米FOMCに注目、レンジ放れへの期待も大きい
〇先週のドル円、高値113.95まで上昇するが114円超えられず、週末にかけ113円台レンジ取引の様相に
〇ドル強気派にとって好材料多く、ドル引き続き底高い値動きたどるとの見方有力
〇今週15日に米FOMCとFRB議長会見予定、「薄商い=荒っぽい変動」たどる展開に注意
〇16日には英国とECBが政策金利発表、ユーロやポンドの動きにも要注意
〇今週のドル/円予想レンジは112.20-114.50、先週高値113.95が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は113.20-40の攻防に注目、割り込めば時間かけつつ112円半ば目指す展開か
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小高い。週足は3週間ぶりの陽線引けとなったものの、上値も重く週間を通し一度も114円にはとどかなかった。
前週末は、7日に米露首脳がオンラインで会談を行うことが判明し話題に。ちなみに、ウクライナ問題などが協議される予定だという。一方、11月29日に再開された核合意の再建に向けた米国とイランの間接協議について、米高官が追加制裁を示唆する強い不満を示していた。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた112.75円レベルが週間安値になるなどドルは堅調裡。週の半ばにかけて、高値113.95円まで1円を超える上昇をたどっている。しかし、114円を超えられずに上げ渋ると、週末にかけてはレンジ取引の様相に。113.20-114.00円といった70-80ポイント、113円台の一進一退で明確に方向性はうかがえなかった。週末NYもそのまま113.40円前後で取引を終え越週している。
なお、トルコリラは先週も引き続き冴えず。対円やドルで再び安値を更新し、その後も低位から脱却することは出来なかった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「オミクロン株」と「中国情勢」について。
前者は、WHO幹部が講演で「オミクロン株にパニックの必要なし」との見解を示したうえ、米国の首席医療顧問を務めるファウチ氏が発した「オミクロン株、重症化の度合いは高くない可能性」とのコメントが金科玉条の如く取り沙汰されると為替市場でもドル買い安心感を醸していた。しかし、感染拡大が続いただけでなく、ジョンソン英首相が「イングランドでより厳格な制限措置を実施」すると発言したほか、フランスの報道官も「コロナ第5波はまだピークに達していない」とし、さらなる警戒が必要との認識を示すなど、一部では依然として警戒感が緩んでいる感はみられない。
対して後者は、幾つかポイントがあるのだが、そのひとつ「不動産リスク」の中心になる恒大集団の利払いがいよいよ滞ると、ついにデフォルトになったもようだ。また、別の中国不動産開発会社である佳兆業集団が「香港で株式売買停止」されたと伝えられるなど、連鎖の動きも警戒されている。一方、それとは別に来年2月開催の北京オリンピックについて、米英豪加の4ヵ国が「外交的ボイコット」を正式に表明したことも話題に。ただ、世界が一枚岩になっている感はなく、実際にフランスや韓国は「政治要因化するべきではない」などとし、政府高官派遣を見送る意思がないことを示していた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は、週間を通しておよそ1.2円レンジ。決して広くないものの、月曜日を除き火曜日から金曜日までとすると、113.22-95円へと形成レンジはさらに大きく狭まることになる。そんな1円にも満たないレンジ取引がいましばらく続く可能性も否定できないが、今週は今年最後の注目材料ともいわれる米FOMCが予定されており、その結果如何では予断を許さない。クリスマスなどをにらみ、参加者が減少しつつあるだけに、「薄商い=荒っぽい変動」をたどる展開にも一応要注意だ。
一方、日米欧英などの金融政策が引き続き注目されるなか、前述したように実施される今年最後の米FOMCへの関心がともかく高い。いわゆる「ブラックアウト期間」前にパウエルFRB議長が発したコメントは「タカ派」的な内容であったうえ、先週末に発表された米消費者物価指数も予想通りの内容ながら、数値的には約40年ぶりの高水準(前年同月比)だった。ドル強気派にとっては好材料で、今週もドルは引き続き底堅い値動きをたどるとの見方が有力視されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は過去2週間程度と考えても112.50-114.00円の1.5円レンジ、さらに期間を狭め先週火曜日以降なら前述したように113円台における約80銭レンジだった。今週はまず後者の80銭レンジをめぐる攻防が注視されそうで、抜ければ1.5円レンジの行方に注目だ。ちなみに、レンジを上抜けた際には高値115.52円を起点とした下げ幅の61.8%戻しにあたる114.40円が次のターゲットに。それも超えれば11月26日以来の115円台回復も否定できない。
材料的に見た場合、中長期的には、北京オリンピックの「外交的ボイコット」に日独も加わる公算が強まっている感もある「中国情勢」、極端な悲観論は後退しているがいまだ予断を許さない「新型コロナ問題」、「原油供給問題」−−が注視されている。
そうしたなか今週は、12月のNY連銀製造業景況指数や11月の小売売上高といった米経済指標が発表されるほか、15日には米FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が見込まれている。また、政策金利の発表ということでは米国に続き英国とECBが、ともに16日に行う予定だ。ユーロやポンドの動きも要注意かもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、112.20-114.50円。ドル高・円安については、まず先週高値の113.95円が最初の抵抗。上抜けた場合には114.40円や114.80-85円などがターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、ごく短期的には幾度となく下げ止まっている113円台前半、113.20-40円の攻防に注目。割り込めば時間をかけつつ112円半ばを目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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