ドル円見通し 106円を割り込む、米長期債利回り再び低下、米FRB議長講演前の失速(20/8/27)

8月27日7時時点の安値は105.82円で25日深夜高値からの下げ幅は0.75円。

ドル円見通し 106円を割り込む、米長期債利回り再び低下、米FRB議長講演前の失速(20/8/27)

106円を割り込む、米長期債利回り再び低下、米FRB議長講演前の失速

〇ドル円、米長期債利回り低下とドル安再開により、26日午前高値106.55から失速し106円割り込む
〇米7月耐久財受注、前月比11.2%増で3カ月連続でプラスに
〇本日のパウエル米連銀議長によるジャクソンホール講演内容に注視
〇106.15以下は一段安警戒、105.50割れから105円台序盤試しとみる
〇106.15超えから強気転換注意、106.35超えから8/25深夜高値106.57超えを試す上昇期入りへ

【概況】

ドル円は8月19日午前安値105.08円から戻してきたが、8月25日深夜に106.57円まで上昇して8月19日安値からの上昇幅は1.49円まで拡大した中、26日午前高値は106.55円にとどまって高値更新へ進めずに上値が重くなり、夜間は21時台にかけての米長期債利回り上昇とドル高局面でやや戻したもののその後の米長期債利回り低下とドル安再開により失速して106円を割り込んだ。
8月27日7時時点の安値は105.82円で25日深夜高値からの下げ幅は0.75円となり、8月20日午前高値から21日夕安値までの下げ幅0.79円を下回っているが、8月19日安値と21日夕刻反落時の安値を結んだ下値支持線を割り込んできており、8月19日からの二段上げによる上昇が一巡して下落に転じてきた印象だ。

米商務省が発表した7月の耐久財受注は前月比11.2%増となり3か月連続のプラスで市場予想の4.3%増を大幅に上回った。設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注も同1.9%増となり市場予想と一致した。
8月26日の米国株式市場は総じて上昇、ダウは前日比83.48ドル高と反発し、ナスダック総合株価指数は同198.59ポイント高と上昇して5日連続で終値ベースの史上最高値を更新している。

【米長期債利回り低下でドル安、米連銀議長講演で流れ変わるか、加速するか】

8月26日は21時台までは米長期債利回りの上昇や米耐久財受注が好調だったことでユーロ安ドル高となり、ドル円もいったんは戻していたが、米耐久財受注好調によるドル高が一巡した後は米5年債の大量入札が好調だったことで米長期債利回りが低下に転じてドル安へ進んだ。
8月26日に米5年債510億ドルの大型入札があり、米10年債は債券需給のゆるみを警戒して一時は約2週間ぶりの高水準となる0.72%近辺まで上昇していたが、5年債の入札が旺盛に消化されたことで長期債利回りは低下に転じて前日比変わらずの0.69%で終了した。

米10年債利回りは年初に1.9%を超える水準だったが、コロナショック対策による米連銀の利下げと量的金融緩和拡大により3月には0.31%まで大幅低下した。6月5日に0.95%まで戻してから8月6日に0.50%まで低下していたが、米長期債の大量入札による債券需給緩和を警戒して8月13日には0.72%まで上昇した。大量入札のピークを越えたことで8月24日には0.62%まで低下していたが、今週も2年債や5年債及び7年債の大型入札が予定されていたために8月25日からは再び上昇気配となっていた。
金融緩和と国債大量発行のバランスによりトレンドとしては米長期債利回りは低下傾向にあるものの、一時的な需給緩和により利回り上昇となる局面もあり得るところだ。大量発行による一時的な供給過剰感が消化されれば長期債利回り低下基調を維持した動きを継続するのだろうと思われ、長期債利回りの低下感が強まればドル円にとっては大きな売り圧力になってくると思われる。

