ドル円見通し 株高継続だがドル安はやや一服でドル円は104円挟んでの揉み合い続く(20/12/9)

ドル円は、7日深夜安値以降はややジリ高で104.20円台へ戻してきたが、手掛かり難で7日夜高値超えを伺う勢いに欠ける展開となっている。

ドル円見通し 株高継続だがドル安はやや一服でドル円は104円挟んでの揉み合い続く(20/12/9)

株高継続だがドル安はやや一服でドル円は104円挟んでの揉み合い続く

〇ドル円、104.20円台へ戻してきたが、手掛かり難で勢いに欠ける展開
〇ドル安感一服でドル円も底固い動きだが持ち合い下放れへ進みやすい位置取り
〇NYダウ前日比104.09ドル高、ナスダック62.82ポイント高でいずれも史上最高値更新
〇英EUがFTA合意ならユーロ高ポンド高が続き、ドル安感強まりドル安円高へ進む可能性
〇ハード・ブレグジット突入ならリスク回避的な円高進み、ドル円も円高へ向かいやすい
〇7日深夜安値103.91割れからは3日深夜安値103.67試し
〇7日夜高値104.31超えからは104.60前後を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は12月3日深夜に103.67円まで下げたものの11月18日安値103.65円割れを回避してその後はやや持ち直し気味の推移だが、7日夜に104.31円まで戻してから7日深夜に103.91円まで下げるなど上値の重い推移。7日深夜安値以降はややジリ高で104.20円台へ戻してきたが、手掛かり難で7日夜高値超えを伺う勢いに欠ける展開となっている。
11月24日深夜高値104.75円に対して12月2日夜高値は同値にとどまって失速したものの11月18日安値割れを回避したため、現状は103.60円台を下値支持線とし104.75円を上値抵抗としたボックス型持ち合いの範囲での推移となっている。

ドイツの欧州経済調査研究所(ZEW)が発表した12月景気期待指数は前月比16.0ポイント上昇の55.0となり前月の39.0から改善して市場予想の45.5を上回ったが、足元の景況感を示す現況指数は2.2ポイント低下のマイナス66.5へ悪化した。ユーロ圏の期待指数は前月比21.6ポイント上昇の54.4となったが、同現況指数は0.7ポイント上昇のマイナス75.7にとどまった。ワクチン普及期待で先行きは改善しているものの現況は感染拡大と活動規制により悪化した状況のままというところか。
米労働省が発表した7-9月期の非農業部門労働生産性改定値は年換算で前期比4.6%上昇となり市場予想の4.9%上昇を下回った。前年同期比は4.0%の上昇だった。またインフレ指標である単位労働コストは前期比6.6%低下で市場予想の8.9%低下を上回り、前年同期比は4.0%上昇だった。

【ドル安一服、ドル円は底固いが浮上のきっかけをつかめず】

先週まではユーロドルやポンドドル、豪ドル等が3月のコロナショック以降の最高値を更新し、ドル指数が9月1日安値を割り込むなどドル全面安の様相だったことがドル円には圧迫要因となっていたが、週明けはユーロ等が新たな高値更新へ進めずにややジリ安推移のためドル安感が一服していることでドル円も底固い動きとなっているが、ドル高再開感が強まらないことにはドル円も浮上しきれないという印象であり、ボックス型持ち合いにとどまっているうちは持ち合い下放れへ進みやすい位置取りと思われる。

NYダウは前日比104.09ドル高と上昇、ナスダック総合指数も62.82ポイント高と上昇し、いずれも史上最高値を更新した。英国で米ファイザー社ワクチンの接種が開始、米国も早期承認の流れにあり、足元の感染拡大を気にしつつも株式市場としては先行きの景気回復期待を優先した展開であり、ナスダックは4日連続で終値ベースの史上最高値更新となっている。
米10年債利回りは前日から変わらずの0.92%、序盤は0.90%まで低下したが終盤は株高債券売りで利回り上昇感が強まって戻した状況。30年債利回りは前日比0.02%低下の1.66%。

