週内に材料目白押し、米FOMCなどにも要注意
〇先週のドル円、ドル売り進展後週末にかけて小戻す展開の「行って来い」
〇新型コロナ、スペインの非常事態宣言再発令など欧州各国が厳しい措置を発表
〇米国では10/29の国内感染者が8.6万人超え、一日当たりとしては過去最高を更新
〇NYダウは週間を通して1500ドルほどの下落
〇米大統領選と米議会選、日本時間4日午後あたりに大勢が判明する見通し
〇今週注目の「FOMC結果発表」は政策金利据え置き、緩和的な政策スタンス堅持と予想
〇今週のドル/円予想レンジ103.50-106.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、「行って来い」。一時ドル売りが進展し、9月安値104円に面合わせする局面も観測されたが、週末にかけて小戻す展開だった。
前週末は、一応の期限とされた20日を過ぎたのちも延長され実施されていた「米の新型コロナ経済支援協議」だったが、依然として交渉がまとまらず。懸念は持ち越しに。また、米欧での新型コロナ感染拡大があちこちで引き続き話題となっていた。
そうした状況を踏まえ、週明けの取引が開始したドル/円は104.60-65円で寄り付いたのち、ドルはじり高気味に推移。週間高値である105.05円まで上昇した。しかし、米大統領選を前にしたポジション調整などから米株が週間を通して冴えない値動きをたどったことなどを材料として、徐々にドル売りが優勢に。一時は1円を超える下げをたどると、104.03円へ。その後も株価の動きなどをにらみつつ一喜一憂。週末NYは104.65-70円レベルと、週明けのレベルまで回復し、越週している。
なお、ほかにも興味深い動きをたどった通貨ペアがいくつか観測されたが、なかでもトルコリラは先週も週間を通して冴えない。対円では12.40円台まで下落するなど、いまだ下げ止まらず。またもや史上最安値を更新する局面も。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ感染」と「米大統領選」について。
前者は、欧州における新型コロナの感染拡大が著しい。また、そうした事態を受けて「スペインが再び非常事態宣言を発令」、「ベルギーやチェコは夜間外出禁止の措置を導入」、「フランスは全国一律の外出制限導入」、「ドイツが全国の飲食店や劇場の閉鎖を発表」−−など、それぞれが厳しい措置を発表している。一方、米国では「10月29日の国内感染者が8.6万人を超え、一日当たりとしては過去最高を更新した」と報じられるなど、最終盤に差し掛かっている米大統領選においても、論争の争点のひとつとして急浮上していた感を否めない。
対して後者は、11月3日に迫った「米大統領選」そして「米議会選」が関心を集めているのは言うまでもない。劣勢とされる現職のトランプ米大統領が巻き返してはいるものの、各種世論調査などによると、次期米大統領が民主党候補、議会の上下院ともに民主党が制するという、いわゆる「トリプル・ブルー」の可能性も否定出来なくなっているようだ。そんな状況を織り込もうとする動きか、先週の米株は総じて冴えず。実際、NYダウは週間を通して1500ドルほどの下落をたどっており、これが前述した一時ドル売り・円買いが進行した一因に。
<< 今週の見通し >>
今週注目される最大の要因は、なんといっても「米大統領選」と「米議会選」だ。前者については、トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝利を収めるのかがもちろん注目されており、順当にいけば日本時間4日午後あたりに大勢が判明する見通しとなっている。ただ、今回は大接戦の様相を呈しているだけでなく、郵便投票も多いことで、「集計の遅れは必至」などといった見方も少なくない。一説には、法廷闘争に突入した挙句、決定が「越年する可能性」も取り沙汰されている。さすがに、それは最悪のシナリオだとしても、ヒョッとすると週内に決着をみないこともあり得るのかもしれない。
一方、「米大統領選」とともに注目すべきは「FOMCの結果発表」か。基本的に、政策金利を据え置いたうえ、緩和的な政策スタンスを堅持するとみられている。しかし、先週発表された7-9月期の米GDP速報値が良好な内容を示したこともあり、スタンスの変化を期待する声なども聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週104.03円まで下落し、9月安値に面合わせ。リスクという点ではドル安方向にバイアスがかかるものの、104円レベルはなかなか強いサポートで、これを「しっかり」下回るまではあまり決め打ちもしたくない。
また、レベル的にも104円台から下のレベルでは、日本の当局者などによる「口先介入」にも要注意。思いのほか、ドルは底堅く推移する可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、前述した「米大統領選」のほか、「FOMC」がとくに要注意だが、そのほか米経済指標についても、10月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な指標が発表される予定となっている。先週発表された米GDPは好数字だったが、それに続くような良好な内容となるのか否かに注目だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、103.50-106.00円。ドル高・円安については、先週示現したドル高値105.05円が最初の抵抗に。上抜ければ移動平均の21日線が週初に位置する105.20円レベル、そして10月20日高値の105.75円などがターゲットとなろう。
対するドル安・円高方向は、9月安値であり、今回も割り込めなかった104円ちょうどの攻防にまずは注目。下回るようなら当然103円台突入で、年初来安値101.19円を起点とした大きな上げ幅のフィボナッチ76.4%戻しにあたる103.65-70円が意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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