『悪材料噴出でリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』
〇トルコリラ円世界的リスクセンチメント悪化、地政学リスク、米仏との対立激化で史上最安値更新
〇12.46の史上最安値をつけ12.50近辺で越週
〇トルコ円テクニカルの地合い弱く、ファンダメンタルズもリラ売り材料多い
〇米大統領選でアンチトルコのバイデン勝利の場合は一段のリラ売りとなるか
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.15ー12.80
今週のレビュー(10/26−10/30)
今週のトルコリラ円相場は、週初13.15円で寄り付いた後、早々に週間高値13.16円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@世界的な株価急落に伴うリスク回避ムードの高まりや、Aアルメニアとアゼルバイジャンの対立激化に伴う地政学的リスク(3度目の停戦合意後も対立継続)、Bトルコとフランスの関係悪化懸念(風刺画に端を発した対立継続。エルドアン大統領はマクロン仏大統領を挑発)、Cロシア製地対空ミサイルS400を巡る米国による対トルコ制裁懸念(トルコは制裁するなら早くすればよいと米国側を挑発)、D米大統領選挙におけるバイデン氏優勢報道(トルコに批判的なバイデン新大統領誕生リスク)、E新型コロナウイルスの感染拡大(ドイツ外務省はトルコの一部としていた渡航警告を11/9からトルコ全土に広げると発表)、F心理的節目13.00円を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、Gトルコ西部沖のエーゲ海でのマグニチュード7.0の地震が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる12.46円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局12.50円前後での越週となっております。
来週の見通し(11/2−11/6)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる12.46円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(2019年末から外貨準備残高が半減)、B対外収支の悪化懸念(経常収支赤字の更なる拡大)、C実質金利のマイナス継続、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網。今週はフランスや米国との関係が一段と悪化)、Eトルコを巡る地政学的リスクの高まり(アゼルバイジャンとアルメニア、トルコとギリシャの衝突再開リスクなど)、F新型コロナウイルス感染拡大リスク(トルコ経済の柱である観光産業が大打撃)、G米大統領選挙を巡る先行き不透明感(トルコに批判的なバイデン氏勝利の可能性)など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、外貨準備の急減リスク、地政学的リスクの高まり、反トルコ包囲網の拡大、米大統領選挙を巡る不確実性(トルコに批判的なバイデン氏が勝利すればトルコリラが一段と売り込まれる恐れあり)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落(史上最安値をさらに更新する展開)をメインシナリオとして予想いたします(来週は11/2に発表されるトルコ10月製造業PMIや、11/3に予定されているトルコ10月消費者物価指数にも注目が集まります)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.15ー12.80(米大統領選挙を迎える週となることから、予想レンジは通常時より広めに呈示させていただきます)
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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