トルコリラ円見通し/ドル円の反発で戻したが対ドル及び対ユーロでのトルコリラ史上最安値更新続く(20/9/10)

トルコリラ円は9月9日午後に14.11円の安値を付けたがその後はドル円の反発に支えられて下げ渋っている。

トルコリラ円見通し/ドル円の反発で戻したが対ドル及び対ユーロでのトルコリラ史上最安値更新続く(20/9/10)

ドル円の反発で戻したが、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ史上最安値更新続く

〇トルコリラ円、9日午後14.11の安値をつけるもドル円の反発に支えられ下げ渋る
〇対ドルでは9日も史上安値更新、対ユーロでも取引時間中、終値ベースでの最安値をともに更新
〇14.20以下の推移中は一段安警戒、14.11割れから14.00前後への下落を想定
〇14.20手前は戻り売りにつかまりやすいが、14.20超えから続伸の場合9/8午前の戻り高値14.24試しへ

【概況】

トルコリラ円は9月9日午後に14.11円の安値を付けたがその後はドル円の反発に支えられて下げ渋っている。ドル円が106円台序盤へ反騰した勢いと比べれば下げ渋り程度にとどまり、戻り高値でも14.20円に届いていないのは対ドル及び対ユーロでトルコリラの下落が続いているためだ。

8月10日に14.07円まで下落して対円での史上最安値を更新した後は14.30円を下値支持線とした持ち合いで下げ渋っていたものの対ドル及び対ユーロでの史上最安値更新が続く中で9月3日朝の下落で14.30円を割り込み、先週末の9月5日未明には14.19円まで安値を切り下げた。8日午後にかけては14.20円台序盤での横ばい程度にとどまっていたが、8日夜はNYダウの大幅下落によりリスク回避感が強まる中でドル円が106円割れへ急落し、対ドル等でのトルコリラ安が続いたために9日早朝には14.12円まで安値を切り下げた。9日午後まではドル円の下落が続いたが、3日間続落していたNYダウが反騰したことでリスク回避感が緩んでドル円が反発、トルコリラ円も戻した格好だが、対ドルでのリラ安は継続して上値を抑えているところだ。

【トルコリラは対ドルでの史上最安値を9日も更新】

トルコリラは対ドルにおいて9月9日に7.498リラまで史上最安値を更新した。8月26日に7.42リラまで最安値を更新したところから3日間戻していたが、8月28日安値を起点に下落再開に入り、9月3日からは連日の史上最安値更新となっている。9月9日はNYダウ反騰によりリスク回避感が緩んでメジャー通貨においてはユーロやポンド、豪ドル等が反騰したがトルコリラは下落したままにとどまった。
対ユーロでは9月1日に8.848リラの史上最安値を更新した後は取引時間中の最安値更新を回避しつつも終値ベースでは最安値更新が続いていた。9月9日は夜からユーロドルが反騰したことも加わって8.862リラまで取引時間中の最安値を更新。終値ベースでも最安値更新となった。

9月9日は米国株高を背景に全般的なドル安が緩み、資源通貨では豪ドル、 中南米通貨でもレアルやメキシコペソが反発したのだが、トルコリラは置き去りにされた印象だ。
7月後半からの対ドル及び対ユーロ等でのトルコリラ安は、トルコ中銀が政策金利を一桁台に据え置く中でインフレ率が二桁台での推移を続けて実質マイナス金利状態に陥っていること、外貨準備高大幅減少による通貨防衛のための市場介入力の低下、コロナ不況長期化による観光収入激減と経常赤字拡大トルコ国内での新型コロナウイルス感染者数が再び増加傾向に入ってきたことでの先行き不安、さらに東地中海でのガス田探査を巡るトルコ・ギリシャの対立深刻化による地政学的リスクの拡大が挙げられる。いずれの要因も解消の見込みが見えてこず、特に利下げにこだわり続けてきたエルドアン大統領の下ではトルコ中銀がリラ安阻止のための利上げへ踏み切れないことが見透かされていることが大きい。

