Brexit レポート 1回目 2016.5.30
最近、市場でよく聞く「Brexit」という単語、先ずはこの単語の意味から入りたいと思います。
Brexitの前半のBrは、Britain、つまりGreat Britain=大英帝国 の 英国の事を意味しています。
そして後半の exit はそのままの意味で、出口、そして退出するという動詞です。
つまり、「英国が出て行く」という意味です。
分からないのは、「英国は、どこから出て、どこへ行くのか」という事ですよね。
今、英国は、EU(欧州連合)という欧州のグループに参加しています。
つまり、英国が、現在メンバーであるそのEUというグループから出て行く、
つまり、EUのメンバーである事を止めるという事です。
ただ、どこへ行くのか? については今のところ、問われてはいませんし、わかりません。
その話題は、先の回でお話ししましょう。
纏めてみると、今回のBrexitに関する国民投票というのは、
「英国がEUからの離脱をする事への可否を問う、英国の国民投票」という意味です。
今回は、離脱の可否を、投票をする訳で、それだけの決を採ります。
勿論、その選挙期間中は、各々の陣営が、国民投票後の事を含めて色々と主張しあうのでしょうけれど、
投票そのものは、EU離脱をする事に、賛成なのか、反対なのか、これだけの決です。
さて、次の話はEUです。
この欧州連合(EU)というのは、歴史は古く、1950年代へ遡る話になるのですが、現在の姿へと固まってきたのは最近の2009年頃です。
因みに、自分の現役時代の知識を思い出してみると、もともとは欧州経済共同体(EEC)という欧州諸国の経済的な繋がりのグループがありました。これがベースになって、欧州での共通通貨ECUが作られ、当時は独マルクや、仏フランも同時に使用されていました。新しいエキュー(ECU)という通貨が登場したという感じで、それが1970年代でした。
きっと、もうその頃から欧州各国には、将来的な、欧州の統一国家や、統一通貨を各国で中心的に使用する姿というもののイメージがあったのでしょう。
その後、欧州を単一の地域の共同体として欧州共同体(EC)が生まれたのはそれこそ1990年代を待っての事でしたし、その欧州共同体(EC)がもとになって生まれた欧州連合(EU )が生まれたのは2000年代を待っての事でした。
それまでの経済的な結びつきだけでなく、それこそ政治も、文化も巻き込んだもっと深い単一市場、単一国家を目指したものが設計されました。ですので、参加各国の上に、EUの大統領を置き、EUの法律を作り各国のそれらに優先させてきたのです。そして、市場参加者の皆様にお馴染みの通貨ユーロは、そのEUの統一通貨として生まれ1999年1月よりスタートしました。
それこそ人類始まって以来の画期的な試みとして、当時から理想国家としてEU は敬意をもって扱われてきました。 当然ながら、後になって、現在問題となっている、移民政策も、この理想国家EUの扱う問題の中にあります。 EUの決定内容が、EU 参加国各国の政府の決定内容に優位するのです。
つまり、EU参加国は、その国の政府がもし移民の受け入れを嫌だと言っても、もしEUの決議が移民の受け入れを良しとした場合、その国の政府の意思に反していても、EUの決定である移民の受け入れに従い、実際に
移民の受け入れをしないといけないのです。それがEUの参加国としての義務であり、EU参加国としての守るべきルールなのです。
勿論、EUの参加国には色々ないい面もたくさんあります。
例えば、共通の通商政策の下、共通の単一市場として関税がありません、何故ならば一つの国家なのですから。
また、人の動きも国境という目に見えない壁に阻害される事無く、自由に参加国内を出入りできます、何故なら一つの国家だからです。
なので、EUに参加するという事は、物流、人の流れ、それはテクノクラートのみならず労働力の移動もかのうにし、加えてお金の流れ、ビジネスの世界にも大きな変化と恩恵を与えることになりました。
その拡大の歴史を参加国で見てみると
上記の創成期、1950年台には、それこそ
イタリア、ドイツ、フランス、それに、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、の6か国でした。
これに1970年代に
英国、アイルランド、デンマーク、の3か国が参加。
その後1980年代以降
ギリシャ、スペイン、ポルトガル等の南欧諸国や、東欧諸国も加わり
結局は最大数で28か国まで増えました。
ここまで見てみると、EUというのは素晴らしい単一市場に思えるのですが、
何故英国は、国民投票までして、そのEUからの離脱を議論することになったのか
その辺りのお話を次回に致しましょう。
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