トランプ氏容体注視、場合によっては波乱も(週報10月第1週)

先週のドル/円相場はおおむね揉み合い。週末に発表された米雇用統計をはじめ、注目材料は多かったが、週間レンジは1円に届かず。

トランプ氏容体注視、場合によっては波乱も(週報10月第1週)

トランプ氏容体注視、場合によっては波乱も

〇先週のドル円、105.80まで値を上げるもドル高基調は続かず105.35前後で越週
〇英国やフランス、スペインが首都封鎖を含む対応策を相次ぎ発表
〇トランプ氏コロナ感染により金融市場全般で一時パニック売りに
〇今週発表の9月のISM非製造業景況指数、8月の貿易収支など米経済指標に注視
〇今週のドル円予想レンジ104.00-106.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はおおむね揉み合い。週末に発表された米雇用統計をはじめ、注目材料は多かったが、週間レンジは1円に届かず。材料が相場に与えた影響は結果限定的だった。

前週末には、全世界の新型コロナ感染者が3300万人、死者数も100万人に達したことが明らかに。依然として感染拡大が続くなか、WHOの担当者が「パンデミック封じ込めに向けた協調行動が取られなければ、世界のコロナ死者は200万人に倍増の恐れもある」などと述べたことが話題となっていた。
そうしたなか週明けのドル/円は105.40-45円でオープンしたのち、ドルがじり高推移。週間高値の105.80円まで一時値を上げたが、ドル高基調は続かず。とくに週末にかけては「トランプ米大統領のコロナ感染」が明らかになると、ドルは一時急落。105円を割り込む局面も観測されていた。週末NYは小戻した105.35円前後で取引を終え、越週している。
なお、先週はトルコリラが再び下値を試す展開に。対円では一時13.37円レベルまで値を下げ、史上最安値を更新していた。隣国アゼルバイジャンとアルメニアが紛争地をめぐり大規模な戦闘に発展したことが嫌気されていたという。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「トランプ氏をめぐる動き」と「新型コロナ再拡大」について。
前者は、トランプ米大統領が参加した集会で、「郵便投票により大統領選の結果判明に数ヵ月の遅れが生じる可能性がある」と述べたことが物議を醸すなか、別の機会にギンズバーグ連邦最高裁判事の後任として、女性で保守派のバレット連邦控訴裁判事を指名すると正式に発表。そのほか、NYタイムズが「トランプ氏、過去15年間のうち10年間所得税を納めてこなかった」などと報道するなど、一週間を通して話題には事欠かなった。さらには、9月29日に実施された「米大統領候補の第1回討論会」も、「悪い意味」で話題に。実際、CNNなど一部の米メディアからは「史上最悪の討論会」と酷評されている。

対して後者は、とくに欧州における新型コロナの拡大が懸念され、実際に英国やフランス、スペインが「首都封鎖」を含む対応策を相次ぎ発表している。そうしたなか週末2日、「トランプ米大統領の側近、ヒックス氏が新型コロナ陽性」と報じられたことに続き、「トランプ氏自身もコロナ感染」が確認されたことで、為替だけでなく金融市場全般で一時パニック売りがかさむ格好となった。そののち、トランプ氏は医師の勧めもあり、「数日入院」することが決定。元気そうに見えても、すでに70歳を超える高齢者ということもあり、容体の急変などについて懸念する声も少なくない。

<< 今週の見通し >>

新型コロナに感染したトランプ氏の容体について、専属医師による「公式発表」は「とても良好」とされるが、大統領に極めて近いメドウズ首席補佐官は「バイタルサイン(生命徴候)に大きな懸念があり、今後の48時間が重要となる」などと、やや悲観的な見解を述べている。予断は許さないかもしれない。また、トランプ氏ならびに妻のメラニアさんだけでなく、前米大統領顧問や記者3人が陽性反応を示すなど、ホワイトハウス内でクラスターが発症した可能性も取り沙汰されていた。今週、さらに被害が拡大する懸念もなくはない。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。そんななか、今週注意を要するのは幾つかの米国ファクター。その最たるものは、なんといってもコロナに罹患した「トランプ氏の容体」となるが、それ以外でも注意すべき要因は少なくない。そのひとつは、ムニューシン米財務長官とペロシ下院議長が連日のように協議を行ったが妥結に至らないばかりか、いまだ乖離が大きいとされる「追加の新型コロナウイルス経済対策」の行方になる。仮に、決裂といったことになれば、リスク回避の円買いが優勢になる可能性も否定出来ない。

テクニカルに見た場合、前述したように先週のドル/円相場は材料目白押しのなか、週間を通して1円にも満たないレンジ取引。トランプ氏の容体などによっては予断を許さないが、今週も引き続き105円台を中心としたレンジ内での変動が続く可能性もある。
ちなみに、先週高値105.80円を抜ければ107.05円がターゲットになる反面、同安値104.95円を割り込んだ場合には104円ちょうどを目指す展開か。

今週は、9月のISM非製造業景況指数、8月の貿易収支などの米経済指標が発表される予定となっている。先週末に発表された9月の米雇用統計は、もっとも注視されていた非農業部門雇用者数が下振れした反面、失業率は改善するなど斑模様。したがって、米ファンダメンタルズを見極めたいとの見方から、今週の指標についても市場の関心は高いようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.00-106.50円。ドル高・円安については、先週高値にあたる105.80円の攻防にまずは注目。上抜ければ移動平均の90日線が位置する106円半ばや8月高値の107.05円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末に示現した104.95円が最初のサポート。割り込んだ場合、104円ちょうどが再び視界内に捉えられかねないものの、ドルの下値はなかなか底堅そうだ。

トランプ氏容体注視、場合によっては波乱も

ドル円日足

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