日銀会合(9月21-22日開催)結果のポイント:植田日銀総裁は早期の金融政策正常化観測をけん制

結果は「金融緩和方針の現状維持」と市場想定通りの内容に留まるノーサプライズ。

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日銀会合(9月21-22日開催)結果のポイント:植田日銀総裁は早期の金融政策正常化観測をけん制

植田日銀総裁は早期の金融政策正常化観測をけん制

【今回のポイント】

〇 現状の金融緩和方針を継続
〇 植田日銀総裁は記者会見で、市場に浮上する早期の金融政策正常化観測をけん制
〇 「政府・日銀による為替介入」水準は昨年高値151円90銭台もしくは152円水準

【日銀会合の結果】

今回、日銀金融政策決定会合(日銀会合)の内容が公表されたのは11時52分頃と、「早くもなければ遅くもない」時間帯だった。結果は「金融緩和方針の現状維持」と市場想定通りの内容に留まるノーサプライズ。その後、15時30分から始まった植田和男日銀総裁の記者会見のコメントは以下の通りだ。

「(市場では年内にも長短金利操作(YCC)、マイナス金利政策の撤廃に踏み込むとの見方はあるが)現時点では不確実性が極めて高く、これまでの説明から変化が有るわけではない」

「物価目標の達成が見通せる状況になれば、YCCの撤廃やマイナス金利の修正を検討することになる」

「(持続的な物価上昇の実現には)企業の賃上げの実行が最も重要な要素の一つ」

「企業収益は好調で、来年の賃金(改定)に向けて良い材料であるという議論もあった」

「7月の展望レポートの見通しに比べて物価の下がり方はゆっくりめ」

「米国経済は若干強めだが、中国・欧州は少し弱めである」

「マイナス金利解除、年内の可能性が全くないと総裁が言うと決定に縛りをかけてしまう」

「為替に関しては、政府と緊密な連携をとりながら高い緊張感をもって注視していきたい」

【市場の反応】

日銀会合の結果が発表されたタイミングで、147円75銭水準から148円18銭までドル買い・円安が進んだ。株式市場では、日経平均先物が32100円水準から100円ほど上昇。債券市場では、10年物国債の利回りは、0.737%水準で横ばい推移の動意薄となった。

総じて、市場の反応は限定的となったが、もとより15時30分の植田日銀総裁の記者会見に関心が集中しており、結果発表に対するイベントドリブンは発生しようもない地合いだった。

15時30分からの植田日銀総裁の記者会見中、為替市場では、ドルが148円水準から148円40銭までドル高円安進む場面が見られたものの、9月21日の年初来高値148円46銭を上放れるような強い動きは見られなかった。

植田日銀総裁の記者会見は「慎重」の一言に尽きる。9月9日に一部メディアで報じられたインタビューにて、市場が動揺したことを考慮したのか、植田日銀総裁の意図は「市場の早期金融政策正常化観測をけん制する」ことだった。記者が「マイナス金利解除の時期」「朝方に発表された8月の消費者物価指数が生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で3.1%上昇した」ことに関して、厳しい質問を複数回行っていたが、いい意味で淡々とはぐらかしていたように見えた。

記者側は、なんとかして「金融政策正常化のタイミング」を聞き出そうと躍起になっていた雰囲気だが、今回の記者会見は、植田日銀総裁の対応力が上回ったといえよう。結果として「ノーサプライズ」の日銀会合となったが、日銀としては伝えるべき事は伝えきった日銀会合になったと考える。

【今後、円はどう動く?】

海外時間でも目立ったドル買いは観測されなかったものの、引き続き年初来高値圏で推移しており、ドル買いのトレンドが継続していると考える。

となれば、考えなくてはならないのは、「政府・日銀による為替介入」のタイミングだ。この件に関しては、以前より申し上げている通り、まだ口先介入の段階で、実弾介入は先との見解だ。

神田財務官や鈴木財務相など政府・日銀関係者のこれまでの発言から推測すると、6段階中の4段階と見ている。次のステップとして、政府・日銀関係者による「断固たる措置」という発言が口先介入の最終段階(5段階)で、実弾介入一歩手前のステップ(6段階)が「日銀、財務省、金融庁による三者会合」、そして、「レートチェック」である。

円安進行のスピード感も重要だが、目安としては、150円水準で5段階の「断固たる措置」が発動されて、昨年10月以来の151円90銭に近づいたタイミングで、6段階の「三者会合」及び「レートチェック」が実施されると考える。

昨年高値を超える場面はありそうだが、さすがにその水準からドル買いを仕掛ける投資家は少ないことから瞬間的な動きに留まろう。つまり、昨年高値の151円90銭もしくは152円水準で実弾による為替介入が実施されるというストーリーなので、後3円ほどはドル上昇の余地はあると見ている。

【2023年の日銀会合終了時間一覧】

以下は、2023年の日銀会合の終了時間一覧である。なお、速報が市場に伝わるのは、終了してから7分ほど経過してからだ。

1月18日(水)・・・11時33分終了、前回会合の方針を維持
3月10日(金)・・・11時23分終了、最後の黒田日銀総裁の日銀会合、前回会合の方針を維持
4月28日(金)・・・12時53分終了、最初の植田日銀総裁の日銀会合、前回会合の方針を維持、金融緩和策のレビューを多角的に実施することを決定
6月16日(金)・・・11時40分終了、前回会合の方針を維持
7月28日(金)・・・12時21分終了、長短金利操作の修正を決定(長期金利の上限を1.0%まで引き上げ)
9月22日(金)・・・11時45分終了、前回会合の方針を維持
10月31日(火)・・・?
12月19日(火)・・・?

【2023年スケジュール】

※米国は現地時間なので、金利発表及び記者会見は日本時間で翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)

9月21日(木)ー22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持したことで、市場はやや円安
10月30日(月)ー31日(火)・・・?
12月18日(月)ー19日(火)・・・?

米連邦公開市場委員会(FOMC)

9月19日(火)ー 20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)ー11月1日(水)・・・?
12月12日(火)ー 13日(水)・・・?

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)

9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・?
12月14日(木)・・・?


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