トルコ中銀アーバル総裁のサプライズ解任劇でトルコリラ大暴落
〇トルコ円前週末のトルコ中銀総裁のサプライズ解任で週明け前週末15.07から13.35まで大暴落
〇反動の自律反発も弱く13.52前後で越週
〇格付け各社は、政策金利引き下げ、資本規制導入、金融政策の信頼性の毀損等ネガティブな見解
〇テクニカルには強い売りシグナル発生でさらなる下落連想させるチャート形状
〇中銀独立性への懸念、資本流出圧力、中銀利下げ観測、格下げリスク等トルコ下落要因多い
〇トルコ円下落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.80
今週のレビュー(3/22−3/26)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、前週末3/20未明に発表されたトルコのエルドアン大統領によるアーバル・トルコ中銀総裁のサプライズ解任劇(※エルドアン大統領の方針に逆らって利上げを続けてきたアーバル総裁をわずか5ヶ月で解任→利上げ懐疑派のシャハブ・カブジュオール氏を後任に起用。尚、アーバル総裁は昨年11月の就任以降、政策金利を10.25%→19.00%へ875bp引き上げ済み)を材料に、大きな窓を開けての大暴落で寄り付きました(先週末終値15.07円→週明け安値13.35円)。ロスカット一巡後に持ち直す(急激に下げた反動=自律反発)も戻りは鈍く、結局13.52円前後での越週となっております。尚、今回の事態を受けて、格付け会社ムーディーズは「トルコ中銀が政策金利を再びインフレを下回る水準まで引き下げる可能性がある」と発表。格付け会社S&Pも「トルコが資本規制を導入するリスクは高まっている」と警鐘を鳴らしました。更に格付け会社フィッチからは「トルコ中銀総裁の更迭で金融政策の信頼性とインフレ抑制見通しが損なわれた」との見解が示されております(全ての格付け機関がネガティブな反応)。
来週の見通し(3/29−4/2)
トルコリラの対円相場は、3/19に記録した直近高値15.14円をトップに反落に転じると、今週初には一時13.35円まで暴落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のバンドウォーク(ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続ける状態)も点灯するなど、テクニカル的に見て、更なる下落を連想させるチャート形状となっております(ダウ理論でも昨年11/6以降続いてきた中長期上昇トレンドの終焉を確認済み)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@エルドアン大統領の強権発動で中銀の独立性への疑念が再燃しつつあることや、A上記@を背景に資本流出圧力の高まりが警戒されること(対外収支悪化→外貨準備の減少再開→通貨危機発生への連想。トルコ政府・中銀はこれに対抗する目的で資本規制を強化する可能性あり)、Bトルコ中銀による利下げ観測(アーバル総裁下で引き上げられてきた政策金利の巻き戻しリスク)、Cトルコの格下げリスク(格付け会社フィッチはトルコのソブリン信用格付けの引き下げを示唆→年始より増加傾向にあった海外ファンド勢によるトルコ株・トルコ債券投資のアンワインドリスク)等、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が確認されます。
当方では来月4/15に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合で350bp程度の利下げに踏み切ると予想しており(実質金利をフラット近辺に誘導する目的)、短期的にも中長期的にも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオに変更いたします(利下げ観測+格下げリスク+資本流出圧力がトルコリラの重石。心理的節目13.00円を割り込むシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.80
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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