ドル円、方向感に欠ける展開が継続中。欧州連合と英国の協議の行方に注目(12/9朝)

8日(火)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。

ドル円、方向感に欠ける展開が継続中。欧州連合と英国の協議の行方に注目(12/9朝)

ドル円、方向感に欠ける展開が継続中。欧州連合と英国の協議の行方に注目

〇ドル円104円挟みで方向感に欠ける展開
〇ユーロドル独指標改善等で1.2134まで持ち直すも英離脱協議の不透明感で1.2105付近まで押し返される
〇ドル円テクニカルの地合い弱く104円台半ばが重い
〇欧英交渉の決裂リスクも重荷
〇104円台半ばにテクニカルポイントが集中よほど強いドル買い円売り材料が出ない限り上値余地は限定的
〇本日の予想レンジ:103.70ー104.50

海外時間の為替概況

8日(火)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。@対欧州通貨(ユーロや英ポンド)でのドル売り圧力や、A新型コロナウイルスの感染拡大懸念、B米中対立激化懸念(米政府は12/7に中国人民代表大会で役職を務める14人に対する制裁措置を発表。これに対して中国政府12/8に断固とした対抗措置を講じる構えを示唆)、C米長期金利の低下を受けたドル売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時103.96まで下落しました。しかし、D米追加景気対策期待の高まりを背景に、Eリスク選好の動き(米ナスダックが史上最高値更新)が活発化すると、米国時間には一時104.21まで持ち直す場面も見られました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.15近辺で推移しております。

8日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@ECB理事会を前にしたポジション調整(追加緩和観測→ユーロ売り)や、AECB当局者によるユーロ高牽制の思惑、B欧英交渉を巡る悲観的な見方(英ポンド軟調→ユーロ連れ安)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.2096まで下落しました。しかし、前日安値1.2078をバックに下げ渋ると、Cドイツ12月ZEW景況感調査(結果55.0、予想45.5)の力強い結果や、DEU離脱に絡む国内市場法案から国際法違反の文言が削除されたこと(英ポンド急伸→ユーロ連れ高)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時1.2134まで持ち直す場面も見られました。もっとも、1.21台半ば付近では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、Eロート独欧州担当相による「英離脱協議に実質的な進展は無い」との悲観的な発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.2105近辺まで押し返される展開となっております(上値の重い展開が継続中)。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18には、一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.21まで持ち直す場面が見られましたが、一目均衡表転換線をはじめ主要チャートポイントが密集する104円台半ばのレジスタンスを上抜けることは容易では無い状況→上値余地は限定的)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、来週12/16に予定されているFOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米政府による制裁措置に対して、中国政府は昨日、断固とした対抗措置を講じる構えを発表)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方。昨日は米ファイザー製のコロナワクチンの接種が開始されたとの報道がなされる一方、英アストラゼネカ製のワクチンは実用化が遅れるとの報道あり)、

E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。年末にかけてのポジション調整リスクに警戒)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク。米暫定予算の期限は12/11)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)、I欧英交渉の決裂リスク(EU高官は12/9が英国との通商合意期限と発言)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株や欧米長期金利の動向や、ドルインデックスの動き、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、欧英交渉の続報(12/9が交渉期限)、米中対立を巡るヘッドライン(中国政府が報復措置の具体的な内容を示すか否か)、米経済指標の結果(米MBA住宅ローン申請指数や、米10月卸売売上高など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的に見て104円台半ばはレジスタンスポイントが密集しており、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、上値余地は限定的→一巡後の反落リスクに要警戒)。

本日の予想レンジ:103.70ー104.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、方向感に欠ける展開が継続中。欧州連合と英国の協議の行方に注目

ドル円日足

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