ブレグジット(Brexit)の基本

ブレグジット(Brexit)とは英国のEU圏離脱の動きのことで、Britain(英国)とExit(離脱)を組み合わせた造語です。

ブレグジット(Brexit)の基本

○ブレグジット(Brexit)とは

ブレグジット(Brexit)とは英国のEU圏離脱の動きのことで、Britain(英国)とExit(離脱)を組み合わせた造語です。

○これまでの経緯

英国は1973年にEUの前身のEC(欧州共同体)に加盟、その後1975年に一度EC残留の国民投票を実施、残留を決定しています。

1990ポンドがERMに参加
1992年欧州通貨危機でポンドがERMを離脱
1993年マーストリヒト条約発効 英国は批准するも通貨同盟に参加しない権利を獲得
1999年ユーロ導入されるもポンドを維持
2004年トニー・ブレアが欧州憲法批准のための国民投票を開くと述べる
2008年国民投票を実施しないままに批准
2011年EU離脱を問う国民投票を求める10万を超える署名が政府に提出される
2015年キャメロン首相がの総選挙のマニュフェストとして2017年末までにEUを離脱するかどうかの国民投票を行う旨を掲げて選挙に勝利
2016年2月キャメロン首相EU首脳会談でEUから譲歩を引き出す

○なぜ、英国はEUを離脱したいのか

・ブラッセルの官僚主義から国家の主権を取り戻したい

英国内の法律等に関するEUの規制が強化されており、英国の主権を侵害されているとの反発が強いといわれています。大英帝国の歴史と地理的に独立した位置づけ、歴史的なフランス、ドイツとの競争心もこれに拍車をかけているものと思われます。
EC加盟時点では英国は経済的動機のみで政治的統合までは前提にしていなかったとも言われており、EU加盟以降の独仏主導の政治的な圧力に幾度も屈さざるを得なかったことへの後悔と警戒感はEU本部のあるブラッセルの官僚主義への反発もあいまって、明らかにEU離脱の根底にあるものと思われます。

・移民流入の問題

人の移動の自由とするEUの基本理念から特に新規に加盟した東欧諸国から英国への移民流入が続いており、英国における雇用が奪われていることや、福祉費用の負担が増加していることに対し国民の不満が高まって来ています.

・EUへの拠出負担

EUへの拠出負担は主として国民総所得の水準で決められているため英国は独仏に次ぐ水準の巨額な負担(2013年で1兆9,000億円)を強いられていることに対する不満があります。

○2016年2月のEU首脳会議で英国がEUから引き出した譲歩

キャメロン首相自身はEU残留派であり、国民投票の実施を前提にEUから譲歩策を引き出そうとしたとの見方もあります。
実際今年の2月のEU首脳会談でEU改革案をめぐる合意でさまざまな譲歩策を引き出しており、これを首相自身は「EU内で特別な地位を得た」と強調しました。
主な譲歩の内容は以下のとおりです。

1. 英国の社会保障制度を脅かすと判断された場合移民への福祉を最長4年制限できる
2. 移民の子供が母国に住む場合には児童手当を現地の物価水準で支給する
3. 英国に対して更なるEUの政治統合にコミットしない地位を認め、新たなEU法令に対し加盟国の55%以上の反対があれば否決できる
4. ユーロ圏の金融危機に対して非ユーロ圏は救済処置に参加しない

これについてキャメロン首相は「EU残留を勧めるのに十分な内容」と自信を示し、2016年6月23日の国民投票実施を決めましたが、直後に政治的盟友で次期首相候補ともされるボリス・ジョンソンロンドン市長がbrexit支持を表明するなど、必ずしもこれによって完全にbrexitが回避できたという見方とはならず、日程が決まったこともあり、以後離脱派と反離脱派の拮抗が目立つようになりました。

○Brexitが現実化した場合何が起こるか?

5月には世界銀行のキム総裁が「Brexitはわれわれが直面する最大のリスクであることは間違いない」と延べ、また仙台のG7でも視野に入っている最大のリスクと捕らえて協議されるなど域内のみならず、国際金融市場へのリスクとして捉えられているBrexitですが、実際離脱した場合にはどのような影響が想定されるのでしょうか?

・英国

EU加盟のメリットを享受しEURの取引が集中するシティの金融センターとしての地位の低下が懸念されています。また、EU市場へのアクセスが難しくなることにより輸出競争力が低下、英財務省は離脱により2030年までのGDPが6%低下すると試算しました。
しかし、EUとの貿易に関しては関税との負担が増える一方でEU域外への関税障壁が撤廃され少なくとも英国の独自の判断で関税を設定できるため逆にプラスとの考え方もあります。
当初の混乱さえ収まれば拠出金や移民の流入回避の問題も含め経済的には必ずしもマイナスとはいえない可能性があります。

・EU

加盟国のGDPの2割弱を占める大国の離脱は他国の経済負担、さらにはEU自体の理念の揺らぎの問題等深刻な影響をもたらし、最終的には他国の追随、EU自体の崩壊にまで至る恐れがあります。

・世界

時期的に経済が立ち直るか否か微妙な時期に一時的にでもEUや英国からの大規模な投資の流出が起こり、金融市場が混乱することは明らかなマイナスとなります。また、経済のみならず離脱による欧州域の政治的不安定の増大は世界中の政治的な不安定を誘引することにより経済の基盤自体の大きなマイナスとして全世界に降りかかることとなるものと思われます。

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