NY原油上昇とフォワードカーブ
NY原油(WTI)が上昇しています。昨夜のNY市場では65.86ドルまで上昇し高値引け、年初来高値(3月26日66.55)に迫る勢いです。現在の上昇相場は2017年6月から続いていますが、この流れでの高値は1月高値の66.66ですから、今回ここを上抜けると一段高の動きとなる可能性が高いと言えます。
日足チャート(GLOBEX期近つなぎ)をご覧ください。
WTI日足
1月以降はウエッジ(くさび)型のチャートパターンとなっていて上抜けると典型的なコンティニュエイション(継続)パターンとして、それまでの上昇トレンドを再開するチャートパターンと言えます。
為替関連ニュースでは、リスクオンで買われているという単純な説明がなされていますが、コモディティに携わる人から見れば随分と簡単に片づけられているなと思うコメントです。そこで、今回はリスクオンの背景として考えられることをもう少し掘り下げてみましょう。
WTIでもシカゴの先物の投機筋のポジションが週末にCFTCから発表されています。WTIのポジションもユーロと似て最高水準のロングが長らく継続しています。ここ1か月ほどは70万枚ほどのロングとなっていますが、長期的に見るとちょうど現在の上昇トレンドが始まった時期をボトム(30万枚強)に倍以上に増えてきています。
実需以外にコモディティファンドによる資金流入が大きいと思えますが、それを裏付けるもののひとつにフォワードカーブがあります。WTIでは期近から10年先の期先まで長期間にわたる際物取引が行われていますが、通常手前の1年くらいの期近から期先の価格差を見ます。
原油のように保管コストがかかる商品では、通常期近よりも期先が高い右肩上がりの価格曲線となり、これをコンタンゴと呼びます。以前のWTI関連のコメントでは限月交代のたびにコンタンゴの影響で値上がりしているといったことも書いたことがありますので、覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし時々期近よりも期先が低い右肩下がりの価格曲線となることがあり、これをバックワーデーションと呼び、現在はその状態です。以下は期近から10年先までのフォワードカーブです。かなり急なバックワーデーションとなっていることがわかります。
WTI 期先価格一覧
このやや特殊なバックワーデーションが起きる理由はいくつかありますが、端的には期近の需要が高く期先の需要が低いために起こる価格の状態と言えます。現在のバックワーデーションは昨年の秋から始まりましたが、その頃からWTIに投資資金が流入し、現在もそれが続いていると考えることが出来ます。
今後このフォワードカーブの変化が起きるまでは米国の資金はWTIに流入しやすいため、一段高に繋がる可能性も高いということが言えるでしょう。
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