ユーロドル 横ばいの動きも上値は重い(週報11月第3週)

週後半の買い戻しの動きもどこかで頭打ちの展開になりやすい地合いであることはたしかです。

ユーロドル 横ばいの動きも上値は重い(週報11月第3週)

横ばいの動きも上値は重い

〇先週のユーロは週初にドル買い・ユーロ売りの動きが目立ち水曜には1.1746レベルの週間安値をつける
〇週後半は買戻しの動きとなるが頭打ちの展開になりやすい地合いに
〇今週はECB関係者の発言に注視
〇EUと英国の通商協議は合意の方向が見られないまま目標の11月半ばを迎える
〇今週は1.1770レベルをサポートに1.1910レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初にドル円が大きく円安の動きとなった際のドルの動きに沿ったドル買い・ユーロ売りが比較的目立った動きで、その後は水曜までもみあい。水曜はラガルドECB総裁が12月理事会における追加緩和に具体的に言及したことをきっかけに1.1746レベルの週間安値をつけましたが、それでも月曜高値からの下げは174pipsとドル円のその間の動きが2円50銭を超えたことを考えると比較的穏やかな動きでした。

週後半は週前半の下げに対する買い戻しが中心で月曜NY市場の水準へと戻しましたが、先週はユーロ材料はラガルドECB総裁の発言を除くと目立ったものが無く、週初ドル買いの動きにしても、追加緩和発言にしても、どちらもユーロ売りに繋がる動きであることを考えると、週後半の買い戻しの動きもどこかで頭打ちの展開になりやすい地合いであることはたしかです。

今週は経済指標では目立ったものはありませんが、ラガルドECB総裁をはじめECB関係者の発言が相次ぎます。先週の総裁発言で示された12月緩和の路線は変わらないでしょうから、基本的にはユーロの上値を抑えやすい材料となるでしょう。また先週までの欧州主要国におけるロックダウンは、フランスでは11月7日をピークに落ちついているように見えますが、ドイツでは変わっていませんし、英国は依然として増加しています。今後の実体経済への影響を考えると株式市場とは異なって為替市場ではユーロ売りにつながりやすそうです。

そして、合意の方向がまったく見えてこないのがEUと英国との協議で先週も依然として溝があるという発言が見られる程度で既に目標としていた11月半ばを迎えてしまいました。ここから急速に合意に向かうといった見方も出来ませんので、これもポンドとユーロにとっては潜在的な売り材料となる可能性があります。全体として材料面ではユーロにとっての悪材料が多いという見方です。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

横ばいの動きも上値は重い

ファンダメンタルにも材料薄なのですが、テクニカルにも悩ましい状態が続いています。11月に入ってからの9月安値の下抜け失敗、その後の10月高値上抜けも失敗となり、先週は11月の安値と高値の半値押し(青のターゲット)で下げ止まり、現状はやや上昇という状態です。

しかし、7月下旬以降の動きを見ても横方向への動きが定着していて、上抜けも下抜けもことごとく失敗しています。短期的にも中期的にも方向感が無いという見方しかできません。逆にそうであるならば、ファンダメンタルを考慮して上がったら売るという一方向でのエントリーしか考えないというのは悪くありません。主要通貨ではドル円もユーロ円もそうですが、上がったら売るというスタンスが意外とワークするようです。

今週もこの上がったら売るという水準を1.19と考えて、先週よりわずかに下げて1.1770レベルをサポートに1.1910レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円を見ます。

今週のコラム

先々週も先週もどうもユーロ円の見方がマーケットにフィットしていません。しかし、チャートを見てひとつはっきりしていることは125.10レベルでは妙に上値が重く10月以降は3回とも同水準で反落していることです。

また下値は10月末から11月初めの安値圏を除くと123円レベルでは買いが出やすい状況が多かったこと、また10月以降のレンジの半値が123.39と123円台前半にあることから、現状の下げは123円台前半をターゲットとしながらも、123円を割り込むには新たな材料が無いと難しいというイメージを描いてみます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月16日(月)
09:01 英国11月住宅価格
22:00 ラガルドECB総裁講演
22:30 メルシュECB理事講演

11月17日(火)
23:00 英中銀総裁講演

11月18日(水)
16:00 英国10月PPI
19:00 ユーロ圏10月CPI

11月19日(木)
18:00 ユーロ圏9月経常収支
24:00 ラガルドECB総裁講演
24:00 フランス中銀総裁講演
25:00 シュナーベルECB理事講演

11月20日(金)
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10月PPI
16:00 英国10月小売売上高
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値
**:** G20

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月9日(月)
ユーロドルはドル円がダウ先物急騰とともに大きく動く中でもほとんど動きが見られず、NY市場で株価一段高とともにユーロ円は125円台に乗せましたが、ユーロドルは買いが入っても限定的な動きに留まりました。引けにかけてはドル円でのドル買いの動きに追随してのユーロ売りとユーロ円の利食いによる売りも出たことから1.18を割り込んだ後にやや戻しての引けとなりました。

11月10日(火)
ユーロドルは前日からの上値が重たい地合いが続きました。欧州市場で1.1779レベルの安値を見たもののすぐに下げる前の水準へと戻し、基本的にあまり動きの見られない一日のままで終わりました。

11月11日(水)
ユーロドルは欧州市場までは動きが鈍く横方向への動きとなっていましたが、ラガルドECB総裁が次回ECB理事会における追加緩和について具体的言及をしたことから全般的なドル買いの動きも支えとなってユーロは対ドル、対円で売りが目立ちました。NY市場では1.1745レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや買い戻されて引けました。

11月12日(木)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入り前日のポジション調整からユーロは対ドル、対円で前日下げる前の水準へと戻す動きとなりました。その後はNY市場の引けまでもみあいを続け、全般に方向感がはっきりしない展開が続きました。

11月13日(金)
ユーロドルは東京市場では動きは見られなかったものの欧州市場に入りポンドの買い戻しに引っ張られてのユーロ買いが目立ちました。またNY市場では米国経済指標もドル売りの動きを強め、1.1838レベルまでじり高の動きとなり高値引けとなりました。

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