米大統領選警戒しつつも、経済指標が波乱要因に!?(週報10月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。9月23日以来となる104円台へと下落し、その後は一度も105円台を回復できなかった。

米大統領選警戒しつつも、経済指標が波乱要因に!?(週報10月第4週)

米大統領選警戒しつつも、経済指標が波乱要因に!?

〇先週のドル円、週間高値105.75へ値を上げるも1円以上下落し104.35へ
〇新型コロナ感染者数は4000万人を突破、感染拡大のスピードが加速
〇今週発表の米10月の消費者信頼感指数や7-9月期のGDP速報値など注視
〇今週のドル/円予想レンジ103.50-105.80

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。9月23日以来となる104円台へと下落し、その後は一度も105円台を回復できなかった。

前週末は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果として、新型コロナの世界感染者がいよいよ4000万人台乗せとなることが見えてきたほか、 NZ総選挙で与党が圧勝したとの報道などが話題となっていた。
そうした状況下、ドル/円は105.30-35円で寄り付いたのち、しばらくはドルが小じっかり。週間高値である105.75円へとわずかながら値を上げた。しかし、高値示現後は一転してドル売り優勢となり、1円以上も下落。105円を割り込むと、104.35円へと下落している。週末にかけては、ややドルの買戻しが観測されるも、すでに上値は重い。一度も105円台を回復することがないまま、週末NYは104.70円レベルで取引を終え、越週となった。
なお、トルコリラは先週も週間を通して冴えない。対円では13.10円レベルを記録し、またもや史上最安値を更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選をめぐる動き」と「新型コロナ感染」について。
前者は、22日に実施された「米大統領候補による第3回公開討論会」をにらみつつ、事前から非難合戦などが著しい。たとえば、トランプ大統領は中国やウクライナからの献金疑惑が浮上しているバイデン氏を、「犯罪者」と呼んだうえで、バー司法長官へ「迅速な捜査を求める」と発言。それに対して後者は、NYタイムズが「納税記録からトランプ氏が中国での銀行口座保有が発覚」などと報道したことを、野党・民主党のペロシ米下院議長が「国家安全保障をめぐる深刻な懸念につながる」などと、当て擦ったコメントを発している。
そののち実施された討論会は、前回の反省もあり、全般的には平穏ななか実施されたが、発言そのものはなかなか過激なものも。実際、トランプ氏から「バイデン氏が勝てば株価は暴落」との発言が聞かれた反面、バイデン氏が「トランプ氏は納税申告書の公表を拒んでいる、何を隠しているのか」などと詰め寄る局面も観測されていた。

対して後者は、新型コロナ感染者は20日未明、ついに4000万人の大台を突破。最初の1000万人に達するのに6ヵ月程度かかったものが、3000万人から4000万人になるのにはわずか1ヵ月強の時間しか要しなかった。感染の拡大スピードが加速している感を否めない。その舞台のひとつとして取り沙汰されているのが欧州で、英国やフランスなどに続きドイツやスペインも規制強化に動いたことで、さらに警戒感が高まっている。
そうしたなかコロナワクチン開発への期待は高まる一方だが、治験失敗・開発中断などといった発表も相次ぎ、先行きに不透明感が漂ってきた感も否めない。ただ、この週末に英製薬大手アストラゼネカと米J&Jがともに「治験再開」を発表。金融市場で期待感が再び膨らむ可能性もある。

<< 今週の見通し >>

第1回討論会のトラウマもあり、事前には警戒感も強かった「米大統領候補による第3回公開討論会」だったが、なんとか無事に終了。まだ、このあとも地方遊説や支持者集会などが行われるものの、実際の投票待ちということになった。金融市場における材料としての優先順位は少し低下した感もあるが、一部の激戦州で両者の支持率は拮抗していると報じられるなど、依然として予断は許さない。11月3日の投票日をにらみ、市場の動意が徐々に細ってくる可能性もありそうだ。
それ以外の要因としては、「英とEUの通商交渉」ならびに「米の新型コロナ経済支援協議」を注視。とくに後者は、ここのところ楽観ともいえる雰囲気を醸していたが、先週末、ムニューシン財務長官から「ペロシ下院議長による譲歩はなく、著しい相違が残っている」との発言が聞かれ、一気に形成が逆転した感もあることが気掛かり。

テクニカルに見た場合、過去1ヵ月程度のレンジ下限105円レベルを、21日にしっかり割り込んだ感があったものの、本日東京時間などその後の展開をみると、ドルは下げ渋りの感も。「しっかり」というには、やや微妙な雰囲気もなくはない。
ただ、上値は重いのは確かだと思われ、104円台到達後、一度も105円台を回復してないことがその証左となろう。また、仮に上抜けても105円半ばで推移する移動平均の21日線が抵抗になるとの見方も聞かれている。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、10月の消費者信頼感指数や7-9月期のGDP速報値といった重要な米経済指標が連日のように発表される予定となっている。ちなみに、後者は4-6月期の大幅な落ち込みを帳消しにする急激な回復が見込まれており、市場の注目度も極めて高い。米大統領選前ということで、内容によっては政争の具となる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、103.50-105.80円。ドル高・円安については、前述したように短期的には105円レベルが最初のドルの抵抗に。上抜ければ移動平均の21日線、そして先週高値の105.75円などがターゲットとなろう。
対するドル安・円高方向は、先週安値104.35円をめぐる攻防にまずは注目。割り込んだ場合には9月安値の104.00円、さらには103.65-70円などが意識されそうだ。

米大統領選警戒しつつも、経済指標が波乱要因に!?

ドル円日足

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