Brexit レポート(阪谷さん第3回)
今回は、もしBrexitとなった場合の動きとリスクを考えてみたいと思います。
英国がまず、欧州連合(EU)に対して、離脱の申し入れをする事から始まります、来年3月末を目途に通告をし、交渉の開始となる運びです。
次に順序としては、
EUが英国の離脱の申し出を受け、EUはEUの議会を開き、その承認をえることが必要です。 その後に、今であれば当該国の英国を除くEU27か国中、20か国以上の承認をもってして、EUサイドの、英国EU離脱の申し入れを正式に受理との運びとなります。
このEUの最終合意にたるまで、およそ2年間はかかるとされているので、英国が来年3月末までに離脱の申し入れをしたとしても、実際にそれが正式に受理され、決定するには、早くても2年後の、つまり2019年3月以降の話という展開になります。
リスク・シナリオとしては、
1. 上記のEUサイドの審議過程で、議会や、20か国以上の承認が得られない場合
2. 通常上記のEUサイドの審議過程は、およそ2年の時間がかかるとされますが、1.のような場合には、その審議時間の延長となり。この延長には、当該国の英国を除くEU27か国全員の賛成が必要です。
3. 最悪の場合には、1.もダメで、2.もダメでというケースもありかも知れません。
4. ただ言えるのは、全ての審議、交渉が終了して、晴れて英国が正式にEUから離脱をするまでは、英国は今まで通り、正式なEU加盟国としての扱いを受け、英国もEUとの規定に縛られます。
5. 現キャメロン英首相は、今回のこの国民投票を、自身への信任を問う投票と位置付けていて、もし、負ける
(=EU残留が支持されない)場合には、首相の職を辞任すると表明しています。キャメロン首相の支持率は高く、リーダーシップを持った政治家としての手腕の評価も高く、もし辞任となる場合には、英国の政治が混乱する懸念が強いです。
6. そして最後に指摘したいのは、もし今回のBrexitが可決された場合、欧州でEU離脱の風が拡散してし
まう事です。特にギリシャやポルトガル等の南欧の諸国が危ないです。EUが成立して20年以上が経ち、
ユーロ圏の中でも、北部の諸国と南部の諸国の間に経済、所得等の格差が拡大しつつあり、問題のある国は多くが南部の国々で、EUへ援助を仰いでいます。EUもEUで、この20年で公務員天国となってしまい
参加国からの批判も多いです。そんな中、EUの官僚に厳しく予算や出費を指図され、爆発しそうな国々も多いと聞きます。
同時にEUからは緊縮財政を強いられるわけですから、当然、各国民からの不平・不満が高まっていると聞きます。
そんな状況下で、大量移民の問題が起きていて、大なり小なり、どの参加国も移民扱いが社会問題化していて、英国のBrexitが爆弾の導火線に火をつけてしまう事になりかねません。
今回は最後に
英国の通貨ポンドを、対ドルで見た場合の、歴史的な動きを押さえておきたいと思います。
もし仮にBrexitとなる場合には、当然の事、下値を模索する展開になるのではと、想定します。
1970年代には、2.60台をつけていました。
その後は1980年代には、パリティーに迫る動きがあった後、
2001年頃には、1.40付近の水準まで上戻ししました。
それ以降は英国経済が好調であった時期で
2007年11月には、2.11台まで上戻しました。
その後は2008年のリーマンショックで最安値の1.35台へ下押しました。
現状は、その最安値の水準からはやや上戻してはいるものの
過去の歴史的にみた場合には、依然低位水準に低迷しています。
よって、もしBrexit となる場合には、、一気にリーマンショック時の最安値を下抜いて
下値を模索する展開中です。
その際の下値目途は、1.30台で、ここを下抜ける場合には、1.10台を試す流れでしょう。
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