トルコリラ円/14.10円台序盤へ下落し8月10日最安値に迫る、対ドル最安値更新続く(20/9/9)

トルコリラ円は9月8日深夜に14.11円まで下落して8月10日に付けた対円での史上最安値14.07円に迫った。9日午前も14.10円台序盤にとどまっている。

トルコリラ円/14.10円台序盤へ下落し8月10日最安値に迫る、対ドル最安値更新続く(20/9/9)

14.10円台序盤へ下落して8月10日最安値に迫る、対ドルでの最安値更新続く

〇トルコリラ円、8日深夜14.11まで下落し、8/10の対円での史上最安値14.07に迫る
〇対ドルでは、8日安値で7.489を付けて史上最安値更新
〇トルコリラ円、世界連鎖株安による円高と投機通貨売りによるトルコリラ売りが重なる状況
〇14.20以下での推移中は一段安警戒とし、14.11割れからは14.00前後への下落を想定
〇14.20超えから続伸なら9/8午前の戻り高値14.24を試す、ただし14.20以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円は9月8日深夜に14.11円まで下落して8月10日に付けた対円での史上最安値14.07円に迫った。9日午前も14.10円台序盤にとどまっている。ロイター通信社のデータでは8月7日に14.29円の安値まで下落した後に8月18日には14.235円、9月3日時点で14.231円と既に最安値を更新しており、9月8日の安値は14.12円まで切り下がっている。ベンダーによっては8月10日安値割れを回避してまだ三角持ち合いの範囲ギリギリのところだが、すでに三角持ち合いを下放れて連日の史上最安値更新に入っている状況と認識しておきたい。

【トルコリラは対ドルでの史上最安値連日更新中】

トルコリラは対ドルにおいて9月8日安値で7.489リラを付けて史上最安値を更新した。9月3日夜に7.45リラを付けて8月26日につけた当時の最安値7.42リラを割り込み、9月4日も7.465リラまで最安値を更新して先週を終えたが、週明けの7日も7.467リラへと安値をさらに更新し、8日も下げ止まれずにいる。
日足は8月31日から9月3日へ4日連続陰線で下落、9月4日はわずかに小陽線だったが取引時間中の最安値を更新し、9月7日から8日へ再び連続陰線で終値ベース及び取引時間中の最安値を更新した。
対ユーロでも9月8日安値で8.8457リラを付けて9月1日に付けた最安値8.8483リラに迫っている。終値ベースでは9月3日に付けた8.808リラを9月7日に8.8086リラを付けて最安値を更新、8日も8.8058リラで最安値近辺にある。ユーロドルが9月1日から下落していることでトルコリラの対ユーロでの下落がやや減速はしているものの先安感は日々増している状況だ。

【トルコ事情でのリラ売りに加え株安による円高加速の可能性も】

トルコリラが対ドル及び対ユーロで史上最安値を更新してきたのは、消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態が発生していること、外貨準備高の減少によりトルコ通貨当局による取引規制や市場介入による抑制が効かなくなったこと、トルコ国内のコロナ不況が背景だが、最近は東地中海のガス田探査を巡ってギリシャとの対立が深刻化し、EUもトルコ制裁をちらつかせるなど地政学的リスクが高まってきていることも材料視されている。トルコ中銀が通貨貿易のための利上げに動かず、コロナ影響により観光収入が激減していること、トルコ国内感染者数が再び増加傾向に入っていることから内外の投資家はトルコリラをドルやユーロ等のハードカレンシーへ換金している。

9月7日から8日にかけてはNYダウとナスダック総合株価指数が大幅続落となり、3月のコロナショック暴落時を彷彿とさせる下げ方となる中でドルストレートでのドル高が進んだ。英国がEU離脱協定を反故にする動きを見せていることでポンド安が進んだこともあるが、金融市場全般が不安に陥ればリスク回避による手仕舞い売りからドル圏投資家による手仕舞い・換金によるドルの買い戻しが進み、投機通貨、資源国通貨、新興国通貨が売られやすくなる。
米国株安が米長期国債への逃避買いを助長すれば米長期債利回りが低下するため、ドル円における円高感も強まる。トルコリラ円にとっては世界連鎖株安による円高と投機通貨売りによるトルコリラ売りが重なる状況に陥りやすくなっていると懸念されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月5日未明にいったん14.30円台へ上昇してから安値を更新したため、9月5日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は9月4日夕刻安値を基準として9日夕から11日夕にかけての間とし、強気転換は9月5日未明高値超えからとした。8日夜へ一段安となりその後も安値圏にとどまっているので引き続きボトム形成中とみる。

60分足の一目均衡表では9月7日の下落で遅行スパンが悪化し、その後も悪化状況が続いている。先行スパンに対しては9月5日未明の反騰時に一時的に上抜いたものの再び転落し、8日夜の一段安により実線から大きく下方乖離している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜けないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とする。強気転換は先行スパン突破からとする。

60分足の相対力指数は8日夜の一段安で20ポイント台へ低下した。その後の下げ渋りで40ポイントに迫ったが超えずにいる。40ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとみて20ポイント台前半への低下を伴う下落を想定する。上昇再開には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月8日深夜安値14.11円を下値支持線、14.20円を上値抵抗線とする。
(2)14.20円以下での推移中は一段安警戒とし、14.11円割れからは14.00円前後への下落を想定する。14.00円以下は利益確定の買い戻しも入りやすいとみるが、14.20円以下での推移が続くうちは10日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)14.20円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.20円超えから続伸の場合は9月8日午前の戻り高値14.24円を試すとみる。ただし14.20円以上は反落警戒とし、その後に14.15円を割り込むところからは下げ再開と一段安を想定する。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月10日
 16:00 6月失業率 (5月 12.9%、予想 13.4%)
 20:30 週次外貨準備高 9/4時点 (8/28時点 415.9億ドル)
9月11日
 16:00 7月経常収支 (6月 −29.3億ドル、予想 20.00億ドル)
9月14日
 16:00 7月鉱工業生産 前年比 (6月 0.1%、予想 1.8%)
 16:00 7月小売売上高 前月比 (6月 16.5%、予想 5.6%)
 16;00 7月小売売上高 前年比 (6月 -0.8%、予想 1.0%) 
9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点
9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 1721億ドル)

9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月23日
 19:30 8月自動車生産台数 前年比 (7月 -11.8%)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点

注:ポイント要約は編集部

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