コロナに注目、FRB議長らの証言にも要注意
〇本日のドル円、当初ドル買い先行だが114円台には届かず、その後一転ドル売り、一時113円割れも
〇オミクロン株による影響、予断は許さないがパニック的な動きは一服か
〇当面のターゲットは月間安値112.73だが113円前後が底堅い、目先は113-114がコアのレンジ取引か
〇本日、FRB議長・財務長官の上院銀行委で証言予定、3日発表の米雇用統計も注視される
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは112.50-113.70、強い上値メドは114円前後か
〇ドル安・円高方向は113円前後の攻防に引き続き注目、下回った場合112.73などがターゲット
<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場はドルが小安く推移。ただ、本日も113円前後をクリアに下回れず、そうした意味では思いのほか底堅い。
ドル/円は113円半ばで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。月末ゴトー日など需給要因もあり、114円台乗せをうかがう様相を呈したが結局とどかず。高値示現後は一転してドル売りの流れに。途中からはストップロスを巻き込むと下げ足が加速。113円割れをワンタッチする局面も観測されていた。しかし、クリアには割り込めないまま、16時現在では日中のドル安値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、本日はドル/円以外、いわゆるクロス円でも円全面高の様相。ポンド/円や豪ドル/円は10月上旬以来のレベルまで一時下落していた。
一方、材料的に注視されていたものは、「オミクロン変異種」と「日米財務相会談」について。
前者は、南アフリカで発見された「オミクロン株」の伝播は非常に速く、英独伊に続き同じ欧州のスペインやスウェーデンでも、すでに感染者が確認されたと発表されている。そうしたなか、英国は時計の針を巻き戻すような規制再強化、「マスク着用の義務化」を発表した反面、米国はバイデン大統領が都市封鎖の可能性を否定するのと同時に、ファウチ所長も「現時点で追加的な措置を導入する公算は小さい」との見方を示すなど、まだ余裕があるかのような動きが観測されていた。
対して後者は、本日午前に「鈴木財務相、イエレン米財務長官による初会談が行われた」と伝わり、市場で一時話題に。しかし発表によると、会談の主たるものは前述した「オミクロン株」の感染拡大などについてで、「為替の話は出なかった」(鈴木財務相)という。ただ鈴木氏からは、そののち閣議後会見で「為替の安定は重要。市場動向や日本経済への影響をしっかり注視していく」とのコメントが発せられている。
<< 欧米市場の見通し >>
為替市場は、引き続き新型コロナ・オミクロン株に左右される展開となっている。ファウチ所長が「分析に2週間程度必要」と述べたように、まだわからないことだらけなのが、余計に不安を植え付けていることは間違いない。ただ、それでも初動は終わり、パニック的な動きもさすがに一服。予断を許さないものの、先週末から昨日にかけて見られたような激しい上下動をたどる可能性は少し低くなっているだろう。
日米欧英など各国の金融政策に依然として注目。週間を通しては、週末3日に発表される米雇用統計などが注視されている状況だ。しかし、短期的には前述した新型コロナ・オミクロン株に関するニュースなどに一喜一憂する展開が予想されている。なお、昨日ロシアが国産ワクチン「スプートニクV」について「オミクロン株に対しても効果がある」と自信をみせたが金融市場への影響はほとんどなかったものの、同じような内容をファイザーなどが発すれば流れに変化を及ぼすことになる可能性も取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円はまだ底値を確認した感がなく、当面のターゲットは月間安値の112.73円となる。しかし、時間足など短期で見ると、113円前後が思いのほか底堅く、本日東京でも同レベルをクリアに下回ることは出来なかった。このあとも113円前後でドルの下値を再びサポートされれば、目先は113-114円をコアにしたレンジ取引をたどることになるのだろう。
材料的に見た場合、中長期的には、アフリカ諸国へのワクチン外交へ意欲をうかがわせ始めた「中国情勢」、昨日ロシアなどから「オミクロン株への早急な対応不要」との見解が聞かれていた「原油供給問題」、「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、11月のシカゴ購買部協会景気指数や同コンファレンス・ボード消費者信頼感指数などが発表される見込みだ。またパウエルFRB議長とイエレン財務長官が上院銀行委で証言する予定とされ、そちらを注視している向きもある。オミクロン株が当局の金融政策に果たして影響を及ぼすことになるのだろうか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは112.50-113.70円。113.50-60円に弱い抵抗が位置するものの、強い上値メドとなると114円前後か。戻り始めたら意外に早い可能性も。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期では何度も下げ止まっている113円前後の攻防に引き続き注目。下回った場合には月間安値112.73円などがターゲット。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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