動意の主役は英ポンド!?通商交渉の行方注視
〇ドル円、12/8東京市場の値幅はわずか15ポイントほど、ほぼ横這いの展開
〇英EU通商交渉、依然先行き不透明な状況からポンド/円は昨日だけで2円を超える価格変動
〇ドル円、104円を中心とした合計1円強のレンジ取引、3週間続く
〇英EU通商交渉の交渉期限が9日に迫る中、ポンドの動きに要注意
〇本日発表の米経済指標の他、米大統領選挙各州の選挙結果の認定期限後の動きにも注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.70-104.60
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、ほぼ横這い。終日を通した値幅はわずか15ポイントほどと、動意らしい動意はうかがえなかった。
ドル/円は104.05円レベルでオープンしたものの、積極的な動意に欠ける。実際、値幅も103.95-104.10円といった非常に狭い範囲内での一進一退だった。日経平均の下げ幅が一時200円超、時間外で取引されているNYダウ先物も100ドル安を超える局面があったものの、為替市場の反応は総じて鈍い。16時現在では104.10円前後で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「英EU通商交渉」と「米中関係悪化」について。
前者は、「合意」について、以前から楽観と悲観、両サイドの情報が飛び交う状態だったが、依然として解消されずに為替市場も混乱。実際、ポンド/円は昨日だけで2円を超える価格変動、しかも大きく下方向に突っ込んだのち買い戻されるという「行って来い」の様相をたどっていた。なお、協議の先行きについて様々な見方が交錯しているが、結局のところ欧州委員長が発した「合意の条件はまだ整っていない」がもっとも正しく、同委員長とジョンソン英首相が数日以内にブリュッセルで直接行う予定の会談がポイントになりそうだ。
対して後者は、前日米国が発表した「交流事業中断」に中国サイドが反発。そのうえで対米報復を示唆したことに続き、中国外相からバイデン新政権への移行を念頭に「米中関係改善への取り組み求める」旨の発言も聞かれていた。ただ、一方の米国サイドは国務長官が香港をめぐる対中制裁を発表、「全人代の常務委員会メンバー14人とその家族に関し、米国入国を禁止する」ことを明らかにしている。
<< 欧米市場の見通し >>
金融市場は全般的にクリスマスモードが強まりつつあるものの、主要な米株3指数のひとつであるナスダックが最高値を更新するなど、まだまだ意気盛んな一面も。引き続き予断は許さない。ただ、ドル/円に関しては104円を中心とした合計1円強のレンジ取引がすでに3週間も続いており、蚊帳の外といった感が強いようだ。昨日の展開を見ても、動意の中心は欧州通貨、なかでもポンドの動きが相場をけん引する公算が大きいのだろう。
そんなポンドの動きが要注意であるのは、材料面からも言えそうで、交渉期限切れが間近に迫るなか先行き不透明なEUとの通商交渉が懸念要因として取り沙汰されている。市場をやきもきさせている一因は、合意に至らないのは仕方ないとしても、逆に「決裂」あるいは「破断」などというワードが一向に聞かれないこと。つまり、まったく代わり映えのしないなか、日にちだけを無駄にズルズルと浪費している格好にある。ともあれ、「期限」とされる9日までに本当に話がまとまるのか、動静には本日も要注意だ。
テクニカルに見た場合、103.66-104.76円という1.1円レンジが、ついに3週間を経過した。依然として方向性は乏しい状態で、市場でも次の一手、抜けていく方向とタイミングへの関心が高いことは間違いない。基本的にはレンジ取引がまだしばらく続くとの見方が有力だが、上抜けた場合には105円台回復が見込まれる反面、底割れすれば103.18円の11月安値が視界内に。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、7-9月期の非農業部門労働生産性改定値などの米経済指標が発表されるほか、米財務省による3年債の入札などが予定されている。また、同じ米国ファクターとしていくぶん気になるのが「米大統領選挙、各州の選挙結果の認定期限」にあたること。すでに決着はついている感を否めないが、改めて選挙結果確定後、好感の動きからリスク選好の動きが強まると予想する声も聞かれていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.70-104.60円。移動平均の21日線も近くに位置する昨日のドル高値104.31円が最初の抵抗。上抜けるとレンジ上限の104.76円を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースで目先のサポートになっている感のある103.90-95円をめぐる攻防にまずは注目。割り込めばレンジ下限である103.66円がターゲットとなりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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