米長期債利回り動向とそれに左右されやすい為替市場にとっては8月27日のパウエル米連銀議長によるジャクソンホール講演内容が重要になってくる。8月20日未明のFOMC議事録ではYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)への消極姿勢が示されたことでドル高円安反応を招いたが、議長講演が金融緩和拡大姿勢がより積極的に示されるのかどうか、特にインフレ見通しや長期金利見通しについての言及が注目されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月20日午前高値106.21円で前回のサイクルトップを付けて下落に転じたが、21日夕刻に105.42円まで下げた後は20日午前高値と21日夕安値の範囲での持ち合いとなり、8月25日夜の上昇で20日午前高値を上抜いたために26日朝時点では24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は25日午前から27日午前にかけての間と想定されるので既に25日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるとし、106円台を維持するうちは上昇余地ありとしたが106.00円割れからは弱気サイクル入りとした。
26日深夜の下落で106円を割り込んだため、25日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は27日夜から31日夜にかけての間と想定されるので、パウエル米連銀議長講演から反騰の場合は強気サイクル入りする可能性があるが、講演後も下落基調の場合は28日の日中、さらに週明けへ続落しやすくなると思われる。

60分足の一目均衡表では8月26日深夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパン下限が戻り抵抗となりやすいとみて、強気転換は先行スパン突破からとする。

60分足の相対力指数は8月25日深夜への一段高で80ポイントを超えたが、夜間序盤から深夜への高値切り上げに対して指数のピークがほぼフラットの弱気逆行型を形成したために26日朝時点では反落警戒としたが、26日午前の反発で25日深夜高値に迫ったものの指数のピークがさらに切り下がって一段安している。このため50ポイント手前を抵抗とし、下回るうちは一段安警戒とする。またいったん小反発した後に安値を更新する場合、指数のボトムが切り上がる強気逆行型が見られれば底打ち反騰の可能性が高まるが、強気逆行が見られない場合はさらに安値試しを続けやすいと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.50円を下値支持線、106.15円を上値抵抗線とする。
(2)106.15円以下での推移中は一段安警戒とし、105.50円割れからは105円台序盤(105.25円から105.00円)を試すとみる。105.25円以下は反発注意だが、パウエル議長講演等から下げ足が早まる場合は104円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)106.00円から106.15円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、106.15円超えからは強気転換注意とし、106.35円超えからは8月25日深夜高値106.57円超えを試す上昇期入りと考える。また106.25円以上での推移なら28日は高値試しへ向かいやすいと考える。

【当面の主な予定】

8/27(木)
カンザスシティ連銀主催年次シンポジウム(7月28日まで、ジャクソンホール、オンライン)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1−3月 -1.6%、予想 -8.4%)
13:30 (日) 6月 全産業活動指数 前月比 (5月 -3.5%、予想 6.3%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前期比 (1−3月 -2.6%、予想 -9.0%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1−3月 -1.3%、予想 -10.2%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 -32.9%、予想 -32.5%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 -34.6%、予想 -34.6%)

21:30 (米) 4-6月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 -1.1%、予想 -1.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 110.6万件、予想 100.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1484.4万人、予想 1445.0万人)
22:10 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演(オンライン)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 16.6%、予想 2.0%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 10.8%)
24:15 (加) マックレム加中銀総裁、ジャクソンホール講演(オンライン)

8/28(金)
08:30 (日) 8月 東京都区部消費者物価・生鮮食料品除く 前年同月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -0.3、予想 0.9)
15:45 (仏) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 -13.8%、予想 -13.8%)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 82.3、予想 85.0)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感確定値 (速報 -14.7)
21:30 (加) 4-6月期 GDP 前期比年率 (1−3月 -8.2%、予想 -40.0%)

21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 -1.1%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 7月 個人消費支出 前月比 (6月 5.6%、予想 1.5%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 0.8%、予想 1.0%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前月比 (6月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (6月 0.9%、予想 1.3%)
22:05 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、ジャクソンホール講演、オンライン)
22:45 (米) 8月 シカゴ購買部協会景況指数 (7月 51.9、予想 52.0)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 72.8、予想 72.8)

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