ドル円 もみあい継続も上値は重い(週報10月第1週)

先週のドル円は、トランプ大統領コロナ感染で一時104.94レベルと105円の大台割れを見ましたが、その後はそれまでのドル円に戻っての週末クローズとなりました。

ドル円 もみあい継続も上値は重い(週報10月第1週)

もみあい継続も上値は重い

〇先週のドル円、105円の大台割れ後はそれまでのドル円に戻り週末クローズ
〇バイデン氏リードが続けば株安、円高方向に水準が変化していく可能性
〇7日(日本時間8日10時〜)の副大統領候補による討論会に注目
〇今週は104.90レベルをサポートに105.80レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は半期末を前にしての目立った実需の動きはありませんでしたし、期初も東証のシステムは終日停止と株式市場は混乱に陥りましたが、為替市場での影響は見られず、金曜前場までは値幅もわずか54銭と至って静かな期末期初となっていました。そこに突然飛び出したのが金曜後場に流れたトランプ大統領新型コロナ感染のニュースです。株式市場とともに円相場はリスクオフの円買いとなり一時104.94レベルと105円の大台割れを見ましたが、その後はそれまでのドル円に戻っての週末クローズとなりました。

先週は金曜の東京後場を除くとほとんど動きが見られず、トランプ大統領のニュースで米国雇用統計も霞んでしまいましたが、失業率は改善していましたし、米国議会における景気対策の与野党の協議が前進しているとの話も米国の今後の経済にとっては好材料となりました。問題は株の買い戻しが今後も続くかどうかですが、今回のトランプ大統領の感染で、新型コロナ問題でこれまでより慎重な姿勢を取っていたバイデン氏が再びリードを広げることとなりました。

このリードをどう取るかですが、コロナに慎重であることから経済再開のペースが鈍るリスクがあると言えますし、また米国民へのコロナ対策費用を捻出するために増税を表明しています。トランプ大統領の言葉を借りれば左派的でこれはウォールストリートや大企業にとっては悪材料であり、おそらくは株式市場の調整に繋がる可能性が高いでしょう。

まだ1か月あるとはいうもののトランプ陣営にとっては重要な時期にイベントの延期等で、一段と不利になってきますし、10月15日に実施される第2回目のTV討論会でもバイデン候補に新型コロナに対する政策で突っ込みどころを与えてしまったことになります。今後大統領選が近づいても今の状況(バイデン前副大統領がリード)が続いていれば、徐々に株安、円高方向に水準が変化していく可能性があるのではないかと考えています。

今週のイベントではFOMC議事録、ECB理事会議事要旨等もありますが、やはり最大の注目は7日(日本時間8日10時〜)の副大統領候補による討論会でしょう。一部では両大統領候補ともに高齢で、任期中に副大統領が大統領になる可能性があるから重要だという声も聞かれますが、ペンス副大統領は現行路線継続で良いとして、果たしてハリス上院議員がどのような発言をするのか、内容次第ではバイデン候補のリードを広げる要因にも縮める要因にもなるだけに注目度は高そうです。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

チャートを見る限り先週金曜の下げもあって上値を切り下げる動きを続けています。しかし9月安値104.00とその後の高値105.80(9月末)から半値押しを計算すると104.91とほぼ先週金曜の安値と一致します。そうなると、いまは先週安値と9月末の戻り高値との間での動きを継続しやすいと考えることが妥当です。

今週は引き続き最近のレンジをベースとしたもみあいを継続しやすいと見て、104.90レベルをサポートに105.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月5日(月)
**:** 豪州夏時間に移行、休場
**:** 中国市場休場(〜8日)
15:40 黒田日銀総裁講演
16:00 トルコ 9月CPI
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数
23:45 (シカゴ連銀総裁講演)
28:15 (アトランタ連銀総裁講演)

10月6日(火)
09:30 豪州8月貿易収支
12:30 豪中銀政策金利発表
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
17:35 ラガルドECB総裁講演
21:30 米国8月貿易収支
23:40 パウエルFRB議長講演
24:30 レーンECB理事講演
24:45 フィラデルフィア連銀総裁講演

10月7日(水)
07:00 ダラス連銀総裁講演
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
21:10 ラガルドECB総裁講演
23:30 週間原油在庫統計
25:30 フランス中銀総裁講演
26:00 (ボストン)、(アトランタ)、ミネアポリス連銀総裁講演
27:00 FOMC議事録公表
27:00 NY連銀総裁講演
29:30 (シカゴ連銀総裁講演)

10月8日(木)
08:01 英国9月住宅価格
08:50 本邦8月貿易収支(国際収支)
09:00 NZ10月企業信頼感
**:** 黒田日銀総裁講演
10:00 副大統領候補TV討論会
10:45 中国MarkItサービス業PMI
15:00 ドイツ8月貿易収支
16:25 英中銀総裁、シュナーベルECB理事講演
17:20 スペイン中銀総裁講演
20:30 ECB理事会議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請数

10月9日(金)
15:00 英国8月貿易収支、鉱工業生産
15:45 フランス8月鉱工業生産
23:00 米国8月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月28日(月)
週明けのドル円は朝方こそ底堅く始まったものの、トルコリラ円の売りに引っ張られてのドル円とクロス円の下げをきっかけに下落。期末スポットで実需のドル売りも出たことから後場には105.26レベルの安値をつけました。その後欧州市場に入りユーロが対ドル対円ともに買われる動きからドル円も上昇、NY前場には早朝の水準まで戻して引けにかけてはやや下げる動きとなりました。

9月29日(火)
ドル円は東京市場では日経平均株価(と先物)の動きに沿ってやや安く始まった後、じり高の動きへと転じました。欧州市場序盤では105.74レベルと金曜高値を上回りましたが105円台後半では売りも残っていた様子でNY市場も高値圏で膠着のまま引けました。

9月30日(水)
ドル円は期末仲値に向けドル買いが先行しましたが、仲値を過ぎると売りも出てきたこと、また大統領選TV討論会が終わりダウ先物の売りをきっかけに日経平均も下げたことからドル円は後場に105.44レベルの安値をつけました。欧州市場に入り日経先物が上昇に転じるとドル円も円安に動きましたが朝方の高値はトライしきれず、NY市場の引けにかけては改めてドル売りが強まりました。

10月1日(木)
日本では下期入り初日に東証がシステム障害で終日売買停止と史上初のトラブルを起こしましたが、為替市場への影響はなく前日NY市場での下げに対しての買い戻しが目立ちました。上下しながらもNY朝方には105.73レベルの高値をつけましたが、米国での追加経済対策合意が困難とのヘッドラインに引けにかけてはダウとともにドルが売られる展開となりました。

10月2日(金)
ドル円は昼過ぎまでは若干の底堅さを伴って105.67レベルをつけていましたが、トランプ大統領が新型コロナに感染とのヘッドラインにリスクオフの動きから株安と円高の動きとなりました。一時104.94レベルの安値まで急落を見せましたが、トランプ大統領の病状が軽いとのニュースに市場は落ち着きを取り戻しました。注目度は下がったものの米国雇用統計も失業率の改善が見られ、引けにかけては105.40レベルまで戻し底堅い流れのままで引けました。

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