ドル円見通し NYダウ大幅連騰、米長期債利回り上昇でドル円は株高と同調するか(20/11/4)

11月3日の米国株高が米長期国債売りとなり長期債利回りは上昇した。

ドル円見通し NYダウ大幅連騰、米長期債利回り上昇でドル円は株高と同調するか(20/11/4)

NYダウ大幅連騰でリスク回避感後退、米長期債利回り上昇でドル円は株高と同調するか

〇ドル円、3日のドル全面安後、4日朝に一時104.80まで戻してから小反落
〇3日の米国株高が米長期国債売りとなり長期債利回り上昇
〇大統領選挙の混迷や欧米感染拡大問題で暫くはトレンド決まらず方向感探る展開続く
〇NYダウ、3日も前日比554.98ドル高と大幅続伸、一時は700ドルを超える上昇幅
〇2日夕高値104.95超えからは105円台中盤への上昇を想定
〇3日深夜安値104.43割れからは29日夕安値104.02試しへ向かう

【概況、米長期債利回り上昇の影響は?】

ドル円は10月29日安値で104.02円まで下落して10月15日夜安値を割り込む一段安となり、30日はやや乱調な展開で反落する場面もあったが11月2日夕刻には105円に迫るところまでいったん戻した。2日夕刻までドル高感が続いたことが背景だが、11月3日はドル全面安が優先されて104.50円を割り込むところまでいったん下げた。しかし、4日朝には一時104.80円まで戻してから小反落するなど、買い気も見られるところだ。

11月3日の米国株高が米長期国債売りとなり長期債利回りは上昇した。10年債利回りは前日比0.05%高の0.90%となり6月上旬以来の高値水準に達し、30年債利回りも同0.06%高の1.68%となるなど、リスク選好とバイデン勝利後の財政支出拡大による債券需給緩和を見込んで利回り上昇となっている印象だ。

ドル円としては、ドルストレートでのドル安が売り圧力となる一方、株高によるリスク選好感の回復がクロス円での円安を助長し、米長期債利回り上昇も日米金利差面でドル円を支える構図となっているために、ユーロドル等の上昇とともにドル円が上昇するような組み合わせになっても不思議ないところだ。
ただし、大統領選挙の混迷や勝者決定へ時間がかかったり揉める等する場合は、その間の欧米感染拡大問題がクローズアップされてコロナ不況脱出遅延懸念でリスク回避感が再び強まることも考えられる。暫くはトレンドが決まらず、方向感を探る展開が続くと思われる。

【米大統領選挙開票始まり株高ドル安で開始】

米大統領選挙は開票が始まった。バイデン氏有利報道のまま投票は終了したが、4年前のトランプショックも経験しているため今回もどっちが勝つのか混沌とした印象もあるところだが、NYダウは11月2日に423.45ドル高と上昇して一時は500ドルを超える上げ幅となり、11月3日も前日比554.98ドル高と大幅続伸、一時は700ドルを超える上昇幅となり、2日間で千ドル近い上昇幅となった。
バイデン氏勝利でも上院を民主党が制すれば大規模な経済対策に走りコロナ不況対策も好転して株高へ向かうであろうとの期待、仮にトランプ氏が下馬評を覆して再選しても4年前のトランプラリー再現で株高維持政策を継続するだろうとすれば、どっちが勝っても株高へ進むのではないかと米国株式市場は頭を切り替え、ひとまず強気で進もうと腹を決めたのではないかと思われる。

株高によるリスク回避感後退で為替市場もリスクオンが進んでいる。ユーロドルは2日夕刻まで下落基調が続いていたが株高を見て反騰に転じた。ポンド/ドルも2日夕刻安値から反騰に入った。いずれも欧州のロックダウン再開情勢やハード・ブレクジットへの不安を抱えているもののひとまずリスク選好へ揺れ返しに入っている。
豪中銀による11月3日昼の利下げと量的緩和拡大発表直後に小反落した豪ドル米ドルも早朝に材料消化として一段高に入り、NZドル米ドルも追従して大幅上昇している。ドルストレートは総じてリスクオン型のドル安に入っている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月21日深夜安値を前回のサイクルボトム、26日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から28日深夜にかけての間への下落を想定してきたが、29日夜へ一段安してから反騰し、30日午後に反落してから30日早朝高値を上抜き返す乱調となったため、29日夜安値を直近のサイクルボトムとする。すでに26日夜高値から5日目となる11月2日夕高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入ったと思われるが、ボトム形成期は3日夜から5日夜にかけての間と想定されるので早ければ3日深夜安値と4日朝安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしている可能性もある。2日夕高値を超えないうちは一段安余地ないしは3日深夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからの連続的な弱気サイクル入りとなる可能性があるが、2日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとして5日夕から9日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3日深夜に先行スパンから転落して4日朝へ安値を切り下げたが、その後の反発で一時的には先行スパンを上抜き返す場面も見られた。11月2日夕高値超えからは先行スパンの再突破と遅行スパン好転も重なるので上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、2日夕高値を超えないうちは一段安余地ありとし、3日深夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント到達では売られており方向感が定まらない状況だ。60ポイント超えからは上昇再開、一段高へ進む可能性を優先するが、35ポイント割れからは下げ再開ないしは新たな下落期入りとみて20ポイント台前半を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月3日深夜安値104.43円を下値支持線、2日夕高値104.95円を上値抵抗線とする。
(2)3日深夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、2日夕高値超えからは105円台中盤(105.25円から105.75円)への上昇を想定する。105.50円以上は反落警戒とし、その後に105円を割り込むところからは下げ再開を疑うが、3日深夜安値割れ回避が続くうちは5日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)3日深夜安値割れからは29日夕安値104.02円試しへ向かうとみる。ドル安が加速する場合及びリスク回避的な円高へ流れが変わる場合は103円台中盤(103.75円〜103.25円)を目指す下落を想定する。103.50円以下は反騰注意とするが、3日深夜安値を割り込んだ水準での推移が続く場合は5日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/4(水)
休場、ロシア
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目、米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -4.0%、予想 -1.5%)
10:45 (中) 10月 財新サービス業PMI (9月 54.8、予想 55.0)
17:55 (独) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 48.9、予想 48.9)
18:00 (欧) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 46.2、予想 46.2)
18:30 (英) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 52.3、予想 52.3)

19:00 (欧) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 -2.5%、予想 -2.4%)
22:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 74.9万人、予想 70.0万人)
22:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -671億ドル、予想 -639億ドル)
23:45 (米) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 56.0)
24:00 (米) 10月 ISM非製造業景況指数 (9月 57.8、予想 57.4)

11/5(木)
09:00 (NZ) 11月 NBNZ企業信頼感 (10月 -14.5)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 26.43億豪ドル、予想 37.00億豪ドル)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 4.5%、予想 2.0%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -2.2%、予想 -1.2%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 4.4%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 3.7%、予想 2.8%)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 7450億ポンド、予想 8450億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨

21:30 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、会見
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (4-6月 10.1%、予想 5.2%)
22:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4-6月 9.0%、予想 -9.9%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 75.1万件、予想 74.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 775.6万人、予想 720.0万人)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、会見

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る