米政府によるインフラ投資計画と米雇用統計がメインイベント
〇今週のドル円トルコ円の大暴落、米指標不冴え、コロナ第三波の広がり等で週央にかけ108.40まで下落
〇売り一巡後は109.85まで上昇、109.65付近で越週
〇米財務長官FRB議長の景気回復への自信、バイデン政権のインフラ投資計画期待、米株持ち直し等が支援
〇ユーロドル、米長期金利低下に週明け早々1.1947まで上昇
〇その後は欧州圏のロックダウン延長、ECB追加緩和観測に下落に転じ四か月半ぶり安値1.1761まで急落
〇ドル円テクニカルの地合い強くファンダメンタルズもドル円上昇材料増加、ドル円続伸がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00、(EURUSD):1.1650−1.1900
今週のレビュー(3/22−3/26)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初108.86で寄り付いた後、@トルコ円相場の大暴落(エルドアン・トルコ大統領が金融引き締め政策を進めるアーバン・トルコ中銀総裁を3/20に突如更迭→トルコリラ円相場が窓を開けて大暴落→ドル円・クロス円が連れ安)や、A米住宅関連指標の冴えない結果(米2月中古住宅販売件数、米2月新築住宅販売件数共に大幅悪化)、B新型コロナウイルス第3波への警戒感、C世界的な株価および商品市況の下落(リスク回避の円買い再燃)、D米長期金利の急低下(米10年債利回りは3/19に記録した1.75%から3/24に一時1.59%まで低下)が重石となり、週央にかけて、週間安値108.40まで下落しました。
しかし、売り一巡後に持ち直すと、Eイエレン米財務長官およびパウエルFRB議長が議会証言(米上院銀行委員会)で米経済の回復に自信を示したことや、Fバイデン政権による大型インフラ投資計画への期待感(3/31に詳細を明らかにするとの報道あり)、G米長期金利の低下幅縮小(米10年債利回りは1.59%→1.68%へ)、Hセントルイス連銀ブラード総裁による「テーパリング議論はまだ開始されていないが、今年中に始まる可能性あり」との発言、I米主要株価指数および商品市況の持ち直し(リスク回避の円買い後退→リスク選好の円売り再開)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値109.85まで上昇しました(昨年6/5に記録した直近高値109.86に一歩届かず)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局109.65近辺での越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1899で寄り付いた後、@米長期金利の低下(米10年債利回りは週末を挟んで1.75%から1.66%へ急低下)を背景に、週明け早々に、週間高値1.1947まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、A欧州圏における新型コロナウイルス第3波への警戒感(ロックダウン延長に伴う欧州経済の先行き不安再燃)や、B上記Aを背景とした欧州株の冴えない動き(リスク回避のドル買い・円買いを誘発)、CECBによる追加緩和観測(レーンECB専務理事は今後数週間以内の断続的な資産買い入れ増額を示唆)、C200日移動平均線や3/9に記録した直近安値1.1835を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週後半にかけて、昨年11/12以来、約4ヵ月半ぶり安値となる1.1761まで急落しました。
週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局1.1795近辺での越週となっております。尚、今週発表されたユーロ圏3月製造業PMI速報値、同サービス業PMI速報値は軒並み市場予想を上回る力強い結果となりましたが、新型コロナウイルス第3波を巡るネガティブニュースに打ち消される形となりました。
来週の見通し(3/29−4/2)
<ドル円相場>
ドル円は本年1/6に記録した安値102.58をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約9ヶ月半ぶり高値となる109.85まで急伸しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、90日移動平均線や200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(転換線の基準線上抜け+遅行線のローソク足上抜け+ローソク足の雲上限上抜けが全て揃う状態)も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象づけるチャート形状となっております。
来週は昨年6/5に記録した高値109.86や、心理的節目110.00をトライするシナリオが想定されます(但し、オシレータ系インジケータのRSIは買われ過ぎ感を示唆する70%超の水準で高止まり)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米長期金利上昇に伴うドル高圧力(市場で燻る根強い米早期テーパリング観測)や、Aバイデン政権による追加経済対策期待(3/31に第2弾として総額3ー4兆ドル規模のインフラ投資計画を発表予定)、B株式市場や商品市況の持ち直しを背景としたリスク選好の円売り圧力等、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、アップサイドリスクが警戒されます。米長期金利や日米主要株価指数の動き、日米経済指標の結果(3/31の米ADP雇用統計や、4/1の日銀短観および米ISM製造業景況指数、4/2の米3月雇用統計等。※パウエルFRB議長が繰り返しインフレ圧力は一時的と発言していることから、米金融政策を予測する上で雇用関連指標への重要度が高まっている状態)、米当局者発言(3/29のウォーラ―FRB理事講演、3/30のクオールズFRB副議長およびニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁討論会、4/1のフィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演)を睨みながらも、当方ではドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(米長期金利上昇→ドル高の流れが継続。心理的節目110.00突破を試すシナリオを想定)。
但し、本邦決算に向けてのレパトリエーションの円買いや、米FRBによるSLR特例措置終了に伴う米株(特に銀行株)の下押し懸念、地政学的リスクの再燃(米中対立激化リスク)や新型コロナウイルス第3波への警戒感など、リスク回避の円買いに繋がり得る材料が残っている点には念のため留意が必要でしょう(110.00トライに失敗した場合は、見切り売り主導で反落に転じる恐れあり)。
来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は週央以降値を崩し、一時約4ヵ月半ぶり安値となる1.1761まで急落しました。この間、市場参加者に注目される200日移動平均線(1.1868)や心理的節目1.1800を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転(転換線の基準線下抜け+遅行線のローソク足下抜け+ローソク足の雲下限下抜けが全て揃う状態)+ダウ理論の下落トレンド(高値と安値を同時に切り下げるチャート形状)も完成するなど(1/6高値1.2350→2/5安値1.1952→2/25高値1.2243→3/9安値1.1835→3/18高値1.1990→3/25安値1.1761)、テクニカル的に見て、更なる下落を意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測を背景とした米長期金利の上昇圧力(バイデン政権によるインフラ投資計画も財源確保を目的とした国債増発を連想)や、AECBによる追加緩和観測(ECBは3/11の理事会でパンデミック緊急購入プログラム=PEPPの購入ペースを4ー6月期に大きく加速させる方針を明記。先週は早速PEPP枠内の純買い入れ額が昨年12月前半以来の高水準を記録。レーンECB専務理事からも今後数週間以内の断続的な買い入れ増額が示唆)、B欧州ファンダメンタルズの先行き不透明感(欧州圏における新型コロナウイルス第3波の拡大懸念→フランス・イタリア・ドイツ等でロックダウン再強化)など、ユーロドル相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ダウンサイドリスクが警戒されます。新型コロナウイルス第3波を巡るヘッドライン(欧州各国のロックダウン方針)や、ECBによるPEPP枠内の資産買い入れ状況、ユーロ圏経済指標の結果(3/29のドイツ2月小売売上高や、3/31のユーロ圏3月消費者信頼感指数)、米長期金利の動向(米雇用関連指標が強ければ、早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→ドル高に波及する恐れあり)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1650−1.1900
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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