議の正しい方向を堅持するよう望む」と指摘したにとどまり、北朝鮮非難を避けたことが明らかになった。

<< 欧米市場の見通し >>

為替市場における円全面安の動きはいまだ変化なし。ドル/円は昨日NYそして本日東京で122.40円台まで一時値を上げている。テクニカルには122円台にそれほど強い抵抗はなく、次のターゲットは本稿執筆時より1円程度ドル高の123.60-80円レベル。ただ、ここ最近の動きを参考にすればそれほど遠い水準とは言えないだろう。本日東京で1円強の調整が入り、ポジションも若干軽くなっていることも気掛かりだ。
利上げに消極的な日本と、積極的な米国という両国の金融政策の違いを背景にドル高・円安が進行するなか、前述したように注視されていた黒田総裁の発言として、ある種の円安容認コメントが聞かれている。発言をそのまま解釈すれば、「レベル的には問題なし。ただ最近の円安進行スピードは速すぎる」と若干の懸念を示したということになろう。とするなら、逆に言えば緩やかな進行ならば、さらなる円安も容認される可能性があるだろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円は一時122.40円台まで値を上げるなど、ドル高基調はいまだ変わらず。ただ、その一方で高値から一時1円を超える下落をたどるなど、一連の過程のなかで初めて調整らしい動きも観測されていた。基調そのものに変化はないものの、若干の風向きの変化がうかがえる。短期的にはドルの上値が重くなる反面、むしろ再び調整と思しきドルの下押しが強まる展開も否定できないようだ。

材料的に見た場合、中長期的には擁護するのか否か、ウクライナだけでなく北朝鮮をめぐる「立ち位置」も注目を集めている「中国情勢」、ブルームバーグが「中国の精製各社が公にせず、安価なロシア産原油を密かに購入」と報じ物議を醸す「エネルギー・穀物相場への懸念」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、3月のミシガン大消費者信頼感指数確報値などが発表されるほか、NY連銀総裁の講演など米通貨当局者らの発言機会も幾つか予定されている。また、バイデン米大統領によるポーランド訪問や、北朝鮮をめぐる国連安保理緊急会合といった国際情勢、政治要因にも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは121.20-122.40円。昨日NY、本日東京と2度ドルの上値を止めた122.40円レベルをめぐる攻防にまずは注目。抜けると、強い抵抗が見当たらない122円台を超えさらなるドル続伸も。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の121.20円台が目先のサポートか。仮に割り込んでも底堅そうで、120円後半までの下げが目先は精々かもしれない。

円全面安にやや風向きの変化、上値は重いか

ドル円日足



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