【3月以降の右肩下がり、安値更新への余裕は乏しい】

ドル円は11月6日安値103.17円まで下げたところから11月9日の米ファイザー社ワクチン報道をきっかけとして105.64円へ急伸、11月11日に105.67円迄わずかに高値を切り上げた翌日から6日連続の日足陰線で下落した。11月6日安値割れは回避してその後は104円を挟んだ持ち合いという状況だが、11月6日安値からの反騰入りにおける押し目形成というよりも、短期間の急反騰が続かずに下げ再開に入り、一段安の手前下げ渋り的な持ち合いに入っているという印象だ。
ドル円の上昇にはドル全面高の再開か、株高によるリスク選好でドルストレートにおけるドル安が進んでもそれ以上のクロス円における円安が勝り、米長期債利回り上昇に後押しされてドル高円安へ動くという組み合わせが必要だ。

ユーロやポンドが英国とEUがFTA交渉決裂リスクを抱えて期限ぎりぎりに来ていることでユーロ高やポンド高にブレーキがかかっているものの、合意に至れば年明けの多少の混乱はあるだろうが市場は楽観的なリスク選好によるユーロ高ポンド高を続け、豪ドルや新興国通貨等の上昇基調も続いてドル安感が強まりドル円もドル安円高へ進む可能性が高いのではないかと考える。また英国とEUの交渉決裂でハード・ブレクジット突入となればリスク回避的な円高が進む可能性があり、その際はドル円においても円高へ向かいやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月30日朝安値から3日半の12月3日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて戻しに入った。高値形成期は2日夜高値を基準として7日夜から9日夜にかけての間と想定されたが、7日夜高値から104円割れまで反落したために8日朝時点では7日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定した。7日深夜安値以降はややジリ高の推移だが、7日夜高値を超えないうちは7日深夜安値103.91円割れから下げ再開とするが、7日夜高値を上抜き返す場合は7日深夜安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして10日夜から14日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7日深夜安値からのジリ高が続いて遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきている。ジリ高程度の推移のために両スパンともに再び悪化しやすい位置にある。このため両スパンそろっての好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数はポイントを挟んで0ポイント台前半から40ポイント台前半までのレンジで往来しており方向感に欠ける。50ポイント以上での推移中は上向きとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント割れを試す下落入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月3日深夜安値103.67円を下値支持線、7日夜高値104.31円を上値抵抗線とする。
(2)104.31円以下での推移中は一段安余地ありとし、7日深夜安値103.91円割れからは3日深夜安値103.67円試しとし、底割れからは103円台序盤(103.35円から103.00円)を目指す流れとみる。103円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、104円以下での推移が続く場合は10日午前にかけても安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.31円超えからは104.60円前後を目指す上昇を想定する。この場合は103円台中盤から104円台中盤までの持ち合い相場の継続とし、104.60円以上は反落警戒としてその後の104.25円割れからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

12/9(水)
10:30 (中) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 0.5%、予想 0.0%)
10:30 (中) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 -2.1%、予想 -1.8%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 208億ユーロ、予想 185億ユーロ)
16:00 (独) 10月 経常収支 (9月 263億ユーロ、予想 210億ユーロ)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 0.4%、予想 0.9%)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 0.1%、予想 0.8%)

12/10(木)
EU首脳会議(12/11まで、ブリュッセル)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.0%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 -2.1%、予想 -2.2%)
08:50 (日) 10-12月期 大企業全産業業況判断指数・BSI (7-9月 2.0)
08:50 (日) 10-12月期 大企業製造業業況判断指数・BSI (7-9月 0.1)

16:00 (ト) 9月 失業率 (8月 13.2%)
16:00 (英) 10月 月次GDP 前月比 (9月 1.1%、予想 0.0%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産指数 前月比 (9月 0.5%、予想 0.3%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産指数 前年同月比 (9月 -6.3%、予想 -6.4%)
16:00 (英) 10月 貿易収支・物品 (9月 -93.48億ポンド、予想 -96.00億ポンド)
16:00 (英) 10月 貿易収支・全体 (9月 6.13億ポンド、予想 -5.00億ポンド)

21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.2%、予想 1.1%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 71.2万件、予想 72.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 552.0万人)
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -2841億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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