Monthly Market Insights (24/10) 米大統領選を前に再認識させられた選挙結果予想トレードの難しさ

9月に入っても為替市場で円を買い戻す動きは継続し、ドル円相場は、月単位では終わってみれば3か月連続での下落となった。

Monthly Market Insights (24/10) 米大統領選を前に再認識させられた選挙結果予想トレードの難しさ

米大統領選を前に再認識させられた選挙結果予想トレードの難しさ

9月に入っても為替市場で円を買い戻す動きは継続し、ドル円相場は、月単位では終わってみれば3か月連続での下落となった。

米国FOMCの開催(9月17日〜18日)を直前に控え、9月中旬にはドル円相場は一時、約1年2か月ぶりに139円台まで下落した。7月上旬のドル高値からは2か月あまりで13%を超えるドルの下落である。しかし、円は他の主要通貨に対しても10%を超える上昇をみせており、大方の見方どおり、やはり円キャリートレードの巻き戻しがその主たる要因だろう。

その材料のひとつとなったのは言うまでもなくアメリカが最後の利下げからは4年半ぶり、利上げに転じてからは2年半ぶりとなった金融の政策の転換だ。
米国が金融緩和へと舵を切ることはかねてから予想されていたものの、米国の経済指標が、ここぞという経済指標発表の機会に景気の底堅さやインフレのしつこさを示す数値となることが多く、市場の利下げへの期待はこれまで何度も肩透かしを食う形となってきた。市場参加者が待ち望んでいた利下げが、今回、ようやく実現した。
今回も政策金利の利下げ幅が0.25%か0.5%かで市場の見方は分かれていたが、FOMC直前になって急速に0.5%と予想する見方が増えたことから140円を割れる水準までドルが売られたというより、円が買われた。米国の政策金利という材料にも拘わらず、円が他の主要通貨に対しても買われる展開となった。しかし、FOMC後には円は主要通貨に対して売り戻され、「Buy the Rumor, Sell the Fact」の展開となった。

9月の日本サイドの材料としては、自民党の総裁選と立憲民主党の代表選トップを決める党員選挙が行われたことだろう。
自民党の総裁選は、「THE MATCH」(時代は誰を求めるか)のキャッチコピーと歴代総裁の熱弁をふるう写真のレイアウトが話題となり、このポスターから注目を集めた。
9月12日の告示から27日の投開票まで時間があったこともあり、候補者の露出も多く、メディアを通じても目に触れることも多かったが、ポスターからイメージさせるようなバチバチ火花の散るような論争は見られなかった印象だ。遠慮がちの討論が続いたのは、やはり総裁選後を考えてだろうか。
自民党の石破総裁誕生には一足先に立憲民主党の代表選の結果が影響した感が強い。立憲民主党と自民党の総裁選のスケジュールが前後していれば違った結果を招いたかもしれない。「たられば」は後に歴史を語る時に飽きない話題だが、結果が変わることはない。

さて、2022年以降、外国為替市場においてドル円相場は3年連続で年前半に大幅上昇し、年後半のどこかで調整を迎えるという展開が続いている。(2021年も同様なパターンでドルは上昇したが、米国が政策金利上げに動いたのが、2022年3月からであり、その値幅は限定的だった)

為替相場変動の要因は様々だが、この期間の米ドルの為替相場の上昇については、海外の投機筋を中心とした円キャリートレードの活発化が主因として挙げられることが多い。

キャリートレードとは何かをここで改めて説明することはしないが、キャリートレードのポジションが積みあがるのと、その解消の値動きを説明するときに筆者は風船が膨らむのと破裂することに例えて説明している。

膨らんだ風船に針を当てれば風船は破裂する。パンパンに膨らんだ風船ならほんの少しの刺激で破裂する。しかし、空気の抜けてしまった風船を針で突き刺しても風船は破裂しない。

金融市場を、この風船と刺激の関係で考えていくときに難しいのは風船がどこまで膨らんでいるのかを簡単に量ることのできる指標がないことだ。シカゴIMMのポジションは一応の目安にはなるが、投機的ポジションは先物市場だけではなく、フォワード市場やデリバティブ市場で簡単に造成できることから、市場参加者のポジションがシカゴIMMの円先物ポジションに凝縮されている訳ではない。
相場変動をもたらす様々な材料の出現の仕方と値動き(Price Action)を見ながら過去のケースを参考にしながら判断するしかない。

相場が調整される時は、大きく分けて値幅で調整がなされるケースと時間で調整がなされるケースがあると思うが、今年、ドル円相場が160円越えの水準から3か月弱で140円割れの水準まで下落したということは値幅での水準調整が、相当程度なされたように思える。
米国の0.5%の政策金利下げの後のドル円相場のPrice Actionからも日米金利差を材料としたドル売り円買いは相当程度織り込まれていたように見える。シカゴIMMの円ポジションも8月からはネットで円ロングに転じており、直近でもそれが続いている。

一方、実需筋の動きとしては、輸入企業が140円割れでは、ドルの底堅さを支え、逆に146〜147円台では輸出企業の社内レートを意識したドル売り意欲の強さも窺えたように思える。

今回の自民党総裁選後の値動きは、相場水準が一瞬にして大きく変動するリスクを改めて認識させられた。これから11月5日の米国の大統領選までは市場参加者は総じて様子見になりがちだ。
10月は9月の相場レンジを中心とした動きを想定している。

次回に続く

オーダー/ポジション状況

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