ドル下値リスク高まるも基本はレンジ取引か
〇本日のドル円、一時は114円台回復するも、株価下落の影響で日中安値113.65レベルへ値を下げる
〇ドル/円、ドル安方向へのリスクをうかがわせるものの、しっかりとレンジ下限を割り込まず
〇FOMCの発表を控え、短期的には113円台後半を中心としたレンジ取引継続の様相
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.40-114.20、本日東京高値の114.10レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、113円半ばが強いサポート、割り込んでも下値は堅いか
<< 東京市場の動き >>
25日の東京市場でドルは冴えない。大きく崩れることはなかったが、リスク回避の動きなどに押される展開だった。
ドル/円は113.95円前後で寄り付いたのち、当初は買い先行。一時は114円台を回復する局面も観測されていた。しかし、日経平均株価ならびに、時間外で取引されたNYダウがともに大きく値を下げたことなどが嫌気されると徐々にドル売り・円買いが優勢に。日中安値である113.65円レベルへと値を下げ、16時現在では小戻した113.80-85円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、為替市場への影響は軽微だったが、北朝鮮が同日午前に「日本海に向けて巡航ミサイル2発を発射した」などとまたもや伝えられていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「日銀総裁発言」について。
前者は、東京時間の本日未明にバイデン米大統領が、ウクライナ情勢をめぐり欧州首脳とオンライン会談を実施。そののち「欧州首脳全員と完全に見解が一致した」と説明している。またタス通信によると、26日に「ウクライナとロシア、ドイツとフランスの4ヵ国の枠組みの高官協議がパリで開かれる」もようだ。そうしたなか、EUは外相理を開催し「ウクライナ攻撃ならロシアへ制裁」するとの姿勢を示したほか、米国防総省報道官は、バイデン大統領が米軍約8500人に派兵準備を急ぐよう指示したと明らかにするなど、引き続き緊迫したムードに包まれている。
対して後者は、本日の午前と午後、2度にわたり黒田日銀総裁は衆院予算委員会に出席。それにともなう発言が為替を中心とした金融市場関係者のあいだで話題となっていた。たとえば、「現在の金融緩和策を継続する必要がある」「若干の円安は経済にプラス」「足もとは異常な円安ではない」「為替は大きく変動していない」「物価の上昇に為替の影響は大きくない」−−など。東京時間の影響は限定的だが、このあと改めて蒸し返される展開などにも一応要注意。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、昨日欧米時間に113.47円を示現。14日に記録した安値113.48円を1銭更新したものの、しっかり抜けきることは出来なかった。つまり、依然としてドル安方向へのリスクをうかがわせつつも、レンジを下放れしたとは言えそうにない。予断を許さないものの、113円台後半を中心としたレンジ取引、いましばらくは往来相場で次の方向性を探る展開が続きそうだ。
日米を中心とした各国金融政策への関心が依然として高い環境下、まずは明日のNY時間に予定されている米FOMCの発表をしっかりと見極めたい。ちなみに、市場の一部からは「3月に0.5%の利上げ実施」をはじめとする長期強気の見解も取り沙汰されるなか、果たしてどれだけの内容となるのだろうか。また、ウクライナをめぐる地政学リスクの高まりや、昨日NYダウが一時1000ドル超の下落をたどるなど、ここ数日の米株の動きをみるとFOMCをにらみつつも地合いが不安定となっていることは気掛かりだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円はややドル安方向へのバイアスがうかがえるものの、レンジ下限である113円半ばを「しっかり」と割り込むことが出来ない。油断は禁物ながら、材料的には明日に米FOMCを控えていることもあり、短期的にはレンジ取引継続か。また、仮に下回ったとしても大きく崩れることはなく、元のレンジにプルバックするとの見方もあるようだ。
材料的に見た場合、中長期的には、北京五輪開幕前の春節(旧正月)をめぐる人の移動や金融市場での現金化なども懸念されている「中国情勢」、英国などと一線を画し「規制継続」を明らかにしたドイツの姿勢が思惑を呼ぶ「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「ウクライナ情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、1月の消費者信頼感指数や同リッチモンド連銀製造業指数が発表されるほか、米財務省による5年債の入札や、アメリカン・エキスプレスなどの決算発表にも一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.40-114.20円。本日東京高値に当たる114.10円レベルが最初の抵抗。しっかり超えれば114円半ば、115円レベルなど50銭刻みで抵抗あり。
対するドル安・円高方向は、昨日も下げ止まった113円半ばはかなり強いサポートである可能性。また、割り込んでも下値は引き続き堅そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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