ドル高続くか正念場、調整局面入りも(週報2月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ザラ場ベースで、一時昨年9月以来となる106円台まで値を上げる局面も観測されていた。

ドル高続くか正念場、調整局面入りも(週報2月第4週)

ドル高続くか正念場、調整局面入りも

〇先週のドル円、週半ばに週間高値106.22まで上昇後週末にかけて上げ渋り
〇ドル円日足、わずかながら移動平均の200日線を再び下回る
〇ビットコイン、週末21日に58000ドル台まで到達
〇バイデン米大統領、19日にG7首脳会議で外交デビュー飾る
〇今週はパウエル議長の議会証言、EU首脳会議、G20財務相・中銀総裁会議実施見込み
〇移動平均21日線(22日104.95-00円)を明確に割り込めば下値模索の動き強まるか
〇今週のドル/円予想レンジ104.30-106.30

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ザラ場ベースで、一時昨年9月以来となる106円台まで値を上げる局面も観測されていた。

前週末は、「内乱扇動」の疑いで弾劾訴追されていたトランプ氏について、有罪に必要な3分の2となる議員票は獲得できず「無罪」が確定。一方、日本時間13日深夜、宮城県と福島県で震度6強を観測する地震が発生し、金融市場への波及的影響も警戒されたが東証などの取引は週明けから無事に開始されている。
そうした状況下、為替市場はドル/円は寄り付いた104.85-90円を週間安値に、ドルはじり高推移。上方向のストップロスを巻き込みつつ、テクニカルポイントを次々に上抜け、週の半ばには106.22円まで上昇している。しかし、週間高値を付けたのち、週末にかけては逆にドルは上げ渋りの動き。105円台を中心とした調整的な流れが強まるなか、週末NYは105.40-45円で越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「暗号資産をめぐる動き」と「米政治情勢」について。
前者について、ビットコインの上昇が止まらず。「米テスラが15億ドルものビットコイン投資を行った」ことをキッカケに騰勢を強めており、前週末14日には49600ドル台にまで達し「5万ドル目前」とされていたが、先週同レベルをあっさりとスルー。さらに大きく続伸すると、この週末21日には58000ドル台まで到達する局面も観測されていた。1週間で8000ドル以上、年初来2ヵ月足らずで実に90%を超える「暴騰」を記録している計算になる。上昇はいつまで続くのだろうか。

対して後者は、誕生からおよそ1ヵ月となるバイデン政権の積極的な外交スタンスが目を引く。テレビ会議方式を活用した2国間の会議が相次ぐなか、12日にはG7財務相・中銀総裁会議でイエレン米財務長官が外交デビュー。また、17日にはオースティン米国防長官がNATOの国防理事会に初参加したほか、19日にはバイデン米大統領もG7首脳会議で外交デビューを飾っている。さらにバイデン氏は、トランプ前政権の方針を覆し、「WHOに約2億ドル拠出」する方針を改めて示すなど動きは活発だ。

<< 今週の見通し >>

暗号資産ビットコインは依然として力強い上昇をたどっているが、NYダウや日経平均といった日米株価は引き続き堅調ながら、やや荷もたれ感もうかがえ始めている。今週は再び上昇軌道に戻るのか、それとも調整局面入りするのか、株価の動きをしっかりと見極めたいところだ。そんな日米株価や金利の動きも影響し、ドル/円相場も先週半ばに106円台を示現したのち、週末にかけては逆に冴えない。日足がホンのわずかではあるものの、移動平均の200日線を再び下回ってきたことも気にかかる。ドルが続落するか否かの正念場を迎えているとも言えそうだ。

一方、材料的に今週は注目要因が少なくない。たとえば、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言のほか、EU首脳会議やG20財務相・中銀総裁会議といった重要な政治イベントも実施される見込みだ。また、個人的に注視しているのは広義の中国情勢で、日本に対しては尖閣沖で連日のような領海侵入を行っているだけでなく、インドや台湾などへの軍事的圧力を強めていることも確認されている。日米豪印などにより、協議は再三再四行われているものの、果たして「猫の首に鈴を付ける」ことができるのだろうか。

テクニカルに見た場合、ドル/円はフィボナッチポイントの106.22円でピタリ上げ止まったことに加え、一度上回って推移していた移動平均の200日線を週末には再び割り込む展開となっている。まだ、「しっかり」と下回ったわけではないが、短期的には調整局面が続く可能性も否定できなくなった。
なお、このままズルズルとドル安が進行するような展開は予想していないものの、一日に10銭程度ずつレベルを切り上げてくる移動平均の21日線(週明け22日には104.95-00円)を明確に割り込んでしまうと一時的にせよさらなる下値模索の動きが強まる可能性もありそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権や人権問題などで様々な対立を抱える「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、2月のダラス連銀製造業活動指数や同消費者信頼感指数といった米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された米指標は総じて良好だったが、一部の雇用データが悪化しており、トータルイメージとしてはあまり良くなかった。米ファンダメンタルズの強さを再認識させられるか否か、今週発表の米指標について期待を持って注視している向きは少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.30-106.30円。ドル高・円安については、抵抗ということでは先週高値106.22円が意識されているが、短期的には105円台後半から徐々に重くなっている印象。ただ、それらを抜ければ107円前後が次のターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースでは105.20円前後がサポートとして意識されている。下回ると、移動平均の21日線や同90日線などが視界内に捉えられそうだ。

ドル高続くか正念場、調整局面入りも

ドル円日足

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