【ドル円はやや戻したが、8月13日以降のボックス型持ち合いの範囲】

ドル円は8月28日の安倍首相辞任報道からの急落で28日夜に105.17円まで下落したが、8月19日夜安値105.08円割れを回避して戻してきた。9日は105.75円までいったん下げてから反騰しているが、106円台序盤までの上昇にとどまっている。
ドル円は7月31日安値104.17円から8月13日高値107.05円まで戻した後は105円割れを回避しつつ107円前後が抵抗となるボックス型の持ち合いとなっている。方向感の定まらない状況にあり、ややレンジ縮小気味での持ち合いのため、ボックスレンジの下限から戻しに入るところはトルコリラ円にとっても押し上げ要因となるが、対ドルでのトルコリラ下落圧力を解消するほどの勢いは見られない。このためドル円の反発時にはトルコリラ円は下支えられて下げ渋りからやや戻しても、その後のドル円の下落や対ドルでの一段安局面で水準を切り下げる状況となっている。トルコリラ円の下値支持線は14.30円割れから14.20円、さらに14.10円へ切り下がり、その後の戻りも一つ手前の支持線が抵抗線に代わって上値を抑えるような状況となっている。

3日間の大幅下落に見舞われたNYダウやナスダックが史上最高値更新へと復調するなら、リスク選好感が強まってドル円が上昇、新興国通貨も上昇しやすくなり、トルコ政府や中銀がリラ安阻止への強力な対策姿勢を示せばトルコリラ安もいったんは落ち着くこともできるのだろうと思うが、今のところは「もうはまだなり」で一段安へ走る懸念が残る状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月5日未明にいったん14.30円台へ上昇してから安値を更新したため、9月5日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日夕から11日夕にかけての間への下落を想定した。9日午後安値の後は下げ渋っているため、やや早めにサイクルボトムを付けた可能性もあるので、14.20円を下回るうちはもう一段安警戒としつつ、14.20円超えからはいったん強気サイクル入りするとみて10日早朝から14日朝にかけての間への上昇を想定する。ただしいったん強気サイクル入りした後にこの間の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとなる点に注意し、その際は来週前半にかけて安値試しへ向かうと想定する。

60分足の一目均衡表では9月9日午後からの反発で遅行スパンが好転し、先行スパンに潜り込んできている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇が加速しやすいとみる。ただし先行スパン突破に失敗して再び転落する場合は下げ再開を警戒し、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開と一段安入りを想定する。

60分足の相対力指数は9日未明から9日午後への安値切り下げに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント超えへ反騰した。このため50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月9日午後安値14.11円を下値支持線、14.20円を上値抵抗線とする。
(2)14.20円以下での推移中は一段安警戒とし、14.11円割れからは14.00円前後への下落を想定する。14.00円以下は利益確定の買い戻しも入りやすいとみるが、14.15円以下での推移なら11日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)14.20円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.20円超えから続伸の場合は9月8日午前の戻り高値14.24円を試すとみる。ただし14.20円以上は反落警戒圏とし、その後に14.15円を割り込むところからは下げ再開と一段安を想定する。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月10日
 16:00 6月失業率 (5月 12.9%、予想 13.4%)
 20:30 週次外貨準備高 9/4時点 (8/28時点 415.9億ドル)
9月11日
 16:00 7月経常収支 (6月 −29.3億ドル、予想 20.00億ドル)
9月14日
 16:00 7月鉱工業生産 前年比 (6月 0.1%、予想 1.8%)
 16:00 7月小売売上高 前月比 (6月 16.5%、予想 5.6%)
 16:00 7月小売売上高 前年比 (6月 -0.8%、予想 1.0%) 
9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点

9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 1721億ドル)
9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月23日
 19:30 8月自動車生産台数 前年比 (7月 -11.8%)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)   


注:ポイント要約は編集部

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