ドル円レンジ下限割れなるか、荒れた動きにも注意
〇大晦日ドル円は寄り付き終了とも103.10-15、15銭レンジで動意なし
〇一方でポンド、豪ドル等は対ドルの年初来高値を更新、ドルは円以外の主要通貨に対し全面安の様相
〇ビットコインは年末も史上最高値を更新、年末年始閑散市場の中逆に金融市場はドル円以外アクティブ
〇ドル円テクニカルには昨晩海外で一時103円割れ、リスクは下方向にバイアス
〇欧米時間のドル円予想レンジ102.70-103.60
〇昨日安値102.97、前回安値102.88を割り込むとなし崩し的ドル安進行も
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は、横ばい推移。103円前半、15ポイント程度のレンジ取引で、変動らしい変動はほぼうかがえなかった。
ドル/円は103.10-15円で寄り付くなか、ドルは全面安で推移。実際、ポンド/ドルや豪ドル/ドルなどは年初来高値(ドルの同安値)を一時更新している。しかし、円もドルと同じぐらい弱かったことで、ドル/円は結果小動きに。終日を通しても15ポイント程度の変動にとどまる凪商状。16時現在では103.10-15円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「英国情勢」について。
前者は、引き続き「感染拡大」にともなう悲観と、「ワクチン接種」に絡む楽観が交錯した状況に。前者については、イタリアの国立統計研究所が「コロナ死者は発表をはるかに上回る恐れがある」と公式にコメントしたことが話題に。またフランス報道官が「夜間外出禁止令の強化を検討」する旨の発言をしたことなども思惑を呼んでいた。対して後者は、英政府が世界で初めて「英アストラゼネカのコロナワクチンを承認した」とされ、今後さらに接種者数が増えていくことも期待されていたようだ。
対して後者は、ミシェルEU大統領とフォンデアライエン欧州委員長が、英国とのあいだで合意した自由貿易協定(FTA)など将来関係についての文書に署名。それを受け、英国が加盟国と同等に扱われる期間は31日に終わり、「完全離脱」手続きが完了した。為替市場の動きをみると、素直に好感しているようだが、ジョンソン英首相が指摘した「世界と自由貿易を進め、英国史に新たなページを開く」といった明るい展望を本当にたどるのか、しっかりと動静を見極めたい。
<< 欧米市場の見通し >>
NYダウは29日にザラ場ベースながら、史上最高値を更新。それに続き昨日は暗号資産(仮想通貨)ビットコインが同じく史上最高値を更新し、さらには本日東京時間、それを上回る局面も観測されていた。後者については、名実ともに3万ドルが視界内に捉えられたことは間違いない。いずれにしても、年末年始取引で市場参加者は限られているものの、金融市場は逆にアクティブ。為替市場もドル/円の動意はやや乏しいが、ポンド/ドルや豪ドル/ドルは前述したようにここにきて年初来高値を更新している。引き続き波乱含みで、十分な注意を払いたいところだ。
そんなマーケットでもっとも関心を集めているものは、英国と南ア、2つの「変異種」問題を含めた新型コロナの感染状況。プラスして、コロナワクチンの接種状況も注視されている。前段で取り上げたように、楽観と悲観が交錯しているが、若干気になるのは米メディアが報じた「ファイザー製ワクチンを接種した看護師がコロナに感染した」とのニュースになる。接種後とはいえ予防効果が出る前の感染ということで、事前に予想されていた事態とされるが、仮に同様のことが続くようだと、市場では失望を誘う可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、本日東京時間に割り込むことはできなかったが、昨日欧米時間にドルは一時103円割れ。過去2週間程度推移する102.90-103.90円という1円レンジの下限に急接近する展開をたどっていた。下限を割り込めなかったとはいえ、リスクは下方向にバイアスで、このあと再び103円割れを試す可能性もある。株価や金利の動きをにらみつつだが、ドルのさらなる下押しには一応要注意。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「就任確実のバイデン新米大統領による政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、米経済指標として週間ベースの米新規失業保険申請件数が発表される予定となっているものの、年末年始相場で材料そのものはさほど多くない。ただ、各国首脳などから新年の祝辞が伝えられていることで、要人の発言は波乱要因として一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは102.70-103.60円。昨日103円割れを示現後の戻り高値にあたる103.35-40円が最初の抵抗。超えれば、103.70円前後までレベルを切り下げてきた移動平均の21日線がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の102.97円が目先のサポート。そのスグ下、102.88円は前回安値にあたる。それらを下回ると、明確な下値メドは見当たらず、なし崩し的なドル安が進行する可能性も。(了)
1月1日(金)の元日は、世界的に金融市場が休場となりますので、当レポートを休刊にさせていただきます。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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