ドル上値トライはやっぱり「ダマシ」
〇本日のドル円、一時110円を割り込むなどドルが弱含みな展開
〇ドル上値トライはダマシの可能性、目先高値からわずか一日で1円近く下げ、仕切り直しの様子
〇本日は目立った米経済指標等なく、本格的な動意は来週に持ち越される可能性
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.60-110.50
<< 東京市場の動き >>
18日の東京市場はドルが弱含み。定着はしなかったが、一時110円割れをワンタッチする局面も観測されていた。
ドル/円は110.20-25円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。しかし夕方にかけ、下げ足を早めると、一時110円を割り込む局面も。日経平均株価が終値ベースで3日続落をたどるなか、米10年債の利回り低下が嫌気されていたようだ。16時現在では日中安値から小戻した110.00-05円で推移、欧米市場を迎えている。
なお、円は対ドル以外でも堅調で、さながら全面高の様相。実際、ユーロ/円やポンド/円は5月半ば以降約1ヵ月ぶり安値、豪ドル/円に至っては3月26日以来となる安値を示現していた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中情勢」と「日銀動向」について。
前者は、サリバン米大統領補佐官が「秋のG20にあわせ米中首脳会談実施の可能性」に言及し話題に。バイデン氏が出席する10月のイタリア20首脳会議が、その舞台になる公算が大きいという。そうしたなか、米連邦通信委員会は、ファーウェイやZTEなどの製品を米国市場から一段と排除する方針を固めたようだ。安全保障上のリスクとみなす中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決めている。
対して後者は、日銀は金融政策決定会合の結果を公表。政策金利は据え置きとなるなか、新型コロナの流行で打撃を受けた企業向けの資金繰り支援策については半年間延長を決定している。また、そののち黒田総裁は会見で「景気は厳しい状態にあるが持ち直している」、「政策金利は現在の長短金利水準、または下回る推移を想定」などと発言していた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、予想より強気な米FOMCを受けて、過去2週間程度のレンジ上限を超えてきたものの、その後の展開をみると結果「ダマシ」に。目先高値110.82円から、本日東京安値109.95-00円へと、わずか一日で1円近くもアッという間に下げてきた。個人的に、やや長い目で見た場合のリスクということでは上方向を考えているものの、さすがに目先は買いにくそう。一旦底堅めをしたのち、上値再トライという展開か。
米FOMC後、市場では早期テーパリング観測が再び高まってきた感がうかがえたものの、昨日発表された米経済指標は全般的に冴えず、米金利も低下傾向をたどっている。市場筋のはやる気持ちに一旦ブレーキがかかった。果たして、再び早期テーパリング観測が再度盛り上がりを見せるのか、そのあたりが注視されているものの、幸か不幸か本日は目立った米経済指標の発表などが予定されてない。そうした意味では、やや動きにくそうで本格的な動意は来週に持ち越される可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円はまさかの「行って来い」。昨年来、何度もたどった道ながら、「今回こそは」という気持ちがあっただけに、裏切られた感が一杯だ。ともかく、ドルの上値トライは完全に仕切り直しとなったことは間違いなく、それどころか本日は週末にあたることから調整の動きが先行し、目先はいま一段の下値を試すといった予想も一部で取り沙汰されていた。109.60円前後に位置する移動平均の21日線を下回ると、大幅続落の可能性も否定できなくなるだけに、その攻防には要注意。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、昨日から一転し重要な米経済指標の発表や通貨当局者通貨の講演など、本日とくには予定されていない。また、これは米国だけでなく、欧州についても原則同様だ。ただ、前述したように米中に関する不穏な動きが再び活発化しているだけに、関連する突発的なニュースなどには注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.60-110.50円。短期的な抵抗になりつつある110.30円前後が最初の抵抗。抜ければ110円半ば、そして110.82円などが再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の109.90-95円や、先日安値109.80円などをめぐる攻防にまずは注目。底堅いイメージだが、前記したように21日線を下回ると、その限りではない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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