ドル円、オミクロン株報道とパウエル議長発言で乱高下。上昇リスクに警戒か
〇ドル円、オミクロン株への警戒感や冴えない米指標に米国時間にかけ112.54まで下落
〇その後パウエルFRB議長の議会証言でのタカ派発言、月末フローで一時113.69まで反発
〇ユーロドル、ドル売り圧力とユーロ圏のCPI伸び率加速に1.1383まで上昇後1.1236まで急落
〇ドル円、一目均衡表雲上限(112.88)を終値ベースで死守、下値の堅さを再確認
〇本日米11月ADP雇用統計、ISM製造業景況指数に要注目
〇ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:112.80ー113.80
海外時間のレビュー
月末30日(火)のドル円相場は急落後に持ち直す展開。@米モデルナ社のバンセルCEOによる「新たな変異株「オミクロン」に対するワクチン効果はデルタ株と比べて低下する可能性がある」との発言や、A上記@を背景とした米長期金利の再低下(世界的な感染拡大懸念→ワクチン効果に対する不透明感→安全資産の債券買い・金利低下→米ドル安・円高)、B本邦におけるオミクロン株の感染者初確認(11/28にナミビアから成田へ入国)、C上記Bを背景としたリスク回避の円買い圧力(日経平均株価急落→ドル円急落)、D米経済指標の冴えない結果(米11月シカゴ購買部協会景気指数、米11月コンファレンスボード消費者信頼感指数が共に市場予想を下回る結果)が重石となり、米国時間朝方にかけて、10/11以来、約1ヵ月半ぶり安値となる112.54まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、EパウエルFRB議長による「インフレが一過性という文言の使用をやめる適切な時期の可能性がある」「次回FOMCでは量的緩和の縮小ペース加速を巡る討議が行われる公算が大きい」とのタカ派的な発言、F上記Eを背景とした米長期金利の急上昇、G月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローが支援材料となり、米国時間午後には一転して113.69まで反発する場面も見られました。もっとも、引けにかけては、H米主要株価指数の下落を背景としたリスク回避の円買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/1午前5時00分現在)では、113.12前後で推移しております。
月末30日(火)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@米金利低下に伴うドル売り圧力や、Aユーロ圏11月消費者物価指数の伸び率加速、B米経済指標の冴えない結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、11/16以来、約2週間ぶり高値となる1.1383まで上昇しました。しかし、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線に続伸を阻まれると、CパウエルFRB議長によるタカ派的な発言や、D上記Cを背景とした米長期金利の急上昇、E月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローが重石となり、米国時間午後にかけて安値1.1236まで急落する場面も見られました。もっとも、引けにかけては再び値を戻し、本稿執筆時点(日本時間12/1午前5時00分現在)では、1.1315前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は南アフリカで検出されたオミクロン株を巡る警戒感を背景に一時112.54(約1ヶ月半ぶり安値圏)まで急落するも、パウエルFRB議長によるタカ派的な発言を材料に一転して113.69まで反発する展開となりました。市場参加者に注目されていた一目均衡表雲上限(112.88)を一時的に下回りつつも、終値ベースで死守できたことで、結果として下値の堅さを再確認する結果となっております(昨日記録した安値112.54がクライマックスSELLINGとなる可能性あり)。こうした中、本日は日本時間22:15に予定されている米11月ADP雇用統計や、24:00の米11月ISM製造業景況指数に注目が集まります(※パウエルFRB議長とイエレン財務長官による下院金融委員会証言も予定されておりますが、昨日既に上院銀行委員会証言を終えている為、本日の会員金融委員会証言は材料視されにくい)。
米経済指標が市場予想を上回る結果となれば、米長期金利上昇→米ドル高の経路と、米主要株価指数持ち直し→リスク選好の円売りの組み合わせで、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします(オミクロン株を巡る警戒感を背景とした株安・円高と、パウエル氏のタカ派発言に端を発した米金利上昇・ドル高の綱引きがスタート。鍵を握るのは投資家心理と見ている為、本日は特に米主要株価指数の動向に注目。株安の流れが一服すれば、日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売りが再開する可能性あり)。
本日の予想レンジ:112.80ー113.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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