いったん円高方向への調整となりやすい
〇先週のドル円、週初は日経平均1990年以来の大台3万円回復による円売りの動きから始まる
〇その後米金利上昇によるドル高で2/17高値106.23をつけるが、週後半はドル売り、105円台半ばで越週
〇材料的には2/23・2/24実施のパウエルFRB議長の議会証言に注目
〇米10年債利回りの上昇続く、中銀関係者の発言に留意
〇今週は105.10レベルをサポートに106.10レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円は、週初は日経平均3万円台乗せの動きによる円売りの動きから始まり、その後米金利上昇によるドル高の動きとなりましたが、水曜に106.23レベルの高値で2度反落する動きから短期筋の利食いが上値を抑える結果となりました。週後半は米金利は上昇地合いを続けましたが、ポンド高や資源国通貨高といった動きによるドル売りに押され、105円台前半まで下げた後は105円台半ばに戻しての週末クローズとなりました。
ドル円は2月10日安値からの上昇がいったん106円台前半で終わり、現在は2月17日からの下げがどこまで続くのかを確認する流れとなっています。先週後半に関しては米金利上昇は続いていましたが、ポンドや豪ドルを中心としたドル売りの動きが主要通貨でもドルの上値を抑えたと言えます。また日経平均株価も火曜には30,714.52の高値をつけましたが、その後は緩やかな下げとなっていて、ドル円も短期的に高値を見たと考える参加者が増えてきている様子です。
既に目先の安値と高値を見た中で、引き続き材料は、株価、米金利、そしてポンドや豪ドルにおけるドル安の動きを総合的に判断していくということになりますが、先週後半の動きを見ている限り現状は米金利上昇が素直にドル高にはなっていませんし、株式市場もいったん調整が入っていることを考えると、年初からのドル買いの動きに対して、調整らしい調整が入る可能性も高まってきたと言えそうです。
材料的には今週も連日経済指標の発表はありますが、注目度が高いのは火曜と水曜に行われるパウエルFRB議長の議会証言です。1月にはテーパリングに関して時期尚早と繰り返してきたことから、金融政策に関しては見直す動きは出て来ないと考えられますし、G7でのイエレン財務長官の発言からもしばらくは金融財政両面による金融相場は継続しやすいと考える方が自然です。
気になる点は10年債利回りが週明けも上昇し、既に1.394%にまで上がってきているのですが、新型コロナワクチン接種による世界的景気回復期待から債券から株への資金流入しているうちは良いのですが、どこかでインフレ懸念、財政赤字拡大といったところに目が行くと逆回転して債券売りが株安やドル安につながる場面が出てくる可能性があるというところです。長期金利上昇は米国だけでなく日本でも10年債利回りが0.1%を超えるなど、そろそろ発言が出て来てもおかしくない流れにあります。今週は中銀関係者の発言に気を付けたいところです。
日柄的にも今週初は円高に動きやすい時間帯に入ってきていますので、ここではテクニカルにどの程度の調整が入りうるかを考えていきましょう。
昨年7月からのレジスタンスラインを上抜けて以降の動きを振り返ると、年初来安値を起点とした平行ラインによる上昇チャンネルの中での動き自体には変化は見られません。ただ先週高値でチャンネル上限に到達してから反落していること、また1月下旬の押しを起点とした上昇N波動(ピンク)を考えると。78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが106.32となっていて、ほぼ達成したと見てよいでしょう。
すると、短期的には2月安値から2月高値への上げに対しての押しを考えることとなりますが、半値押しは金曜に達成し次のターゲットは61.8%押しとなる105.09です。105円の大台は割らないものの大台近くまでの押しはありうるという見方が出来るでしょう。いっぽうで上値は先週高値を超えられないという見方でよさそうですから、今週は105.10レベルをサポートに106.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
2月22日(月)
18:00 ドイツ2月企業IFO景況感
22:45 ラガルドECB総裁講演
24:00 米国1月景気先行指数
29:30 ボウマンFRB理事講演
30:45 NZ10〜12月期小売売上高
2月23日(火)
**:** 東京市場休場
16:00 英国1月失業率
19:00 ユーロ圏1月CPI
23:00 米国12月住宅価格
23:00 米国12月ケースシラー住宅価格
24:00 パウエルFRB議長議会証言(上院)
24:00 米国2月消費者信頼感
24:00 米国2月リッチモンド連銀製造業景況指数
26:30 カナダ中銀総裁講演
2月24日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表
11:00 NZ中銀総裁会見
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月企業景況感
23:30 英中銀総裁講演
24:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)
24:00 米国1月新築住宅販売
24:30 週間原油在庫統計
2月25日(木)
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス2月消費者信頼感
18:30 南ア1月PPI
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感
22:30 米国10〜12月期GDP改定値
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 アトランタ連銀総裁講演
22:30 米国1月耐久財受注
24:00 米国1月住宅販売保留件数
24:30 (セントルイス連銀総裁講演)
29:00 NY連銀総裁講演
30:45 NZ1月貿易収支
**:** EUサミット(〜26日)
2月26日(金)
08:30 本邦2月東京区部CPI
16:00 トルコ1月貿易収支
16:00 ドイツ1月輸入物価指数
16:45 フランス2月CPI速報値、1月PPI
17:30 シュナーベルECB理事講演
21:00 南ア1月貿易収支
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月15日(月)
ドル円は日経平均が1990年以来の大台3万円を回復する動きとともに円売りの動きが目立ちました。海外市場に移ってからも先物市場での株高の動きが続き欧州市場では一時105.42レベルの高値をつけました。NY市場が休場となることからその後は高値圏でもみあいのまま引けました。
2月16日(火)
ドル円は東京市場では日経平均株価とともに昼過ぎまでは円売り、後場は株価の調整とともに円買い戻しの動きとなりました。しかし下値は底堅く欧州市場でつけた105.18レベルを安値に再び反転上昇、NY市場では米金利上昇の動きとともにドル全面高となり、106.07レベルへと上伸し高値引けとなりました。
2月17日(水)
ドル円は東京早朝に106.23レベルの高値をつけたものの106.25レベルではドル売りも見られ反落、しかし105円台では買いも見られ東京後場に105.89レベルを見た後は再びドル買いの流れとなりました。ユーロドルの下げに沿ったドル買いの動きからNY市場では106.21レベルまで買われたものの、売りオーダーも見られる中で米金利が下げる動きとともに105.78レベルへと押し、若干戻して引けました。
2月18日(木)
ドル円は上値が重たいものの動意薄の1日となりました。105円台半ばの買いと106円の売りに挟まれ1日のレンジも32銭に留まりました。
2月19日(金)
ドル円は東京市場では全く動きが見られませんでしたが、欧州市場に入り資源国通貨高・ドル安の動きがリードしてのドル安の動きが強まりました。NY市場序盤には105.24レベルの安値を付けましたが、その後は米金利の上下とともに東京市場の水準に戻した後やや押して引けました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2021.02.22
200日線を再び上抜け、ドル続伸期待も(2/22夕)
週明け22日の東京市場はドルが小高い。先週末のNYクローズでわずかながら下回ってきた移動平均の200日線を、ザラ場ベースではあるものの回復しての推移となっている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2021.02.22
ドル高続くか正念場、調整局面入りも(週報2月第4週)
先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ザラ場ベースで、一時昨年9月以来となる106円台まで値を上げる局面も観測されていた。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。