ユーロドル 上抜けリスクはあるものの引き続き横ばいか(週報11月第4週)

週間レンジはわずか78pipsに留まり、これはユーロが導入されて以来の週間レンジとしてはトップ10に入る9番目の狭さでした。

ユーロドル 上抜けリスクはあるものの引き続き横ばいか(週報11月第4週)

ユーロドル 上抜けリスクはあるものの引き続き横ばいか

〇ユーロドル記録的に狭い週間レンジの1週間1.1890-95の異常な重さ目立つ
〇英、EU間の通商協議がEU側担当者コロナ感染で中断、時間切れリスク懸念強まる
〇テクニカルには上下どちらかに抜けないと動きにくい、1.19の重さがオプションの場合リスクは上方向か
〇今週は1.1775レベルをサポートに1.1925レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半はドル円同様のドル安の動きが中心で押しを挟みながら上昇、そして週半ば以降は火曜につけた高値を何度トライしてもトライしきれずに上値が重たい地合いでの引けとなりましたが、それでも週間レンジはわずか78pipsに留まり、これはユーロが導入されて以来の週間レンジとしてはトップ10に入る9番目の狭さでした。ちなみにトップ10のレンジは51〜79pipsでした。

これだけ動いていないにも関わらず先週のユーロドルの1.1890〜95の異常なまでの上値の重さは目立ちました。おそらく1.1900には大口のユーロ売りオーダーが控えているのでしょうが、バリアオプション絡みのユーロ売りという可能性もあり、そうだとすると1.19を上抜けた時にはユーロが思いのほか上昇するかもしれません。今週は週明けの動きでユーロ買いから入ってきていますので、そのあたりも注意して見ておきたいところです。

先週は気になったニュースとして新型コロナのワクチンが目立ちましたが、英国とEUとの間で続いている通商協議がEU側担当者の新型コロナ感染でいったん中断というニュースもありました。本来であれば11月中にも合意の流れという話でしたが、19日に当面はオンライン会議で協議を続けていくそうですが、まだ合意には時間がかかりそうで今週中に何らかの進展が見えてこないと時間切れの事態が改めて懸念されそうです。

またECB理事会は12月10日でまだ時間はありますが、今週もECB関係者の発言がありますし、経済指標では本日主要国の11月製造業・サービス業PMI速報値が発表されますので、そのあたりに注意しながら他の指標にも注意というところでしょうか。今のところ12月の理事会では何らかの追加緩和が行われるというコンセンサスで市場は動いていますが、米国では12月で新型コロナ対策としての資金供給策の一部が無くなり半減するといった動きも出てきましたので、もしロックダウンの影響が思いのほか少ないという見方が出てくるとECBも追加緩和を行うか経過を見ていくといったトーンダウンが出てくる可能性にも注意でしょう。

次にテクニカルですが、日足チャートをご覧ください。

ユーロドル 上抜けリスクはあるものの引き続き横ばいか

テクニカルには先週書いたように、11月に入ってから9月安値の下抜け失敗、直後に10月高値上抜けも失敗と、11月のレンジを改めてどちらかに抜けない限り動きが取りにくいチャートとなっています。現時点では上限に近いものの1.19の売りがバリアオプション絡みだと一時的にユーロ買いが強まる可能性もあり抜けるリスクは上側です。しかし材料面では欧州全域での新型コロナによる経済停滞懸念や、ECB理事会における追加緩和思惑を考えるとユーロの上値は限定的と考えざるを得ません。

また下方向は11月レンジの半値にあたる1.1761(青のターゲット)あたりまでの押しがいいところではないかと見ています。先週動かなかっただけに今週は少し動きが出てきそうですが、引き続き方向感が出るということも無さそうです。今週は1.1775レベルをサポートに1.1925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルの日足チャートを見てみましょう。

ユーロドル 上抜けリスクはあるものの引き続き横ばいか 2枚目の画像

ユーロドルが横方向の動きを続けているのに対して、ポンドドルは9月安値以降安値高値ともに切り上げる上昇トレンドを続けています。直近ではEUとの合意の可能性もポンドを下支えしていますし、クロスではユーロポンドでのユーロ売り・ポンド買いが目立っていることもあって、現状ポンドは月間高値の更新、そして9月高値を視野に入れる展開となってきました。

EUとの協議もオンラインで再開とは言うものの、すぐに合意という流れにはなりそうもありませんので、テクニカルには強い地合いではあるものの、期待先行で買われている面が強そうですから協議決裂といったニュースにだけは気を付けたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月23日(月)
**:** 東京市場休場
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値
22:10 シュナーベルECB理事講演
24:30 英中銀総裁講演

11月24日(火)
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
16:45 フランス11月消費者信頼感、企業景況感
19:00 ドイツ11月ifo企業景況感
22:15 シュナーベルECB理事講演

11月25日(水)
18:00 オーストリア中銀総裁講演

11月26日(木)
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
**:** NY市場休場

11月27日(金)
16:00 ドイツ10月輸入物価
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
16:45 フランス11月CPI速報値
16:45 フランス10月PPI
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
**:** 米国主要取引所短縮取引

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月16日(月)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル売りが先行したことから欧州市場序盤には一時1.1869レベルの高値をつけました。その後、モデルナの新型コロナワクチンの治験結果発表でドル買いに転じユーロドルは水準を下げ1.1814レベルに下押し、NYの引けにかけては改めて買い戻しが入り、ユーロ高値圏でのクローズとなりました。

11月17日(火)
ユーロドルは東京市場では上昇後に押しが入りと方向感がはっきりしませんでした。欧州市場に入りドル円でのドル売りに引っ張られてユーロ買いの動きとなる中、EUと英国との協議が合意に近いとのニュースもユーロ高要因となりNY市場の朝方には1.1893レベルの高値をつけました。しかし1.19はトライできずに欧州市場朝方の水準へ押して引けました。

11月18日(水)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル売り・ユーロ買いの動きとなっていましたが、欧州市場序盤に高値が1.1891レベルと前日高値を超えられずに反落。欧州市場ではユーロ円の売りに引っ張られユーロドルも東京朝方の水準へと下押し、その後も上値の重たい流れを続け安値圏での引けとなりました。

11月19日(木)
ユーロドルは、欧州市場前場まではドル円と同様にドル買い・ユーロ売りが先行しましたが下値が固くNY市場ではユーロ買い戻しが強まりました。引けにかけてはユーロドルが1.1883レベル、ユーロ円も123.32レベルまで水準を上げ、それぞれ高値圏での引けとなりました。

11月20日(金)
ユーロドルは、東京市場では買いが先行し後場には1.1891レベルの高値をつけましたが、3度上値のトライに失敗し反落。しかし、1.1850レベルでは買いも見られ、1.18台後半で上下はしていたものの上値は重たいながらも下げきれずの週末クローズとなりました。

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