ドル円、104円台半ばで膠着。いよいよ米大統領選挙がスタート
〇ドル円大統領選前に104円台半ばで様子見ムード
〇ユーロドル欧米株上昇とユーロ売りポジションの調整に一時1.1740まで急伸後1.1700近辺に反落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスク警戒される
〇ドル円大統領選がいずれの結果でもドル売り円買いか
〇バイデン優勢とみられるが、サプライズによるボラティリティ上昇には要注意
〇本日の予想レンジ:103.50ー105.50
海外時間の為替概況
3日(火)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開(米大統領選挙を前に様子見ムードが広がる)。@新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A米大統領選挙を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、安値104.44まで下落しました。しかし、B欧米株の上昇を背景にクロス円相場が堅調に推移すると(バイデン氏の勝利を見据えた株高→円売り)、ドル円も下げ渋り、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、104.60近辺まで持ち直す動きとなっております。尚、この日発表された米9月製造業受注(結果1.1%、予想1.0%)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
3日(火)のユーロドル相場は急伸後に伸び悩む展開。@欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り・円売り圧力や、A米大統領選挙を控えたポジション調整(短期筋によるユーロショートの手仕舞い)、Bロンドンフィキシングに絡むユーロ買いが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1740まで急伸しました。しかし、一目均衡表転換線及び基準線に続伸を阻まれると、C欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ユーロ圏の大半の国でロックダウン開始)や、DECBによる追加緩和観測が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1700近辺まで反落する動きとなっております。
尚、昨日はオーストラリア中銀(RBA)が予想通り政策金利を0.25%から0.10%へ引き下げると共に、量的緩和の拡大を決定しました。また、ロウRBA総裁も声明で「理事会は少なくとも3年はキャッシュレートの引き上げを予定していない」と表明するなど、総じてハト派寄りの結果となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/29に一時104.03(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C米政治の先行き不透明感(米大統領選挙の結果に対する不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染拡大(欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、I米財政収支赤字の拡大(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスに関する続報や、欧米株及び欧米長期金利の動向、米大統領選挙に関するヘッドライン(開票速報)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米大統領選挙の地域別開票速報が本格化するのは日本時間午前10時以降の可能性大)。
尚、今回の米大統領選挙後のドル円相場を見据えると、@トランプ米大統領再選のケース、Aバイデン新大統領誕生のケース、B投票やり直しなど新大統領がなかなか決まらない最悪のケース、のいずれにおいてもドル円相場の下落が予想されます(@の場合は米議会のねじれ継続に伴う米追加景気対策の後ずれ観測や、米中対立激化を通じたドル売り・円買いが続くと予想。Aの場合は米政治の先行き不透明感の解消を通じて当初はドル買い・円売りが強まると見られるものの、一巡後はトリプルブルー成立を通じた増税への想起から株式市場が値崩れを起こす展開が想定される為、結果としてドル円は下落に転じると予想。Bの場合は米政治の先行き不透明感を背景にリスク回避ムードが強まり、ドル円相場の急落に繋がる恐れあり)。今回の米大統領選挙はバイデン氏優勢と見られるものの、4年前の米大統領選挙では世論調査が一切あてにならなかったことは記憶に新しく、今回もサプライズ発生に伴うボラティリティの急拡大に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:103.50ー105.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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