今週も調整の下げが続きやすい
〇先週のドル円、高値114.70レベルつけるも、日経平均大幅安背景に週間安値更新して大引
〇2017年11月高値114.74レベル抜けられず、長期的円安トレンドの中で今週も調整の下げ続く
〇短期的に調整の下げ、長期的には115円を目指す展開か
〇今週は米国と欧州主要国の7〜9月期GDP速報値、主要国CPI値発表に注目
〇今週は113.00レベルをサポートに、114.00レベルをレジスタンスという流れとみる
先週のドル円は、先週後半に円安が進んだことから週明けは様子見姿勢からのスタートを切りましたが、改めてドル高・円安が進み20日には高値114.70レベルと2017年11月以来の高値をつけました。しかし、同月高値の114.74レベルをつけられない中で日経平均の大幅安をきっかけにリスクオフの円買いが広がり、週末には113.41レベルと週間安値を更新しての引けとなりました。
材料的には米金利の上昇と低下、日経平均の下げといった動きがありましたが、先週書いた通りで「日柄的にも19日±1日は円高に動きやすい時間帯となっていて、2018年高値を更新後に急速に調整の下げが入るのではないか」という動きに沿ったものであると思っています。ただ「急速に調整の下げ」というほどの動きにもなっていないことから、引き続き上値が重く今週も戻り売りが出やすい地合いは続くと見ています。
今週の材料としては米国と欧州主要国の7〜9月期GDP速報値がもっとも影響が大きい経済指標ですが、主要国から発表されるCPIも気になるところです。金曜にはパウエルFRB議長が最近の高止まりするCPIに懸念を示しつつも早期の利上げ思惑を否定する発言をした直後のため、各国で依然として高めの数字が出てくるとすると、市場参加者は更に利上げ思惑を前倒しにしてくるでしょうし、実際に先日コラムで取り上げたFF先物は依然として2022年末時点で上昇しています。そうなると、更なる米金利上昇はドル高思惑として働くでしょう。
ただ、気になる点としては9月FOMC以降調整らしい調整が無いまま約5.5円も円安が進行している点です。ドル円の動きが1か月で5円以上というのは特段大きなニュースが無い中では進行速度がかなり早い印象です。2017年11月高値を抜けられなかったというテクニカルな観点からも長期的な円安トレンドの中で、いまは調整局面にあるという見方でよさそうです。
今週は月足チャートで2017年の高値圏の動きをまず確認しておきます。
黄色のラインマーカーで着色した高値圏は114.36〜115.50と大台115円前後に集中していて、2017年高値114.74もひとつの節目ではあるものの、もっと重要なのは2017年3月高値の115.50ですし、その水準は2015年高値と2016年安値の61.8%戻しとなる115.41というターゲットも存在します。
テクニカルには短期的に調整の下げ、長期的には115円を目指す展開という見方でよさそうです。日足チャートもご覧ください。
ドル円(日足)チャート
毎週見ている9月安値を起点に9月高値までの上げ、10月安値への押しの3点を上昇N波動の各レートとすると、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが114.58となっていて、先週も書いた通り「現在の円安は週前半でいったん終わり、その際の水準も2018年高値からそれほど乖離しない水準である」(先週時点)という流れがほぼ達成されました。
すると次は10月安値と10月高値に対するフィボナッチ・リトレースメントを考えることとなります。38.2%押しが113.21、半値押しが112.75ですが、その間に先週書いたノックアウト・オプションが出たと見られる113.00があります。今週はこの113.00がサポートとなってくると見られます。いっぽう上値は114円で戻り売りが出てくるでしょう。
今週は113.00レベルをサポートに、114.00レベルをレジスタンスという流れを見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サ
ンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月25日(月)
**:** NZ市場休場
17:00 ドイツ10月ifo企業景況感
10月26日(火)
22:00 米国8月住宅価格
22:00 米国8月ケースシラー住宅価格
23:00 米国9月新築住宅販売
23:00 米国10月消費者信頼感
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業景況指数
24:45 フランス中銀総裁講演
10月27日(水)
**:** 日銀会合(〜28日)
06:45 NZ9月貿易収支
09:00 NZ10月企業信頼感
09:30 豪州7〜9月期CPI
15:00 ドイツ11月GFK消費者信頼感
15:45 フランス10月消費者信頼感
15:45 フランス9月PPI
16:00 トルコ9月貿易収支
21:30 米国9月耐久財受注
23:30 カナダ中銀政策金利発表
23:30 週間原油在庫統計
10月28日(木)
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:55 ドイツ10月失業率
17:30 南ア9月PPI
18:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
20:45 ECB理事会
21:00 ドイツ10月CPI
21:30 ラガルドECB総裁会見
21::30 米国7〜9月期GDP速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国9月住宅販売保留件数
10月29日(金)
**:** トルコ市場休場
08:30 本邦10月東京区部CPI
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州9月小売売上高
09:30 豪州7〜9月期PPI
14:30 フランス7〜9月期GDP速報値
15:45 フランス10月CPI速報値
17:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏10月CPI速報値
18:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国9月個人所得・消費支出
21:30 米国7〜9月期雇用コスト
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感
10月30日(土)
**:** G20サミット(〜31日)
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月18日(月)
ドル円は高値圏でもみあいの一日となりました。引き続き上値は2018年高値114.55レベルが意識される中でトライしきれず、さらに114円以下では押し目買いが待ち構えているといった状態で終日方向感がない動きを繰り返しました。
10月19日(火)
ドル円は週末を挟んで2018年高値をトライできなかったことから短期筋の利食いが散見され、米金利が低下したことも手伝ってじり安の展開を辿りました。欧州市場序盤には113.88レベルまで水準を下げたものの、押し目買いが根強かったこと、また米金利が上昇に転じたことから海外市場では改めてドル買いの動きとなり、NY引け間際には114.40レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。
10月20日(水)
ドル円は前日海外市場の流れを受けてドル買いが先行しましたが、東京朝方に米金利が1.673%と5月20日以来の水準に上昇したこともあって114.70レベルの高値をつけました。しかし米金利が反転下落する動きとともにドル円もじり安の展開を辿りNY昼過ぎに114.08レベルへと押した後にやや戻して引けました。
10月21日(木)
ドル円は前日に114.70レベルと年初来高値を更新したものの2017年11月高値114.74レベルは抜けられず、その後は利食いに押され気味でしたが、最近のパターンである東京前場が高値でNYに安値と終日円高の流れとなりました。材料としては日経平均株価が大きく下げたことでリスクオフの円買いとなっていました。
10月22日(金)
ドル円は東京高値でNY安値と水曜以降のパターンを繰り返しましたが、短期的に114.70レベルで高値を見たという見方が広がり、早朝に1.7%をつけた米金利(10年債利回り)も下げに転じたことから前日の円高とは異なり全般的なドル売りの流れとなりました。NY市場でパウエルFRB議長がインフレ圧力を懸念しつつも早期利上げに否定的な発言をしたこともドル売りの流れを強め、引け間際に113.41レベルまで水準を下げての週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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