ドルの下値リスクやや拡大か、続落に要注意(週報11月第5週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。

ドルの下値リスクやや拡大か、続落に要注意(週報11月第5週)

ドルの下値リスクやや拡大か、続落に要注意

〇先週のドル円、週間安値103.69から週間高値104.76へ急騰したがその後はレンジ取引に
〇米感謝祭が終わりクリスマスムードから参加者が乏しくなる為、荒っぽい変動の継続に警戒
〇今週発表の米11月雇用統計、11月ISM製造業景況指数や欧米要人の講演内容などに注意
〇今週のドル/円予想レンジ102.50-105.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。NYダウが初の3万ドル台突破、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが一日で10%以上の急落−−といったようにほかの金融市場が華々しい展開をたどるなか、為替は週間を通して全般的に冴えなかった。

前週末には、APEC首脳会議やG20首脳会議など重要な国際会議が開催され、出席したトランプ米大統領から米大統領選に関する恨み節など幾つかの発言が聞かれていた。また、引き続き新型コロナの感染拡大ならびにワクチン開発に関する報道などが様々飛び交い、百花繚乱状態に。
そうした状況を受け、ドル/円は103.70-75円で寄り付いたのち、週間安値の103.69円を示現。そののち、104.76円の週間高値まで1円を超える急騰をたどったが、それが週間を通したハイライト。以降、週末にかけては動意が急速に乏しくなると、狭いなかでのレンジ取引に。週末NYは104.10円前後へと小緩み越週している。
なお、そうしたなか気を吐く動きをたどっていたのがNZドル。対ドルでは、0.7040ドル近くまで一時上昇し、年初来高値を大きく更新する局面なども観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」と「新型コロナ関連ニュース」について。
前者は、依然として敗北を認めないトランプ米大統領だが、ペンシルベニア州連邦地裁はトランプ陣営が求めていた「郵便投票約700万人分を無効とする」旨の訴えを棄却するなど、裁判における敗訴も目立ち始めた。いよいよ窮地に追い込まれつつある感を否めない。また週末にかけては、12月14日に行われる選挙人投票で民主党のバイデン前副大統領が次期大統領に選ばれればホワイトハウスを去る意向を示し、思惑を呼んでいたようだ。一方、バイデン氏による次期政権の組閣人事だが、金融市場の注目度が高い財務長官については、有力視されていたブレイナードFRB理事がリストから外れた反面、「イエレン前FRB議長」が最有力候補に浮上しているもよう。

対して後者は、米ジョンズ・ホプキンス大学による集計結果として、24日に新型コロナの世界死者数が140万人を突破したことが明らかになるなか、翌25日には世界の感染者数がついに6000万人を超えたと発表されている。世界的な感染拡大は依然として止まらない状況だ。しかし、新型ワクチン開発への期待も根強く、実際に「欧州規制当局、数日中に初のコロナワクチン供給申請を受理する見通し」との報道や、トランプ米大統領による「新型ワクチンを来週から供給開始する見通し」との発言も。したがって、かつてのように悲観あるいは弱気一辺倒という感じではなくなっているようだ。

<< 今週の見通し >>

新型コロナに関しては、前述したような新型ワクチンへの期待も強く、悲観一辺倒でないことはある意味評価できる。しかし、フランスなど一部の欧州諸国や米国などはクリスマスといったイベントをにらみ規制緩和に動き始めていることは、逆にやや気掛かりか。気の緩みから、第3波なのか第4波なのかという言い方はさておき、年末以降に再び感染拡大が俎上にのぼる可能性も否定出来ないように思っている。いずれにしても、コロナvsワクチンの構図はいましばらく続く見込みだ。

一方、今週の市場で話題になりそうなのは、先でも指摘した「新型コロナの感染拡大とワクチン開発」。また、先週の金融市場は米国を中心とした株式市場や暗号資産(仮想通貨)市場が大荒れをたどったが、米感謝祭を過ぎ、今週以降クリスマスモードがさらに強まり、参加者が少しずつ乏しくなってくることから、荒っぽい変動の継続に警戒をする声も少なくない。為替市場への波及的影響にも要注意。

テクニカルに見た場合、ドルは先週105円台回復を失敗に終わっただけでなく、短期サポートの104円を一時下回る局面も。リスクという意味では再び下方向にバイアスがかかってきた感を否めない。場合によっては、103.66円の前回安値のみならず、11月の月間安値である103.18円をトライする展開なども否定出来ない。
対する抵抗は、今週初め104.40-45円に位置する移動平均の21日線。上抜けると先週高値の104.76円あるいは105円などがターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、11月の雇用統計を中心に、11月のISM製造業景況指数など重要な米経済指標の発表が相次ぐことに注意を払いたい。また、欧米要人による講演など発言機会も週間を通して引き続き多く、その発言内容には一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.50-105.00円。ドル高・円安については、移動平均の21日線が週明けに位置する104.40-45円が最初の抵抗で、抜けると先週高値の104.76円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、18日安値の103.66円をめぐる攻防にまず注視。割り込むようだと前回安値103.18円、さらには102円台後半が視界内に捉えられそうだ。

ドルの下値リスクやや拡大か、続落に要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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