米株の動きを注視、調整続く展開も
〇ドル円、一時102.90レベルまで値を下げたが前日安値102.72には届かず、その後は低位揉み合い推移
〇NY州での変異種確認や日本における緊急事態宣言発令など、新型コロナ関連報道続く
〇イラン「核関連地下施設でのウランの濃縮度引き上げ」報道、続報に要注意
〇米ジョージア州における決選投票、バイデン氏も現地演説を実施するなど関心が高い
〇ドルは続落要注意、状況次第ではなし崩し的なドル安進行の可能性も
〇本日、12月米ISM製造業景況指数発表予定、感染拡大の影響による悪化の懸念
〇欧米時間のドル円予想レンジ102.40-103.40
<< 東京市場の動き >>
5日の東京市場は、ドルが小幅安。ただ、前日にこれまでのレンジ下限を下回ったものの、いまひとつ値は走らず、逆に下げ渋っている感も否めない。
ドル/円は103.05-10円でオープンしたのち、しばらくは底堅く推移。103.05-20円といった値動きをたどるも、底割れすると日中安値である102.90円レベルまで値を下げている。ただ、前日安値102.72円には届かず、その後は低位揉み合いに。16時現在では102.90-95円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「イラン情勢」について。
前者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果で、世界の感染者数が8500万人を超えたと発表されている。また、米NY州にて「コロナ変異種が初めて確認された」ことも話題に。とくに後者は、米株についての弱材料となっていた感を否めない。そうしたなか、日本でも朝日新聞が「政府、外国人の新規入国を全面停止で検討に入った」と報じたうえ、別に「菅首相、緊急事態宣言発令を7日に決定する方針」などと伝えられていた。
対して後者は、イランの原子力庁当局者が、核関連地下施設でウランの濃縮度を20%に引き上げたことを明らかにし、物議を醸す。2015年のイラン核合意から一段と逸脱するもので、米高官からはすぐさま「ウラン高濃縮は核のゆすりだ」などとした非難コメントが観測されている。続報に注意を払いたい。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日の欧米時間は、米株そして暗号資産ビットコインなどに調整売りが先行する展開で、それもありドル/円も一時102.72円へと値を下げ、過去2週間あまりのレンジを割り込んできた。しかし、米株の下げ幅からすると、ドル/円の下押しは小さく、影響も限定的。米株への調整は本日も続く可能性が取り沙汰されているものの、具体的な為替への影響となると、やはり限られたものにとどまるのかもしれない。
そうしたなか、目先のマーケットでもっとも関心を集めているものは、「米南部ジョージア州における連邦議会上院の2議席をめぐる決選投票」だ。4日にはバイデン次期米大統領も現地入りし、応援演説を実施したとされている。なお、大勢判明は明日の東京時間になるとみられるが、昨日もレポートしたように、ブルームバーグが「結果判明まで数日から数週間かかる可能性もある」と報じるなど、一部では長期化も見込まれているようだ。
テクニカルに見た場合、過去2週間以上サポートとして寄与していた102.90円レベルを一時下回ったものの、予想ほど値は走らず。ドルの下値は102.72円までだった。ただ、リスクという意味では引き続き下方向にバイアスがかかり、ドルは続落要注意。再三再四指摘しているように、102円台にはそれほど強いサポートが見当たらないことで、昨日安値を下回った場合など状況次第では、なし崩し的なドル安進行も否定できないだろう。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「就任確実のバイデン新米大統領による政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、12月の米ISM製造業景況指数という重要経済指標が発表される予定となっている。ちなみに、同指標の事前予想は前回からやや悪化見込みの56.7だが、12月と言えば米国において新型コロナの感染拡大が取り沙汰されていただけに、さらに悪化する可能性もあるなどと警戒感を抱く声もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは102.50-103.40円。先週末からドルの上値を数回阻んでいる103.30円±10銭が最初の抵抗。超えれば毎日5ポイント程度ずつレベルを切り下げている移動平均の21日線がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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