2022年のNZドル対米ドルの見通し(2022/1/25)

相場がNZの変化率を取るか、それとも米国の絶え間ない成長を取るかで変わります。

2022年のNZドル対米ドルの見通し(2022/1/25)

2022年のNZドル対米ドルの見通し

(1)ファンダメンタルズ分析

米・NZのGDP

米・NZのGDP

上図@はNZ中銀の予想(2020年11月時)とFRBの予想(2020年12月時)を合わせたもので、Aは両国の2021年時点の同時期予想数値です。赤い矢印を見ると、2021年の予想は米国が4.2%に対して5.5%の伸び、一方のNZは1.3%予想に対して2.6%まで伸びていますが、米国よりは大幅に下回っています。NZは2020年央に大規模なロックダウンを行い、Covid-19感染をほぼゼロに抑えた経緯もあり、経済鈍化と引き換えのコロナ対策を実施しました。また2021年9月にもオークランド中心にロックダウンを行い、成長率が抑え込まれた形になっています。昨年10月以降は目に見える景気回復をしています。NZと米国の経済規模を無視すると、2022年は伸び率としてはNZ(4.2%)>米国(4%)になり逆転します。2022年のファンダメンタルズに関し、市場はこの変化率を見るか、依然として勢いのある米国の伸びを見るかとなります。但し、2023年、2024年には再度、米国>NZの伸びになります。2022年だけを見れば、相場がNZの変化率を取るか、それとも米国の絶え間ない成長を取るかで変わります。

(2)NZ・米の消費者物価に関する両国中銀の見通し

(2)NZ・米の消費者物価に関する両国中銀の見通し

両国中銀のインフレ見通しはややNZ>米国になっています。特に2021年NZのインフレ率が高く、同国中銀のインフレ目標レンジ1〜3%を2022年も越える見通しになっています。この状況に、NZ中銀は2021年8月、11月会合で0.25%の利上げを2回行いました。そしてNZ中銀見通し(2021年11月現在)によれば、今年の2月会合を皮切りに4回の利上げを予想しています。一方、FRBもFOMCでは3回の利上げ予想、市場は4回の利上げ予想になっており、それぞれ3ヶ月毎に4回の利上げがあったとしてチャート(3)を作成しています。下図では、赤の縦線を2022年に引いています。これを見る限りにおいては両国の金利差は縮小せず、場合により拡大する予想になっています。
NZ中銀は昨年2回の利上げを実施したにも関わらず、NZドル安になっていますが、これは米国サイドで、大きく成長し、かつインフレ高騰により、金利先高観の変化が大きく変わったことが1要因としてあります。
先々、この金融政策の大きな波乱要因としてCovid-19の影響と、利上げや中銀保有資産縮小による株価への影響度合いになりそうです。

(3)米・NZ政策金利推移

(3)米・NZ政策金利推移

米・NZ政策金利推移

(4)テクニカル分析

@NZドル/米ドルの月足チャート(2022年1月21日現在)

@NZドル/米ドルの月足チャート(2022年1月21日現在)

NZドル米ドルの長期はラインA(=0.5630)に支えられて上昇を継続しています。しかしながら、2014年7月高値からの抵抗線B(=0.7230)に抑え込まれ、現在はAとBで収斂中です。この間にサポートC(=0.6430)があり、2021年2月高値からはNZドル安になっているので、このCでサポートされるか、そしてBとCで収斂するのかを試す流れになっています。もしCを切れた場合はAまでの押しが想定され、さらにここを維持出来なければBから平行に下したトレンドライン下限のF(=0.5020)までの下値余地ができます。ここは2009年3月底値の0.4900のダブルボトムにも相当します。このFは年間で200ピップス程度下がりますので、万一時間経過で0.4900を下回ってくると2000年10月の底値0.3900までのダブルボトムを想定する必要があります。

一方で、抵抗線Bを越えてくれば、昨年も止められた横抵抗線E(=0.7470〜0.7500)、かつてのサポートだったD(=0.7700)が上値ポイントになります。但し、B越えはNZドル安トレンドの上抜けなので、NZドルは底固くなり、次の高値を目指すと思われます。ファンダメンタルズでは2023年以降は米国>NZになりますが、それほどの差異もなく、金利面でNZ・米国の金利が逆転でもしない限り、A(=0.5630)のサポートは守られると見ています。

ANZドル/米ドルの週足チャート(2022年1月21日現在)

ANZドル/米ドルの週足チャート(2022年1月21日現在)

上図の週足チャートはラインA(=0.5980)を上抜けてから順調に豪ドル高となっていましたが、昨年2月に横抵抗線B(0.7470〜0.7500、月足のEに相当)に止められてから反落し、C(=0.7150)の抵抗線に沿って下落を続け、ここから平行線に下したD(=0.6650)でNZドル安トレンドラインを形成しています。このままですと時間経過で、横サポートのE(=0.6420〜50)とF(=0.6250)方向をトライする形になります。もし相場がEからFの間で止まれば、2015年が左肩、2020年が頭、今回が右肩の逆三尊になります。短期的にはNZドルはまだ弱い流れを脱却できずにいます。

2022年見通し

2021年のNZドル・米ドルはレンジ0.6701〜0.7466で765ピップスの値幅になりました。豪ドル米ドルが年間1000ピップスの値動きから見ると、900程度の値幅があってもおかしくないですが、小幅レンジに留まりました。2022年の値幅は昨年と同じ800ピップス程度を見ておきます。2021年のレンジ予想は0.6600〜0.7800の大きなレンジを想定していましたが、上値部分の400ピップス強が余計でした。

2022年は年初の弱いNZドルドルを見ると、まだ下押し先行、年央からNZ経済の回復度合いと利上げ好感され反発を予想します。週足D(=0.6650)のサポートが年末には0.6350付近まで下がります。年央辺りで、DがサポートE(0.6420)とF(0.6250)で交差する形になるので、年央はこのEとFの間で下値を固め、その後の反発を予想しています。このEとFの中間(0.6335)を下限にすると、ここから800ピップス上げて0.7100を上限とし、2022年は0.6300〜0.7100レンジを予想します。抵抗線C(=0.7150)もDと同じ300ピップス程度下がりますので、年末には0.6850となり、予想レンジでは上抜けることになります。但し、2023年以降は経済の伸びが米国>NZに変わりますので、場合によりNZの上値にも限界がありそうです。そして両国の波乱要因はCovid-19になります。
(2022年1月25日15:00、1NZドル=0.6675米ドル)

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